瓶詰めの映画地獄 2009

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 星の林に、月の舟… 『シルバー假面』

<<   作成日時 : 2006/12/28 06:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 8

画像

実相寺(じっそうじ)昭雄(1937〜2006年・享年69歳)。
ヒットした 『帝都物語』(’88)や 『江戸川乱歩劇場 屋根裏の散歩者』(’94)を観ている程度で、
映画監督としては、個人的にはそれほど印象に残る人じゃなかったけど、
やっぱり実相寺と言えば、ボクにとっては 『ウルトラマン』 や 『ウルトラセブン』 の人だ。

『星の林に月の舟』 という監督の自伝的小説を、
高校生だった16、7の頃に6コ上の兄貴から借りて読んだことがあり、
それは当時、三上博史主演でTVドラマにもなって感動した記憶があるんだけれど、
女優の顔を毛穴が映るくらいアップで撮ってプロデューサーに怒鳴られるという、
監督の演出家としての偏執的なまでのコダワリや、『ウルトラマン』 撮影時、
長ぁーい竹竿に布を巻き付けて、それを通行人の失笑を買いながら河原を持ち歩き、
その竹竿の先端の布を怪獣の顔に見立ててキャストが演技していたという話など、
とにかく小さい頃は三度のメシより「ウルトラシリーズ」が大好きだったボクには、
胸が詰まるようなエピソードが満載で(ワリによく憶えてなかったり…)、今読み返せば、
TVがこれからという時代の夢や情熱が感じられてきっと興味深いんじゃないだろうか?
(その代わりに映画がしだいに斜陽していったというのは今思えばなんとも皮肉な話…)

69歳だなんて、
映画監督としてはまだまだこれからと言ってもフツーなぐらいの若さで亡くなった実相寺監督。
そんな監督が71年に手掛けたカルト特撮ヒーロー活劇、
この 『シルバー假面』 は、その現代版リメイクということで奇しくも遺作となってしまった。
ボク自身はオリジナル版を観たことがないのでなんの思い入れもないんだけれど、
それでも往年の特撮ヒーローものに対する若干のセンチな気分も手伝って、
先の週末、舞台挨拶を含めた初日上映に駆け付けたというしだい。
劇場には、クリスマスで浮かれる渋谷の一角とはとても思えないほど濃密な空気が充満し、
だけど立見も出るなか、監督の追悼上映という趣もあってどこか温かい雰囲気が漂っていた。
(監督と数多くの作品で組み、本作の原案者でもある佐々木守氏も、今年の2月に亡くなった)
舞台挨拶の壇上に、実相寺監督と40年来の盟友だという、
本篇でナレーション等を務める寺田農(みのり)や、
『帝都物語』 で監督の手により役者としての存在感を引き出された、
こちらも本篇に登場の嶋田久作が上がっていたからということもある。

 時は1920年(大正9年)。
 スペイン風邪、シベリア出兵、過熱する労働争議、米騒動などで、
 帝都・東京は騒然としていた。そこに次々と起こる、不可解な美女連続殺人事件。
 若きエリート軍人の本郷大尉(渡辺大)は、諜報機関からの密命を受け、
 探偵小説家志望の友人・平井太郎(後の江戸川乱歩)(水橋研二)とともに、
 浅草のダンテ劇場を調査。そこでザビーネ(ニーナ)という日独ハーフの美女に出会う。
 謎の怪人“カリガリ博士”(石橋蓮司)に操られるクモ型宇宙人が本郷に襲いかかった時、
 ザビーネは銀色の超人“シルバー假面”に変身し、宇宙人を撃退する。
 ドイツ人の母と文豪・森鴎外(伊藤昌一)の間に生まれたザビーネは、
 まだ見ぬ父親を探しはるばるドイツからやって来たのだった……。

もともとはDVDのみだったのが、
クオリティが高いということで発売前に限定のお披露目公開となった本作。
三部構成になっていて、総監修と第1話の演出を実相寺監督が担当している。
映像的にクオリティが高いのは観ればわかるけれど、そんなに面白くはなかった。
ただ、その実相寺篇だけは、CGをふんだんに駆使しながらも、
往年の特撮モノの味わいがそこはかとなく、
久々に“着ぐるみ”の宇宙人(蜘蛛男!)を見たということもあって、
大正浪漫を醸すいかがわしい雰囲気ともどもワクワクしたんだけど、
それは単に、自分のなかの特撮ヒーローものに対する感傷みたいなものが働いただけで、
なおかつ三部構成2時間強の最初のパートだから意識が持続しただけなのかもしれない。
やっぱりこのテを観る場合、オリジナルに思い入れがないというのはマズかった気がする。
しかし、端から大人の鑑賞に堪える特撮モノを目指したというのは理解できるとしても、
作り込みすぎて逆にストレートな面白味に欠けたという印象もまた拭えない……。

それにしてもガキの頃、子供ながら本気で“モロボシダン”の代わりに結婚すると思っていた、
『ウルトラセブン』 の“アンヌ”役、ひし美ゆり子の当然の老け具合にしんみりしてしまった・・・。



星の林に、月の舟……。
特撮モノと違い、映画では日本的な風土をエロ・グロで表現することの多かった実相寺監督。
今頃彼は、星の林の向こうの闇へと月の舟を漕いで帰っている最中なのかもしれない……。

ユーロスペース(渋谷) にて1月12日(金)までレイトショー公開 ]

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【2007-39】シルバー假面(Die Silbermaske)
1920年 帝都・東京─── ...続きを見る
ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!...
2007/03/21 17:46
「シルバー假面」映画館レビュー 舞い降りる
僕は実相寺昭雄が好きだ。ただ誤解をうけやすいのが、単に好きなのではなく、とくに、決められた体制の中でキラリと怪しく光る特出した個性と、実にコントラストの利いたわかりやすくヘンな画面構成と照明効果が好きだということだ。 ...続きを見る
長江将史〜てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ
2007/04/04 23:49
『シルバー假面』(2006)
♪シルバ〜仮面は〜 さすら〜い仮面〜 ...続きを見る
【徒然なるままに・・・】
2007/04/07 09:18
シルバー假面 07098〜9
シルバー假面 2、3  1はこちら 2006年   実相寺昭雄 総監修  佐々木守 ・実相寺昭雄 原案         実相寺昭雄&nbsp;(第壱話)・北浦嗣巳 (第弐話)・服部光則 (第参話) 監督内田仁菜&nbsp; 渡辺大&nbsp; 水橋研二&nbsp; 石橋蓮司&nbsp; 山本.... ...続きを見る
猫姫じゃ
2007/05/06 04:18
シルバー假面 07079
シルバー假面 1 2006年   実相寺昭雄 監督内田仁菜&nbsp; 渡辺大&nbsp; 水橋研二&nbsp; 石橋蓮司&nbsp; 山本昌之&nbsp; 赤星満 嶋田久作 「1」ってついていたから、、やっぱりそうなのか、、、 1、2、3で完結&nbsp;? 3人の監督がとっているのね。 故 実... ...続きを見る
猫姫じゃ
2007/05/06 04:19

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
特撮ヒーローは、「なりきり遊び」の延長にあって
いつか手が届く想いがしていたわね。
アンヌ隊員をお嫁さんにしたいと考えたのも
手作り感が「偽であっても不実にあらず」と言う
観客に対する創り手の誠意を見せていたからかな。

CGは真偽の境目を分からなくした技術によって
真の全体的価値を薄っぺらにした感があります。
視覚情報に頼りきる危険を知っていなくちゃね。

映画だって、震えるほどに感動した作品は
けっして視覚だけで観ていないでしょ?
やさしい肌触りの映画みたいなぁ〜〜〜♪
body&soulIV
2006/12/28 09:27
>「なりきり遊び」の延長・・・
そうですよね、昔はみんな「自分もヒーローになりたい」と、
そう思いながら特撮モノを見ていたんですよね。
ブルース・リーとかジャッキー・チェンもそんな感じで。
今、東京MXで 『ウルトラセブン』 が再放送中で、
そりゃ話も他愛ないし作り物感覚満載なんですけどやっぱり、
作り手の誠意というか伝わってくるものが格段に違うんですよね。

>CGは真偽の境目を分からなくした技術によって
真の全体的価値を薄っぺらにした感があります。
『ブロークバック・マウンテン』 もCG使ってるらしいんですよ。
ですけどまったくわからないじゃないですか(俺だけ?)。
それが映画における正しいCGの使い方だと思うんですよね。

最近のほとんどのCG満載映画はどこか冷たくて、
とてもやさしい肌触りとは言えないと思います・・・。

あ、俺、ピンクレディーのミーちゃんとも、
本気で結婚しようと思ってました小さい頃(爆)。
栗本 東樹
2006/12/29 02:10
あ・・ミーちゃん派だったのね(微笑)
ほう、意外な作品がCGを使ってる♪
映画は「誠意ある嘘」で真実を描く表現でしょ?
嘘の手段が多岐にわたるのはいいと思うわ。
手段が表現目的になっちゃうと偽モノになり
栗本さんお肌に優しくなくなる。

来年もさらさら、つやつやの作品に
たくさん出会えますように♪
よいお年を〜〜〜〜。
body&soulIV
2006/12/29 10:57
>映画は「誠意ある嘘」で真実を描く表現・・・
今年1年、たくさんコメントいただきまして、
本当にありがとうございました。
毎回毎回「うまいこと言うなぁ」と感銘を受けるとともに、
コメントいただけるのをいつも楽しみにしていました。

>来年もさらさら、つやつやの作品に
たくさん出会えますように♪
ホント、そう願います・・・。それに加えて俺は、
プシュプシュ、ドバドバ、エロエロの作品にも出逢えますように♪
body&soulさんも素敵な年を迎えてくださいネ。
挨拶はコチラにて失礼致します。
栗本 東樹
2006/12/29 16:50
へぇ、69歳でしたか。若いようですが、映画監督としては、腕も感覚も衰えて、製作意欲だけは残っているような事態に直面せずに、よかったのじゃないかしら。彼の作品は「宵闇迫れば」「無常」「曼荼羅」「あさき夢見し」下って「屋根裏の散歩者」をみました。ウルトラマンとは驚きだわ。
Bianca
2006/12/30 13:50
>Biancaさん、コチラにもこんにちは。
えぇ、69歳だったそうです・・・。
>腕も感覚も衰えて、製作意欲だけは残っているような事態・・・
しっかしBiancaさんはトゲがありますよねぇ(笑)。
穏やかに、素敵な新年を迎えてくださいネ。
栗本 東樹
2006/12/31 15:47
栗本さま、2007年もよろしくお願いします。
「トゲがあります」?そう言われるのなら、ものの言い方に
気をつけなければいけませんね。ただネ、かの今井正監督
が「70歳を過ぎれば、本人は気付かなくとも、監督としての
腕は衰える」と言われたので、実相寺昭雄氏がその手前で去られた
ことは、悲しいけれど、監督としては不幸中の幸いかと。
しかし、70代を一律に論じるのはまちがいですね。反省します。
Bianca
2007/01/01 16:36
>Biancaさん、こんばんは。
あけましておめでとうございます。
コチラこそ、宜しくお願い致します。
ご挨拶が遅れまして大変申し訳ありません。
なにぶん実家にはパソコンという文明機器がないもので(笑)。

>「70歳を過ぎれば、本人は気付かなくとも、
 監督としての腕は衰える」
そうですかぁ、今井正監督が・・・。
ですけど今日び70歳なんてフツーに若くないですか?
鈴木清順なんてまだまだエネルギッシュだし(多分)、
イーストウッドも75歳でモリモリ傑作を撮り続けていて、
あとウディ・アレンにゴダールなんかも・・・。
オリヴェイラが95歳で撮った 『永遠の語らい』 など、
衝撃的にパワフルな傑作でしたし(世間の評価はともかく?)。
名匠・巨匠たちにはまだまだ長生きしてもらわなきゃ!
栗本 東樹
2007/01/06 19:21