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『三月のライオン』―。19歳の、まだ大学生だった頃、 名古屋は今池にあるシネマテークで初めて観たのが、 矢崎仁司の名を一躍世に知らしめた、この作品だった。 触れれば切れそうに繊細な近親相姦の内面性を描いたこの映画は、 しかし明確な物語というより感性に直に訴えてくるような危うさに充ちていて、 正直な話、観た当時は何をどう受け止めてよいのか戸惑うばかりだったことを記憶している。 だけど、その頃は、有り体なハリウッド大作など話題の映画とかじゃなく、 こうした映画を「面白い」と言えることがなにより通でカッコいぃと信じていた時代だったので、 どこがどうよかったのか説明できないクセに「好きな映画」のなかにこの作品を入れていた。 これを“若気の至り”と呼ぶんだけど、恥ずかしぃったらありゃしない。 でも、これを鑑賞した当日が、秋の冷たい雨だったことを今でも記憶しているのと同じように、 この映画の浮世離れした雰囲気もいまだにどこか体の芯に残っているような気がするので、 今観ると、やはり 『三月のライオン』 はモノ凄ぃ傑作なのかもしれない……。 それを確認しようと、この 『ストロベリーショートケイクス』 の公開に先駆けた、 新宿K’s cinemaでのリバイバルを観に行くつもりだったんだけど、けっきょく、行かなかった。 レンタルしようかとも思ったんだけど、寝たらマズぃ気がしたし、 やっぱりこういう何かの想い出に触れるような作品は、できればビデオやDVDじゃ観たくない。 『三月のライオン』 がフェイバリット映画だという人気マンガ家、 魚喃(←なんて読むの?)キリコの同名原作を、 当の矢崎仁司がそれに呼応するカタチで映画化した作品 『ストロベリーショートケイクス』 は、 まるでタイプが違う4人の女(のコ)の、それぞれの痛みと喪失と再生のドラマ。 男の生理には耐え難い、女性心理の内面を深く抉った描写は 『三月の〜』 のままだけれど、 とは言えチョット驚くほどにこれはとてもわかりやすく結果としてかなり良心的な映画で、 なにより作品全体を覆う空気はヘンにトがらず限りなく大らか。 矢崎仁司は、きっといぃ感じで歳を重ねてきたんだなぁ〜としみじみそう思わせる、 ここはもう、思いきって傑作と書ぃてしまおう、というそんな感じの映画だった……。 デリヘル店の受付として働くフリーターの里子(池脇千鶴)は、 素敵な恋の訪れを待ちわびながら平凡な毎日を送っていた。 そんな彼女が憧れるデリヘル嬢の秋代(中村優子)は、 同級生の菊地(安藤政信)を一途に想い続けながらも、いまだ恋心を伝えられないでいた。 一方、女ふたりで同居するOLのちひろ(中越典子)とイラストレーターの塔子(岩瀬塔子)も、 互いに対し、複雑な感情を抱きながらもそれぞれの日々に悩んでいて……。 正直言うと、映画の1/3だか中盤に差しかかるあたりまでは、 それこそ女のコに向けられた何かを場違いに覗いてるような気恥ずかしさに襲われまくりで、 自虐的にもホドがある、池脇千鶴の痛々しぃ演技もそれに拍車をかけ、 「選ぶんじゃなかったかな…」と観に出かけたことを後悔するような感じだった。 男は絶対見たくない、“女の内面”というか“女の世界”というかとにかくソレを見せる描写は、 当の女性方にしてみりゃ「まだまだ甘ぃワよ!」という程度のものなのかもしれなぃが、 30過ぎていまだ乳離れできない(出ない母乳が好き)子供のボクにはそれでも充分耐え難く、 暗視カメラで捉えたならボクの顔面リアクションはおそらく、 グッチャグチャのスプラッターを観ている時と寸分違わぬ表情だったと想像される。 過食症のイラストレーター、塔子が呪詛を唱えながらゲ○を吐くシーンなど、 その前日、偏頭痛が高じて本当にゲ○を吐いていたボクは思わず“もらい”そうになったほど。 でも、それほどでも結果的に本作を観てたとえば女性恐怖症に陥ったりする心配がなぃのは、 やっぱりそれらの描写に作家の被写体に対する“情”みたぃなものを感じるだろうからで、 まるでそれを見せるのが目的であるかのような野心とか下世話さが微塵も漂っていないから。 “内面描写”が物語にどう機能すべきなのか、全然理解していない作家もいるなかで、 (この映画の、隣のスクリーンでかかってる映画の監督とかね) こうしたある意味、映画としての懐深さは、 なにより矢崎仁司の作家としての成熟ぶりだと偉そうだけど本当にそう感じる。 女性が(おそらく)主観的に書いた脚本を、男性が(確実に)客観的に監督した例として、 これは女池充の傑作ピンク映画、『ビタースイート』 にも共通するんじゃないだろうか? いくら時代が流れて、女が昔と違いたくましくなったからと言って、 女の性というものが基本的に“受け身”であることになんら変わりはない。 それゆえの“痛み”と、だからこそ生まれる“強さ”を理解しているようなフリをして、 その実まるで理解していない身勝手な男どもが多いから俺はいまだ独身なのかな・・・。 とは言え、本作はチョット男を身勝手に描き過ぎのような気もするとは老婆心な、が、ら。 それに、池脇千鶴はいぃとして、中村優子と岩瀬塔子が微乳も露わに脱いでいるというのに、 4人のなかで最も可愛い中越典子が脱がないとはいったいどんな契約なのか? まぁいぃや。 このテイストで2時間強を微塵も飽きさせない緩急自在の語り口がとにかく素晴らしく、 里子と秋代、塔子とちひろ、画面上では最後までいっしょに映りはしないけど、 2組がやがてつながるラストには思わず、というよりかなり感動してしまった……。 女性主体の物語とは言え、さすが男が撮っただけあり野郎にも観られる現代的な恋愛映画。 映画を鑑賞し終わった後はほんのり、あくまでほんのりと幸せな気分に浸れ、帰る道すがら、 年々、クソ溜めみたくなってゆく渋谷を歩いていてさえこう呟きたくなることウケアイの好篇だ。 「あぁ〜恋でもしたいなぁ〜」(主音声) 「イヤラしぃことしたぃなぁ〜」(副音声) [ シネ・アミューズ(渋谷) にて公開中 ] |
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「ストロベリーショートケイクス」シビア過ぎて夢は見れない
「ストロベリーショートケイクス」★★★☆劇場にて 池脇千鶴、中村優子、中越典子、岩瀬塔子主演 矢崎仁司 監督、2005年 ...続きを見る |
soramove 2006/11/22 09:26 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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まだ未見なんですけどね、この作品自体は。 |
びすかちゃ 2006/10/04 02:21 |
ナナナン・・・? 読めねぇー。 |
栗本 東樹 2006/10/04 19:15 |
>綺麗な方とはまた気になるじゃないですか |
びすかちゃ 2006/10/05 00:32 |
見てませんが、岩瀬塔子の芸名で出ているのがナナナンキリコ本人らしいですよ! |
kusukusu 2006/10/05 03:32 |
つーか、栗本さんの本文を読み返したら、 |
kusukusu 2006/10/05 03:41 |
えぇーッ! 塔子が原作者本人なんだ!(↑写真、右端) |
栗本 東樹 2006/10/05 06:50 |
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