瓶詰めの映画地獄 〜やがて愛の日が〜

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help RSS 映画がどんなに“地獄”を描いたとしても… 『ドッグ・デイズ』

<<   作成日時 : 2006/05/17 03:30   >>

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それにしても毎日腹の立つことばっかりだ。
やっとで迷惑トラックバックが減ってきたと思ったら、
今度はワケのわからないコメントが大量に押し寄せてくる。
もういい加減一刻も早く悪質サイト業者とかヤミ金業者とか振り込め詐欺やってる連中とかを、
とっ捕まえて即日公開処刑にするための法律を作るべきだ!
どーせ湯水のように使うなら、税金はそういうことに使ってほしい。
街を歩けばキ○ガイに当たるし、警察はロクでもないヤツの巣窟。
税金で俺らが買ってやった制服着て、ジロジロこっち見てやがる。
ちゃんとライト点けて自転車乗ってんだろっ!この××××がっ!
何も俺とは言わないが、なんでマジメに金稼いでる人間が毎回泣かなきゃいけねぇんだよっ!

と、
ネットの上では人は感情的になりやすいという識者の見解に沿って怒りをブチまけたところで、
こんなクサクサした気分のときにノー天気な映画を観たって余計にムカッ腹が立つだけだし、
だからってハネケみたいなあんな映画撮ってるヤツに問題提起とか言われるのも癪に障る。
こんなヤサぐれた気分のときには……そう、“地獄”を見るに限る。
(−)×(−)=(+)。地獄だけが、すぐそこにある地獄だけが、こんな気分を癒してくれる……。

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アナ(マリア・ホーフステッター)は、
スーパーマーケットの駐車場をウロウロしては誰彼かまわず同乗させてくれた人に、
“かかりやすい病気”や“人気のある体位”のベスト10やCMソングをまくし立て、
挙句、勝手にバッグや財布の中身を漁ってドライバーたちをイライラさせる。
彼女はどこへ向かうというのでもなく、そうして一日中ヒッチハイクを繰り返している。
クラウディア(フランツィスカ・ヴァイス)は、
クラブで踊っているのをほかの男が見ていたというだけでもキレるぐらい嫉妬深い恋人に、
「腐った売女!」と罵られて深く傷つくが、それでも彼に会いに行き車中でセックスをする。
ヴァルター氏(エーリヒ・フィンシェス)は、
隣家の住人に何かと不満を抱いている偏屈な老人。彼は50回目の結婚記念日に、
妻の代わりに中年の家政婦に妻のドレスを着させ、目前でストリップの真似をさせる。
フルビィ氏(アルフレート・ムルヴァ)は、
警備システムのセールスをしているが、顧客より車を傷つけた犯人を捕まえろと迫られ、
しかし犯人を見つけることができずに、以前、車に乗せたアナを身代わりとして差し出す。
離婚していながら同居する元夫婦(ヴィクトール・ラートボーン、クラウディア・マルティーニ)。
元妻はセックス・クラブで乱交し、元夫は水を張っていないプールでひとりテニスをしている。
そうして互いに相手が家を出ていくのを待っているが、妻が愛人を連れてきて対立が深まる。
女教師(クリスティーネ・イルク)は、
年下の恋人とその男友だちに無理矢理に酒を呑まされ激しい暴力と屈辱を受ける。
後でそのことを反省した男友だちは、彼女の恋人に銃を突き付け謝らせようとするが、
それでも彼女は恋人を「愛している」と言って、男友だちは愕然として泣き崩れる……。

ヴェルナー・ヘルツォーク監督( 『アギーレ・神の怒り』 『フィツカラルド』 『小人の饗宴』)をして、
「私はザイドルほどには地獄の部分を直視していない」と言わしめたオーストリアの映像作家、
ウルリヒ・ザイドル監督(1952年生まれ)がドキュメンタリー・タッチで描く 『ドッグ・デイズ』 は、
“芸術の都”ウィーン郊外の新興住宅地に暮らす人々の暗部を白日の下に呵責なく晒した、
ひいては観光客には決して見えないヨーロッパの深部を赤裸々に明かす苛酷な群像劇。
要は、アレックス・デ・ラ・イグレシアにトッド・ソロンズを足し 『クラッシュ』 で割ったような映画。
でも、イグレシアやソロンズみたくユーモラスでもなければ、『クラッシュ』 のように甘くもない。
この映画の全篇に気だるく重く圧しかかるように漂っているのは、たとえば、
人いきれでむせ返る休日午後の渋谷を歩いているときのようなジリジリとした焦燥とイラ立ち、
そして、ショッピング・モールとカラオケしかないような東京ベッドタウンに漂う澱のような退屈。
確かに、退屈な毎日を生きるボクらにとって本当の“地獄”とはそういうものなのかもしれない。

そして、“地獄のような退屈”は、人の心の闇に巣喰う憎悪を温床させる貯蔵庫の役目をなし、
その扉が開くとき悲劇は起こる。この映画にセリフはあるが“対話”はない。
コミュニケーション不全の社会で“対話”の機能を担うのは、憎悪と暴力とセックスだけだ。
ザイドルは、まるで蟻の生態を観察でもするかのようにそんな人間たちを見つめ続ける。
しかし、一見“人間嫌い”と思われるその視線は被写体との真剣勝負の眼差しであり、
だから正視に耐えない人間の闇を炙り出しながらも不思議と映画に不快感はない。
その視線は、ザイドルがもともとドキュメンタリー作家であることからくるものと思われるが、
この映画が描いているのは、何も人間社会に対する忌避感や不快感などではなく、
人間というものの抱えるどうしようもない愚かさと滑稽さと虚しさであるとボクは思う。

ラストのワン・ショット、暴力とセックスの蔓延する社会でボロボロに傷つけられながらも、
“対話”の相手を探していつまでも街を彷徨うアナの姿こそ迷える現代人であるボクたちの姿。

しかしここで本当に悲しく恐ろしいのは、この映画がどれだけ真剣に“地獄”を描いたとしても、
たとえば、“最近の神奈川県”に較べればまだマシだという紛れもなく陰惨な現実……。
今の日本は一年中“おおいぬ座シリウスが天頂に輝く最も暑い日々〈ドッグ・デイズ〉”である。

[ 渋谷 シアター・イメージフォーラム にて公開中 ]

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ドッグ・デイズ
出てくる人々は、全て不快な普通でない人々、 猛暑が続く日々の中で、この人々の悪意を様々と見せ付けられます。 ...続きを見る
映画雑記
2006/05/22 17:29
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『じゃあ映画を見に行こう』
2006/10/20 00:16

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
>栗本さん

映画のコメントではないんですがー。
本当にスパムコメントには頭に来ますわ、ワシも。
どうにかして復讐したいんですけどね(爆)。

そうそう、ソクーロフ監督の「太陽」日本公開決定ですね。
栗本さんのエントリー楽しみにしてます。
なお
2006/05/18 00:16
本当に悪質で辟易してますよ(怒)。
1ページ1ページ、URL欄閉じるのに往生しましたワ(笑)。
(まとめてできない・・・)

えぇ! 『太陽』 公開されるんですか!?
知りませんでした・・・。
大丈夫なんですかね公開しちゃって?
まぁ当時の帝国主義に言及するような話じゃないみたいなので、
右翼が怒るほどの映画ではないと思いますが・・・。
右翼も厄介ですからねぇ。コワいコワい(笑)。
栗本 東樹
2006/05/18 01:39
ウェブリブログはコメントをまとめて削除できないんですかー。そりゃ、大変ですのう。お疲れさまです。

ウチのブログにも書いたんですけど、「太陽」は銀座シネパトスで8月に公開されるようです。右翼さんが暴れない限り大丈夫だと思いますが(爆)。
なお
2006/05/18 23:49
えぇ、コメントはある程度、
管理ページにてまとめて削除できるんですが、
足跡を残されないように、
ニックネーム下のURL欄を全部閉じたんです。
それが1ページごとにやらなきゃいけなくてもう・・・。
あー不純なアクセスでカウンターが上がっていくー!(怒)
コイツらブッ殺してぇー!(笑)

シネパトス! やったぁー!
さすがのユーロスペースも降りましたか・・・。
だけど間違いなくレイトショーでしょうね(笑)。
栗本 東樹
2006/05/20 03:17
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