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help リーダーに追加 RSS リアル昆虫大戦争? もしくは仁“蟻”なき戦い!? 『バグズ・ワールド』

<<   作成日時 : 2008/07/06 17:00   >>

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今でも気なしにTVを見ていて昆虫物のドキュメンタリーなんかがやっていると、
手を止めて我知らず見入るほど実は動物以上に昆虫が好きという気持があり、
動物は今まで一度も飼ったことがないんだけれど、ガキの頃は夏になると必ず、
町の子供会等で果樹園へ行きカブトムシの幼虫を捕っていたような記憶がある。
同じくガキの頃大好きだったウルトラマンとか仮面ライダーとか戦隊ヒーローでも、
出てくる怪人や怪獣は昆虫の造形がモチーフになっている場合が多かったので、
余計昆虫に興味があったのかもしれない(TVの影響は大きい)。それに昆虫ほど、
“弱肉強食の世界の原理”を子供心に教えてくれる身近な存在はなかったと思う。

カマキリがコオロギを食べるところをみんなで見ようなんてイベント(?)はよくあったし、
(兄貴に「指切られるゾ!」と脅されたせいで小さい頃はカマキリが怖かったんだけど)
街灯の下を飛んでいる手頃な羽虫を捕まえてきてはデッカい蜘蛛の巣に引っ掛けて、
掛かった獲物をムシャムシャと食べるクモの様子を飽きずにずーっと見ていたりとか。
まぁ残酷なのはけっきょく昆虫の世界というより子供の好奇心という話なんだけれど、
しかしそれは子供の情操教育にとって大切なこと。“デス・エデュケーション”てヤツ?
なワケでボクは今でもカマキリやクモの捕食シーンとかがが大好きで(←アブナい?)、
今回の映画でもそのテの映像には、「オゥ!」と鳥肌立ちっ放しだった(←アブナい?)。

10年前にも、『ミクロコスモス』 という昆虫物のよくできたドキュメンタリー映画があって、
だけどそれは学術系や今回のような映画とは違い、クモとか蝶とかフンコロガシだとか、
とにかく、昆虫の神がかり的に芸術的な造形美だけを切り取った秀作だったんだけども、
『バグズ・ワールド』 はアリの世界の“仁義なき戦い”を描いたこれまた面白ドキュメント!
個人的には、アリだけじゃなくていろんな昆虫の生態を捉えた作品を期待していたんだが、
そんな私的要求を差し引いても、「ワ〜イワ〜イ! アリさんだ!アリさんだ!」と子供の頃、
アリの行列を見れば、オシッコをかけたり、はたまた虫メガネで1匹を焼き殺したりといった、
残酷な過去を忘れ、童心に戻った気分で楽しめる非常に素晴らしいドキュメンタリーだった。

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マズ↑この写真の構図を説明すると、舞台は西アフリカのサバンナの奥地。奥に見えるのは、
一帯に点在する数メートルにも及ぶ“オオキノコシロアリ”の巣で、それを、手前の丘の上から、
敵対する“サスライアリ”(しばらく“サムライアリ”だと思って見てた)が、じっと眺めているという。
コピーに「ネイチャー・ドキュメンタリー・“ドラマ”」とあるように、この映画の実に面白いところは、
上述の二種類のアリを二大メイン・キャストとして、その3日3晩にわたる壮絶な戦いの様子を、
まるで西部劇とかヤクザ映画のように見せてくれるところ。なるほど映画はドラマチックだった。
しかも構図的にはオオキノコシロアリが善玉でサスライアリが悪玉みたいな空気になっており、
そんな創り手側の遊び心が渋い声のナレーションと相まって、82分を一気に楽しませてくれる。

要するにこれは、“ボロスコープ”というよくわからないけどとにかく驚異の撮影技術で描かれた、
リアル昆虫大戦争、もしくはアリ版スター・ウォーズ、もしくは仁“蟻”なき戦い・サバンナ死闘篇。
まぁ喩えはなんでもいいけど、とにかく1匹の女王アリを中心に数百万匹のアリが大帝国を築き、
内部が秩序正しく管理されているというオオキノコシロアリの巨大な巣に、集団で放浪し凶暴で、
ヘビさえも寄って集って殺してしまうほどアグレッシヴなサスライアリが襲いかかるまでの様子を、
落雷や突風や激しい豪雨など地帯特有の自然の脅威を絡めながら迫力満点に描いているんだ。
二種類以外にもイロイロと出てくるため、観ている途中でどのアリが何アリだかわからなくなって、
「アリ?」って瞬間もあるんだけど(ベタだね)、なにせ上述通り虫好きだから終始ワクワクしっ放し。

蒸し暑い季節にはウザいことこの上ないけどしかし大自然の中では光沢が美しい羽アリの群れ。
忙しなくアゴを動かし土と唾液を混ぜ合わせながら城の壁を築き上げてゆく働きアリの実直な姿。
次々に産卵する女王アリの肥大したオシリがウネウネと波打つ様子はまさにエイリアンそのもの。
クライマックス、サスライアリが攻勢をつづけ争いが熾烈を極める中、大雨で巣の中が洪水になり、
一気に戦局が変わるあたりなどはまさにアリ版“硫黄島の戦い”の如き悲愴感さえ漂い息を呑む。
ヤタラと煽情的な音楽とともにアリたちが流されてゆくシーンは、まるで戦争映画のカタルシスか。
そんなアリたちの生態からうかがえるのは、殺るか殺られるか、喰うか喰われるか二つに一つの、
無常なる生き物の残酷……。彼らのミクロ世界は逆に人間とはなんゾや?とも思わせてくれる―。

とにかく、虫嫌いじゃなければ鉄板の秀作。動物や昆虫の生態はいろんなことを教えてくれるし、
アリと言えば古くからその忙しない姿が人間に喩えられたりもするけれど、たとえ1匹は非力でも、
みんなで力を合わせればどんな困難だって乗り越えられるし、どんな巨大な敵だって倒せるんだ!
というワケで本作じゃサスライアリが悪者みたいにして描かれているけれど、彼らがヘビを襲う姿、
非力な1匹が無数に集まり巨大な敵を倒す姿は、非力な1人が団結して巨大資本を倒す…そう!
最近話題の 『蟹工船』 にハマる若者たちにとっては心的象徴としたいような場面かもしれない。

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