キミは、ドン・コスカレリを知っているか!? 『プレスリーVSミイラ男』

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と、大ブロシキを広げてみるワリには、
観ているのはけっきょく 『ファンタズム』(’79)だけだったりするんだけど、
しかし、いまだ“ドン・コスカレリ”の名をカルトたらしめるこの不朽の名作ホラーは、
少年期特有の“死”に対する恐怖と幻想を、見事に映像に託した大傑作だ!
肉親の死を経験し、死の想念に取り憑かれた少年の垣間見る死後(幻想)の世界―。
あれほど子供心の死のイメージをうまく表現した映画はチョット今でもないんじゃないか?
“少年”、そして“死の恐怖”というそんな2つのキーワードから、
これはもしかすると“早すぎた 『ゲド戦記』”と呼ぶこともできるかもしれない。
ホラーとは言えスプラッター色は薄く、ファンタジックに暗い世界観は深い郷愁にも充ちて、
そして“トールマン”という名キャラクターと“シルバースフィア”という名フィギュアに心が踊り、
今もこのシリーズは世界中でコアなファンを増やし続けているに違いない(多分…)。

とにかく、そんな稀代のカルト監督が久しぶりにこんな映画を撮ったという。
特別、プレスリーが好きというワケでもなければ、
キャラクターとして“ミイラ”にソソられるワケでもないんだけれど、
しかし「プレスリーとミイラが戦う」と言われれば食指の動かないハズはないし、
中途半端なB級監督ならともかくそれをコスカレリが撮ったと聞けば観ないワケにいかない。

というワケで、パッと見いかにも脱力系のこの 『プレスリーVSミイラ男』 は、
確かに全篇にわたりユルくはあってもどこかで1本筋の通った、
要はポリシーも感じさせてくれる時代を超越したような見事なカルトぶりに仕上がった。

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 名声に嫌気が差して自分のモノマネ芸人と入れ替わり、
 第二の人生を送るエルヴィス・プレスリー(ブルース・キャンベル)が入院する老人ホームで、
 入居者が突然、不自然な死を遂げるという怪事件が続発していた。
 ホーム仲間のジャック(オシー・デイヴィス)は、
 全米巡回中に行方不明となった4千年前のエジプトのミイラの仕業だと見抜き、
 2人は老体に鞭打ってミイラ男退治へと立ち上がる……。

「プレスリー対ミイラ」という、まるで地方の体育館しか廻れない、
インディー・プロレス並みの企画試合に、監督がコスカレリで、そして、
主演が 『死霊のはらわた』 のブルース・キャンベルと聞けば(言われなきゃ気づかなかった)、
イカンせんカルト的難易度を高く感じて“一見さんお断り”みたいな雰囲気だけど、
決してそんなことはなく逆に敷居は途轍もなく低いぐらいで映画はタイトルそのまんま。
タイトル以上でもなけりゃタイトル以下でもなく本当に実は生きていて歳を喰ったプレスリーが、
自分をケネディだと思い込んでいる“黒人”のじぃさん(着色されたらしい・・・)の協力を得て、
なんだか“イナセ”なカッコをしたミイラと対決するというその過程を素直に描いて終わるだけ。

本当はこういういかにも“B級狙い”な映画でハシャぐのは好きじゃないんだけど、
語る言葉にテーマや教訓なんて微塵もないがポリシーだけはあるゼという、
人物に喩えれば高田純次のようなこのテの映画はやっぱり好きだし、
観れば作りには思いのほか腰の据わった巨匠の風格も感じられて(?)、
ほどよく抑制の効いた下世話なネタも、ワキ腹を心地好くくすぐってくれる。
なにより、ラストのキュンとするよなしんみり感こそ70年代B級映画のテイストだということを、
映画好きのキミになら、きっと理解してもらえるハズだ!

そしてこの映画のもうひとつの目玉はもちろん、物語の最初の方に出てくる、
『ファンタズム』 のシルバースフィアの生まれ変わりみたいなデッカい甲虫のフィギュアだ!
シルバーの脳天ドリルのようにこれも殻から細長いドリル状の虫の頭がニョキッと出てきて、
そんなB級アイテムとプレスリーがジャレるのを見ているだけでゾクゾクワクワクと心が躍る!
あぁ~あの甲虫のフィギュア、ほしいなぁ~。

とにかく、超B級な発想に腰が砕けつつもアナログな魅力満載で、
下ネタも憎めずしかも人生のペーソスさえ仄かに感じさせてくれるブルージーな怪作!
気が抜け切って、カラダも脳ミソもフヤける正月にはもってこい(?)の珍品だ。

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