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六本木と言えばその昔、「シネ・ヴィヴァン六本木」という単館劇場があったけど、 もうひとつ「俳優座トーキーナイト(俳優座シネマ)」っていつの間に消えたのかな? 要は俳優座劇場が長年にわたり夜だけ別にレイトショー専門館としてやっていて、 名古屋で言えば「名演小劇場」がそれに近かったけど(今はフツーに映画館だね)、 名古屋にいた頃、その「俳優座トーキーナイト」というパッと聞きアングラな名称に、 とにかくボクはなんとも言えずいかがわしい濃厚な見世物小屋的魅力を感じ取って、 またそこでかかる映画が名古屋ではスルーが多いカルト系作品ばかりだったので、 情報誌を見てはいつか俳優座で映画が観たいなぁ〜とよく憧れていたモンだった。 “地方在住で東京の映画館に憧れる”という定義が今もあるのかどーかよく知らないけど、 とにかくその昔は、その俳優座とか、三百人劇場とか、アテネ・フランセ文化センターとか、 アップリンクとか、かかる映画のコア度以上に東京の劇場そのものに憧憬を抱くことが多く、 それがまたさらに映画のいかがわしさを煽ってより映画を好きになる効果的要因となっていた。 (そういや名古屋の友人はこのブログを読んじゃ「ポレポレ東中野に行きたい」とよく言っている) で、イロイロ紆余曲折経て以前に一時期東京に住んでいた頃に、ようやく晴れて念願が叶って、 初めて俳優座トーキーナイトで観たのが、知る人ゾ知るカルト迷作 『キラー・コンドーム』 だった。 客席のヤケに過剰な反応に、チョイと引いた記憶もあるけど、あん時はやっぱうれしかったなぁ。 そしてそれからまた何年かが経過し、こうして本格的に(かな〜?)東京で暮らすようになって、 けっきょくはそれが個人的には、俳優座トーキーナイトで観る最後の映画になったんだけれど、 しかし最後に相応しく、素晴らしくカルトでかつメチャクチャ面白くて今観てもきっと鮮烈なのが、 今回の 『REC/レック』 を撮ったスペインの鬼才ジャウマ・バラゲロ監督の名を広く知らしめた、 『セブン』 と並び90年代を代表するサイコ・スリラーの大傑作、『ネイムレス 無名恐怖』 だった。 その後ハリウッドに招かれ 『ダークネス』 を撮ったもののやはり向こうの水は合わなかったか、 スペインに戻り 『機械じかけの小児病棟』 という佳作を仕上げそして本作というワケなんだが、 今回はまさしく完全に息を吹き返したというほどのデキで本当に面白いホラーを見せてくれた! TVレポーターのアンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)にカメラマンの2名は、 ドキュメント番組の取材であるアパートに出動する消防隊に同行する。 ところが、現場にいたのは血塗れの老婆で、老婆は警官に噛み付き、 すると間もなく建物は外から封鎖されてしまう。救出に来た衛生士から、 建物内で発生したらしい人や動物を凶暴にする病原菌の存在を知らされ、 やがて感染した人間が次々と無菌者を襲い始め、建物は恐慌状態へ……。 というワケで復唱するけど今やスパニッシュ・ホラーの牽引車、ジャウマ・バラゲロ監督の新作は、 宣伝の通り、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』 やつい最近の 『クローバーフィールド』 に代表される、 主観撮影(「P.O.V.=ポイント・オブ・ヴュー」と言うそーな)の効果を最大限に活かしたゾンビ・ホラー! 77分というタイトな上映時間呑み物を口に運ぶのも忘れて楽しめるので四の五の言わずマズは一見。 主観撮影と言えば要は臨場感を狙って画面が揺れる今日び流行の映像スタイルの究極型のことで、 『クローバーフィールド』 なんかだとボクの場合、完全に映像に酔って車酔い状態だったんだけれど、 (しかしそれは怪獣映画としてほとんど面白くなく、結果、映像に気を取られすぎたからなんだけど) 本作ではそのカメラがTVクルー、つまりプロの腕による撮影ということで、あくまで事件の全容を、 撮影のプロのヤマッ気根性で追いかけるという設定としたために話の全体的な構成にムリがなく、 映像は揺れるけど映画がガッチリと固定されているので 『クローバー〜』 のような心配が要らない。 2人のTVクルーは消防隊員たちの夜を取材するものの火事や事故が起きなければ絵にはならず、 初めは平和だけど退屈極まりなかった夜がしかし一変、しだいに地獄と化すそのメリハリがよくて、 2人をはじめ、人々がアパートに閉じ込められるという設定により生まれるこのジャンルに不可欠な、 息詰まるような閉塞感が揺れる画面の緊張感へと直結して映画を時間とともにグイグイ締め付ける。 役者たちに展開を教えず、その場その場で少しずつシナリオを与えて即興に近い芝居をさせたという、 ドキュ・ドラマ的方式を採ることで映画にはさらにゾクゾクするような見世物的いかがわしさが醸され、 そんなTVと映画の特性を併せ活かした遊び心にワクワクと身を乗り出し話の展開を読むヒマはない。 とにかく徹底的にリアリティにこだわって無名の俳優を起用し、劇中は音楽もいっさい排除するという、 低予算を逆手にとったクリエイターたちの創意と工夫が完璧に功を奏し、そこにまたメリハリの効いた、 パワフルな残酷描写も加わって本当に頭から尻尾の先までアンコの詰まった面白さを提供してくれる! テイスト的には、ノドを突き破って手が出るほど早く観たくて待ち遠しいジョージ・A・ロメロの最新作、 『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』 にカブる部分もあるような気がするけれどそんな比較も今から楽しみ! ロメロ師匠は歳とともにやや説教臭くなってきてもいるけれどコチラは徹頭徹尾の娯楽サービス精神。 TVメディアの問題点や、マズいことはマズ隠すという体制への批判はあくまで匂わす程度の隠し味。 スペイン的ラテン気質のテンションでぶっ飛ばしこのジャンルの醍醐味をたっぷり味わわせてくれる。 今年初めに観たこれまた大傑作 『28週後…』 の監督もスペイン人だしスペインは素晴らしい国だ! なにより、ボクとそんなに歳が違わないみたいだけど童顔だからかずいぶんと若く見えるヒロイン役、 覗く谷間がヤタラと眩しいタンクトップ姿のマニュエラ・ヴェラスコの怯える顔がSッ気ソソって大満足! とにかく! 主観撮影の問題点を巧くクリアし息詰まる閉塞感と臨場感で一気に見せるホラーの快作! これこそ家じゃなく映画館といういかがわしい見世物小屋的空間で観るに相応しい1本だ! 面白ぇ〜! [ シネマスクエアとうきゅう(新宿) にて公開中 ] |
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