瓶詰めの映画地獄 〜断罪!断罪!また断罪!!〜

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help リーダーに追加 RSS これぞ本物の日本映画! まさに“鉄板”! 『雪に願うこと』

<<   作成日時 : 2006/06/03 23:30   >>

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ギャンブルに興味がないので競馬もやらないんだけど、
学生時代には、よく競輪場や競馬場でバイトをしていた。
多くは一日中棒みたいに突っ立ってるだけの場内警備や、
マジックミラーの裏側に入って観覧席を監視するなどが主な仕事だったんだけど、
たまーに馬場へ降りて、馬が出走した後のゲートの砂ならしみたいな仕事もあり、
馬をそれこそ目と鼻の先で見たのはその時が初めてだった。
キムタクや中居くんが競馬のCMに出るようになるずーっと以前の話で、
というより、レースの宣伝をCMで流すなんてこと、当時はなかったと思うんだけど、
その頃、女性初ということで名は忘れたけど女性ジョッキーの人がけっこう話題になっていて、
彼女がレースに出ていた岐阜にある笠松競馬場でその騎乗姿も実際に目にした。
観覧席を含めギットギトの金欲渦巻く男の世界にあって、
ピーンとした背筋も凛々しく「すごーい」と感心しながらトンボを引いていたことを思い出すけど、
遠目には優雅でしなやかそうで女性的な印象さえ受ける馬そのものも、
近くで見れば筋肉隆々、鼻息は凄まじく荒くておいそれと近づけるような雰囲気じゃなかった。

楽して金が欲しいだけのクセに、“馬に夢を賭ける”だなんてよくゆーよと思うけど、
相手が物言わぬ動物だけに、他のギャンブルにはない感情が生まれるのもわかる気はする。
だから西部劇や時代劇を引き合いに出さずとも、そして意識的にも無意識的にも、
馬は映画のなかでもけっこう重要なアイテムだったりするし、
こと“競走馬”を扱った、たとえば2年前の傑作、『シービスケット』 や今回の映画なんかには、
馬の走る姿に人生の“何か”を託すという意味合いにおいて喩えは妙なんだけど、
動物版ボクシング映画のようなニュアンスがありわかりやすく感動的なのかもしれない。

そんななか、
昨年の東京国際映画祭でグランプリをはじめ4つの賞に輝いたこの 『雪に願うこと』 は、
北海道の“ばんえい競馬”をモチーフにして(“ばんえい競馬”なんて初めて知った)、
誰にもある人生の七転び八起きをオーソドックスかつシンプルに描いた、
そしてシンプルだけにダイレクトに胸に響いてくるものも大きい“馬映画”(?)の新たなる名作。
「東京国際映画祭でグランプリぃー?」 と白眼視してるヘソ曲がりのアナタにこそ観てほしい。
マジメな話、
これはつい最近まで特集が開かれていた田坂具隆監督作に通じると言っても過言ではない、
要は映画そのものが真摯で誠実で万感胸に迫る本当に本物の映画だ。

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 東京での成功を夢見て故郷と家族を捨てたものの、
 事業に失敗し妻とも別れ、すべてを失った青年・矢崎学(伊勢谷友介)。
 行き場所を失った彼は、故郷の帯広で“ばんえい競馬”の厩舎を営む、
 兄・威夫(佐藤浩市)の元へ13年ぶりに帰って来る。
 兄との深い確執のなか、個性的な厩舎の仲間たちや馬と生活をともにしてゆくうちに、
 やがて学は、人生を今一度やり直す気力を静かに取り戻してゆく……。

映画は、東京で事業に失敗し、妻にも愛想尽かされ、
すべてを失くしてようやく13年ぶりに田舎へ出戻って来た主人公の学が、
ロクに13年も里帰りをせず図々しく帰って来た弟に憤りを隠さない兄とギクシャクするなかで、
成績不良で近く馬肉として処分される“ウンリュウ”という競走馬に自分の人生を投影し、
やがて癒され、そして見失っていた人生の希望を見出してゆく姿を軸に、
彼を取り巻く周囲の人々のささやかな人物描写が丹念に積み重ねられ、
小さな輪が少しずつ少しずつ大きくなってゆくような感じで描かれている。
冒頭の競馬場で、伊勢谷と山崎努が絡むシーンからもう物語にグイグイと引き込まれて、
その安定感は最後の最後まで決して緩みはしない。
前作 『透光の樹』 で、
若さにすがるわけでもない熟年男女の静かに燃え滾る情熱を、
ただスクリーンに焼き付けることだけに専念して賞賛を浴びた根岸吉太郎(きちたろう)監督は、
今回も小手先の手腕を見せることなく、
それこそ「新人か!?」と思うほどの愚直ささえ感じさせる正攻法の演出で、
馬と人とのふれあいを、人と人との感情の交感を、そして人生の機微を静かに見つめてゆく。

北海道が舞台だからといって、
『北の国から』 のように、都会と地方の対比を浮き彫りにしたりはしない。
そこにあるのは、生きてゆくことに都会も地方も関係ないという至極真っ当な正論であり、
同時にそれは、かつて邦画が斜陽の時代にポルノ映画を何本も手掛け、
しかしそこでポルノも一般映画も映画であることに変わりはないといい映画を撮っていた、
監督の人生観そのものであるようにさえ感じられる。
映画を通して今の若い世代に蔓延している拝金主義を憂うという説教臭さは微塵もない。
教科書のように四角四面に物語を説明しすぎないその“余白”のある語り口には、
ボクら映画を享受する者たちに対する、ある種信頼感であるようにさえ感じられた。

そんな物語のテーマを体現しレースのシーンは思わず腹に力が入るような臨場感。
日本映画屈指の名優たちの過不足ない自然体の芝居は本当に見事としか言いようがない。
伊勢谷のセリフ廻しに若干ギコチなさを感じるものの、
彼とて諸先輩たちの大きな懐に安心して飛び込んでのびのび役を演じているので、
彼演じる学と同じく歳の離れた2人兄弟の弟であるボクなんかは身につまされる場面が多く、
劇中、何度も何度もお袋と兄貴の顔を思い出し胸が詰まって仕方がなかった……。

よくある物語かもしれない。どこかで聞いたようなストーリーかもしれない。
しかし、目新しいことをしなくてもイイ映画は撮れるという製作者たちの意気込みが、
本物の映画となってスクリーンに結実する様子は痛快でさえありだからとても新鮮。
これは、10年20年先に観ても新鮮さを失わない、そんな類の映画なんだ。

そして、この映画で本当に素晴らしい点がもうひとつ。
佐藤演じる威夫と密かに心を通わせながら、昼間は厩舎の賄い婦をやり、
生活のために夜はスナックの雇われママをしているという女性を演じたキョンキョン!
「ババァのクセに、派手なカッコしてるでしょ」
てなセリフをサラッと言ってのける度量とそれを裏付ける説得力抜群の大人の色香!
いいなぁー亀梨いいなぁー。ホンッといくつになってもキョンキョン、キレイ!

キョンキョンママが作ってくれる水割りが呑みたァーーーい!!!

[ 新宿 テアトルタイムズスクエア銀座テアトルシネマ にて公開中 ]

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タイトル (本文) ブログ名/日時
雪に願うこと/根岸吉太郎
 なかなか劇場で映画を観るという機会も少ないのですが、雨の銀座へ、根岸吉太郎監督 ...続きを見る
航  海  記
2006/06/05 23:47
「雪に願うこと」キョンキョンの透明な存在感が良い!
「雪に願うこと」★★★ 伊勢谷友介、佐藤浩市、小泉今日子主演 根岸吉太郎監督、2006年 ...続きを見る
soramove
2006/06/08 20:36
雪に願うこと
んー、これがグランプリかぁ…? ...続きを見る
この映画にひとこと!
2006/06/15 18:16

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
TBさせていただきました。「シービスケット」と比べて
断然こちらが好きになりました。
t@shi
2006/06/05 23:47