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ただ書くだけじゃなく、観て、駄作と思ったから思ったまま駄作とは書いたものの、 しかし単にそれだけで終わってはいけないような気がなぜかして、盆休みの間に、 こないだ観た阪本順治監督の、『闇の子供たち』 の原作(梁石日著)を一気に読み、 そして帰省先の名古屋は伏見にあるミリオン座でちょうど映画がかかっていたので、 呑む約束をしている親友を待つ間も兼ね今一度観に行ってきた(経費でご馳走様!)。 (しかしキレイな劇場だったけど、案の定、受付は接客のセの字も知らないブ○だった) 結果的には、実は原作の方もグイグイ読ませてくれるワリには粗い部分も目立つ本で、 そして映画は原作と照らし合わせてもやはり中途半端としか言えないようなデキだった。 ザクッと言えば、映画は原作から映像にしやすい要点的部分をピックアップしてつなげて、 補足を加えながら見せてゆくといった構成になっていて駄作は言いすぎだった気もするが、 それでもとくに後半は、バタバタと詰め込みすぎで印象が散漫極まりない事実は否めない。 映画版独自のアイデアとしてはタイ在住の新聞記者・南部(江口洋介)を主人公としたことで、 それ自体はよかったと思うんだけど果たしてそれが功を奏していたかと言うと「?」という感じ。 要は後半、しだいに違法な臓器移植に伴う幼児買売春等々題材の暗部に侵食されるように、 自分を追い詰め始める南部の内面描写があまりに説明不足というか雑で半端すぎるために、 ラストで彼がああした道を選んでしまうというその核の部分に、まるで説得力を感じないんだ。 『闇の子供たち』 きっと監督は南部の“タイで働く日本人”という設定に、アジアに経済援助しつつも一方じゃ、 (悪く言えば)昔から喰い物にして成り立っているこの日本という豊かな先進国、要は日本の、 アジアに対する“ジレンマ”みたいな部分を託したかったと思うんだけど…それが伝わらない。 原作では、ラスト1ページでそういう題材の袋小路的な部分を巧く表現しているんだけれど―。 嫌いな俳優じゃないけどいつも小ザッパリしている江口洋介じゃ物足りなかった気もするしね。 クライマックスの銃撃戦にしても原作読んでなきゃ無理矢理すぎて展開の意味がわからない。 日本人を殺したりすると外交問題へ発展しかねないから手を下さなかったという闇の組織が、 非政治団体である社会福祉センター主催の市民集会で、あんな暴挙を冒すワケないじゃん。 それに(しつこい?)、ラストで幼児売春宿が摘発されるけど、ああした短絡さも問題だと思う。 要は単に映画を観た観客の刹那的な感情が昇華されるにすぎないような展開は…ってこと。 もちろん、幼児買売春や人身売買や違法な臓器移植なんて絶対赦されるべき問題じゃない。 しかし、けっきょくこういう題材は 『ダーウィンの悪夢』 や 『おいしいコーヒーの真実』 と同じで、 それらの問題すべての根っ子である、所詮ボクらになど想像もできない世界的“貧困”の構造、 めぐりめぐってその構造上にボクらの豊かな生活があるということを映画はしっかり言わないと。 「子供が可哀そう」だけじゃ貧困の問題は解消できない。当然、子供は“1人でも”救うべきだし、 だから子供が悲惨な目に遭ったって仕方ないなんて言ってないけど、その前提が肝心という話。 けっきょくこんな大事な内容の映画でも都内じゃ5館だし、中部地方などたった1館……。ふぅ。 なぁポニョ、劇場100館くらい分けてやってくれよ。充分稼いだろ?(「うん!ポニョお金好き!」) まぁ、タイやカンボジアを旅してイロイロ見たからなんて知った風なことを偉そうに書いてるけど、 所詮、ボクにしたってそんな旅行中はジャパン・マネーに任せて少なからず“遊んだ”ワケだし、 要は劇中に出てくる言葉を借りればボクも“気色悪い日本人”の1人だったんだ。だからボクは、 この映画の“闇”から逃れられず、原作まで読み、あまつさえ、映画を観直したのかもしれない。 今回の 『シティ・オブ・メン』 も言わば世界的貧困の現実をめぐる物語なので、その前にチョット、 『闇の〜』 を再考したかったんだが、盆休みでガッツリ充電したからかヤケに長くなってしまった。 世界中に衝撃を与えた5年前の映画、フェルナンド・メイレレス監督の 『シティ・オブ・ゴッド』 は、 “ファヴェーラ”というブラジルはリオデジャネイロ近郊にあるスラム街を舞台に、生きるか死ぬか、 そうした境遇の中で快楽にしたがい暴力衝動のままに生きる子供らの苛酷な生き様を描くことで、 人間社会の本質を炙り出し“ブラジル子供版 『仁義なき戦い』”とも評された熱い傑作だったけど、 今回はその第2章として同じくスラム街に生きる今度はもう少し年上の少年たちの姿が描かれる。 監督は違うけど、キレのある映像は前作のまま、灼けつく太陽は苛酷な南米の大地を照らし出し、 流れる数々のブラジル音楽は観る者には心地好いながらも人物の躍動や焦燥をリアルに伝えて、 “ファヴェーラ・サーガ第2章”のフレコミに相応しい及第点の1本に仕上がっている。観て損はない。 ただ、確かに面白い映画だったし、ボリュームもあって暑い夏にも適しているとは思ったんだけど、 やっぱり前作の呵責なきリアルの衝撃に較べると如何せんインパクトは弱かったような気が……。 それはまァいわゆるこのテ、それも第2章的映画の“サガ”と言ってしまえば元も子もないんだけど、 たとえば主人公の少年2人の父と子の関係をめぐるドラマはやや有り体というか要するに説教臭く、 少年グループの抗争劇にしても何か映画っぽくて(映画だけど)、要はファヴェーラというスラム街が、 舞台装置として確立してしまっている感じが妙な安心感を生んでいるためイマイチ迫力不足なんだ。 だから今回は銃撃戦とかに力を入れるよりも、もっと、それこそ 『仁義〜』 の“広島死闘篇” みたく、 主人公2人の生き様をじっくり綴る重厚な人間ドラマを目指した方がよかったと思ったんだけど……。 ガッツリ充電とは言いながら久しぶりで指が疲れたので 『シティ・オブ・メン』 に関しては雑感程度。 とにかく今回は、それ以上に 『闇の子供たち』 について今一度じっくり考えてみたかったんだ……。 とは言え、盆休みは、昔の恋を忍び、連日連夜呑み続け、名古屋の“イケない夜”に芯から塗れた。 だけどこんな恵まれた世界の裏で、今も苛酷な生を生きてる人が数え切れないぐらいいるんだよな。 とまぁ、こんな腑抜けた〆こそクソだけど、しかし、大人も子供もまだまだ浮かれる夏。フヤケた頭に、 ガツンと一撃喰らうようなパンチの効いた映画を観たい。…というワケでブログ名を少々リニューアル。 『シティ・オブ・メン』 [ シネ・アミューズ(渋谷) にて公開中 ] 『闇の子供たち』 [ シネマライズ(渋谷) にて公開中 8月30日(土)より 有楽町スバル座、新宿ミラノ ほかにて公開 ] |
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