道端のゲ○を見て芸術と呼べるか!? 「ミヒャエル・ハネケ映画祭」

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現代オーストリアを代表する巨匠(巨匠だなんて知らなかった…)、
ミヒャエル・ハネケ(1942年/ドイツ・ミュンヘン生まれ)の不快な映画を観るという行為は、
たとえば、友人としたたか酔った帰り道、見なきゃいいのに道端に吐かれたゲ○を見て、
「あ、見て見て、ゲ○」と指差してしまう、そんな感覚に似ている。
実際問題、ハネケの創る映画はゲ○以外の何ものでもない。
ゲ○以上でも、ゲ○以下でもない。ゲ○そのものである。
しかし世の中には、たとえ道端に吐かれたゲ○であってもそこに芸術を見出す人がおり、
そうされるとコチラもまったく興味本位にゲ○の内容物を仔細に確かめてみたくなったりして、
だけど、その内容物からどれだけ“吐き主”の個性を垣間見ようとしても所詮ゲ○はゲ○。
ペーストに混じったコーンやナルトに人生の深淵や世の無常を覗く前に必ずエズいてしまい、
けっきょく不快なものは不快なままで、コチラは食欲が戻るのをしばし待たねばならなくなる。
哀しいかな、映画を観るとは時にこうした自虐行為の繰り返しであったりするのだ。南無。

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ボクが最初に見たゲ○、もといミヒャエル・ハネケの作品は、
多くの人と同じように1997年の 『ファニーゲーム』(写真↑)。
殺人や暴力をゲーム感覚で捉える無機質な少年たちにある中流一家がなぶり殺しにされる、
本当にただそれだけの映画で、娯楽的なカタルシスもなければ考えさせられるテーマもなく、
映画ファンの間でも非難轟々だったという異色の問題作だ。
だけど、そのあまりに(それこそ)ゲーム的な展開は単に作品を軽薄にしているだけにすぎず、
劇中、流れる(犯人が故意に流すんだっケ?)音楽がデス・メタルというのもありがちな発想で、
正直、言うほど不快というより(不快は不快だが)単純にツマラないとしか言えない代物だった。
ホラー映画が好きなんだからそういうのも好きなんじゃないの?と言われてしまいそうだが、
それはボクに言わせれば、“ホラー映画に愛着がない”からこそ言えるセリフでしかない。

しかし、もっと酷いのはコレ、『ピアニスト』(’01)。
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その年のカンヌ国際映画祭で審査員グランプリ(最高賞パルムドールとは別)、
主演男優賞(ブノワ・マジメル)、主演女優賞(イザベル・ユペール)の3冠を達成したという、
なんとも華々しい経歴の作品なんだが、その年にはよっぽどロクな映画がなかったと見える。
厳格で偏執的な老いた母親と二人暮らしをしている独身の中年女性教授が、
歳下の青年に恋焦がれるあまり凶行に及ぶ…という話の概略だけを聞けば、
いかにも映画はル・シネマやシネスイッチ系という中流マダムが涎してよろこびそうな展開を、
これまたしょーもない不愉快“まな板ショー”で濁すただそれだけの愛欲の物語。
だけど、それは言いすぎと怒られるかもしれないがやっていることはただのコント。
愛欲を不快な対象として描くのはケッコウだが展開があまりにも行き当たりばったりなために、
感情移入して不愉快な気分に陥るという前に、途中で映画そのものに飽きがきてしまうのだ。
ラストのイザベル・ユペールなんて今観たらパッション屋良の「んっ!」である(わかるかな?)。

最初、ハネケのプロフィールについてなんの知識もないまま 『ファニーゲーム』 を観た時、
どーせコレを撮った監督はギャスパー・ノエの親戚みたいなヤツだろうと思っていたんだけど、
今回の映画祭のフライヤーに載っているハネケの写真を見て、意外にじいさんなので驚いた。
ヤツのことを映像サディストと呼ぶのは容易いが、それとはチョット違う気がする。
いったい何が楽しくてこんな嫌がらせみたいな映画ばかり撮るんだろう?
それがこの上映会目当てにワザワザ円山町へと通うなによりの動機。
先日、ヤツのデビュー作である 『セブンス コンチネント』(’89)を観たが、
(劇場は立ち見の出る盛況ぶりだった。みんなゲ○を見るために? ボクはゲ○を見るために)
デビュー作からしてコレかよ!という見事なまでの嫌がらせぶりにある意味見直してしまった。
コイツは命懸けて人の嫌がる映画を撮ろうとしている……。

「映画とは真実を追い求めるのに有益となる1秒間に24回つかれる嘘なのだ」―M・ハネケ
…言ってる意味がまったくよくわからない。アナタわかる?
道端に吐かれたゲ○のコクや色具合に世の真実を見出せるか? アナタの感性が問われる。
なぁ~んちゃって。

「ミヒャエル・ハネケ映画祭」
ユーロスペース(渋谷) にて4月28日(金)まで開催
 ミヒャエル・ハネケ最新作 『隠された記憶』 は上記同劇場にて4月29日(土)より公開 ]

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