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help リーダーに追加 RSS 孤島の鬼もから笑う2008年ベスト1!? 大傑作! 『28週後…』!

<<   作成日時 : 2008/01/26 08:00   >>

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日本じゃ2003年夏に公開され、スマッシュ・ヒットした、
イギリスの俊英、ダニー・ボイル監督作品、『28日後…』。
いくら 『シャロウ・グレイヴ』 に 『トレインスポッティング』 と、
映画史に残る傑作を撮った次世代を担う俊英監督とは言え、
それこそ鳴り物入りでハリウッドへ乗り込んだまではよかったが、
観ているコチラが恥ずかしさのあまり汗をかいた 『普通じゃない』 と、
ディカプリオを全然使いこなせなかった 『ザ・ビーチ』 の2本で惨敗を喫し、
スゴスゴと里帰りをした男がよもや次に“ゾンビ映画”を手掛けるなんて、
当時誰も予想はできずに期待はしないまでも大いに興味はソソられた。

だけど、いざフタを開けてみればあ〜びっくり! 青天の霹靂とはまさにこれ。
ボイルがデジタルカメラでゾンビ映画を撮るという斬新な発想で挑んだそれは、
その後数多濫造されるどんなマニアックでフェティッシュな亜流作品なんかより、
そして、本家の正式リメイク版だった翌2004年の 『ドーン・オブ・ザ・デッド』 なんかより、
巨匠ジョージ・A・ロメロ監督によって映画史に燦然と名を残す“ゾンビ・サーガ”いわゆる、
“リビングデッド三部作”( 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』 『ゾンビ』 『死霊のえじき』 )の、
見た目以上にその内面をキッチリ受け継ぎ現代的な解釈を与えて稀に見る大傑作だった。

ボクたち人間にとって、本当の“恐怖”とは果たしてなんだろうか…?
ある日、突然巻き込まれる理不尽な暴力、予測不可能の事故や災害、
姿の見えないテロリズム、原因の解らないウィルス、そして隣の国……。
要するに、恐怖とは総じて“得体の知れない何か”のことで、その極致と言えるのが、
生きている限り人間には決して理解ができない“死”という生の彼方にある闇なのだ。
“ゾンビ”とはそんな得体の知れない死の恐怖のメタファーとして機能する表象であり、
つまり、ゾンビとの闘いから生の意味を見出すことこそ“三部作”のテーマなのである。
『28日後…』 はそこを踏襲、ラストは窮屈なデジカメの映像からフィルムに切り替わり、
コミュニケーション不全の現代へ向けて生き抜くためのメッセージを放ち、終わった―。

しかし、人間が人間であり続ける限り悲劇は繰り返される。惨劇は再び起きる……。
あれから4年。正直、続篇だしまったく期待していなかったせいもあるかもしれないが、
ボイルが諸事情で製作に廻り、そして、スペインの気鋭に任せたこの 『28週後…』 は、
『28日後…』 の続篇としてその流れをしっかりと引き継ぎつつ設定をさらに推し進め、
21世紀も何年かが経ち、しかし世の中荒みに荒んで死の恐怖が蔓延する現代社会、
その狂騒のメタファーとしてゾンビ映画のパニック性を見事機能させることに成功した、
内面まで喰い込んでくる残酷描写に卒倒必至のこれまた凄まじい大傑作だった!!!

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 瞬時に感染して人間を即凶暴化させる“RAGEウィルス”の猛威が終わり、
 復興計画が始まったイギリス。スペイン旅行中でウィルスの難より逃れた、
 タミー(イモジェン・プーツ)とアンディ(マッキントッシュ・マグルトン)の姉弟は、
 父親のドン(ロバート・カーライル)と再会を果たし、その無事をよろこび合う。
 しかし、感染を逃れたドンには子供たちに明かせない後悔があった……。

(以下、今回は随時ネタバレします)

彼は、数人の生存者とともに逃げ隠れていた家が“感染者”の群れに襲われた際、
身を挺してまで1人の子供を救おうとした自分の妻を見殺しにしてしまったのだった。
たとえ緊急事態で恐怖に駆られたとは言え愛する妻を救えなかったという自責の念。
本作の肝は、そんな悔やみ切れない後悔に苛まれる男をイギリス映画を代表する名優、
ロバート・カーライルがしっかりと演じることで、緊急時には当然起こりえる事態を描き、
ショック描写の先制パンチだけに頼らない、リアルな人間ドラマを導入にしている点。
恐怖に怯え逃げ出すカーライルに感情移入させるこの冒頭で本作は成功したも同然。
有り体な続篇やよくできた見せ物で終わらせないという気概がうれしく、そして凄まじく、
逃げる彼を並撮し、そこに情感煽る70年代風音楽がカブるあたりで早くも鳥肌はマックス。
「これだ、これが観たかった!」と実は書いている今も思い出しボクは鳥肌が立っている。

そして、離れ離れだった父と子供らが再会し国とともに家族の復興も始まるかと思いきや、
実は死んだと思っていた妻が抗体の持ち主で生存していたという展開で事態は急転直下。
よろこぶべきハズが複雑な状況に戸惑うドン、そんな彼になぜ? と疑念を向ける子供たち。
やがてドンは恐る恐る集中治療室に眠る妻のそばへ歩み寄る。違う恐怖に顔が強張るドン。
しかし妻は、彼の姿を確認すると「愛してるワ」とひと言呟く。赦してくれた! 緊張が解け、
妻にすがりその唇を求める彼。だがその20秒後、彼は妻の唾液からウィルスに感染する!
妻は忘れてなかった。自分を見殺しにした薄情な男を! この、夫婦崩壊の瞬間!怖ぇ〜!
そして、口から血を吐きながら凶暴化したドンは、ベッドに拘束された妻をその手で惨殺し、
彼からウィルスは広まって安全地域は崩壊、ついに阿鼻叫喚の地獄絵図が始まる!!!

カーライルがゾンビになるという展開も凄いが、その凶暴化へ至るシーンは迫真のひと言。
それはもう 『トレインスポッティング』 で彼が演じたベグビーを100倍上廻るようなキレ方で、
感染にかかる時間は現代的テンポを考慮してわずか20秒程度とその描写は息継ぐ間なく、
興奮して思わず風俗嬢の唇を噛んでしまった枚方の簡裁判事よろしく(当然それ以上だが)、
凶暴化したカーライルは次々と人間に噛み付いてゆく―。カーライルがゾンビになるなんて!
( 『ドーン・オブ・ザ・デッド』 での“走るゾンビ”は納得できなかったけど、このシリーズは別)
怖ろしいのは、安全地域内がパニックに陥った後、感染のスピードがあまりにも速いために、
監視していた軍が感染者・非感染者の区別なく動く者すべてに向けて銃を乱射し始めること。

感染していない人々が感染者そして軍両方から逃げ惑うその地獄絵図たるや凄まじくて、
しかしそれは人類が未曾有の災害に見舞われた時に起こりえるパニック状態のメタファー、
もしくは保持や体裁のためなら国が平気で弱者を切り捨てるという現代社会の縮図なのだ。
そして、このテのアクションの定石として姉弟を含めた数人がそのパニック状態をくぐり抜け、
映画は彼らが生き抜くため、明日にたどり着くための壮絶なサバイバルへと突入してゆく―。
『10億分の1の男』 で注目されたスペインの気鋭監督ファン・カルロス・フレスナディージョは、
前作より数段スケール・アップした設定をいっさい破綻させることなく緊迫感を持続しながら、
しかし緩急自在の演出で、凄惨な地獄絵図の中にも人物の内面を描いてその手腕は見事。
前作同様ただのキワモノとしか見られない内容をリアルな終末のドラマへと昇華させている。
テンションの高さといいパワフルさといいイギリス映画だけどこれは完全にスペイン・テイスト。

まさしくイスの背もたれに押し付けられるような容赦ない残酷描写の波状攻撃に息を呑み、
壮観な地獄絵図にカタルシスを覚えながらもそこにいつか来る終末を予感して背筋が凍る。
ただのショーではなく災害パニック映画としても完璧なこれはジャンルの進化を告げる傑作!
とにかく! ここまで面白きゃ当然、次が創られることは予想され、『28日後…』 『28週後…』、
ときたら次は 『28ヵ月後…』、もしくは短くなり、『28時間後…』 『28分後…』 あたりだろうか?
それがうまくいけばこのシリーズはロメロのリビングデッド三部作に比肩するかもしれない―。
鬼がヘソで茶を沸かすぐらい気が早いが個人的には2008年ベストの1本になるのは確定的!?
こんな大傑作をゼッタイ観逃すべきじゃない! 万難排して今すぐ劇場へ駆け付けろ! 必見!

頭が真っ白になるほど面白い……。

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