ドリューに胸キュン(80年代死語)の快作! 『ラブソングができるまで』

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“80年代”と聞いて思い出すのはやはりあの空前の“バンド・ブーム”。
「それ何?」という人は大槻ケンヂの著書、リンダリンダラバーソールを読めば、
バンド・ブームとは、いったいなんだったのか?ということや、
ブームが今の音楽業界にどうつながっているかを俯瞰で捉えることができると思うんだけど、
とにかく先月の終わりにボクは、その大槻ケンヂがかつて組んでいて、
まさしく、ブームを超えて80年代を代表するバンドのひとつだった、
筋肉少女帯の“復活”ライヴにイソイソと出かけてきた―。

どういうワケか筋少(略して)もいつの間にか新しいファン層を獲得して、
超満員の会場には10代や20代前半と思しき人もけっこういたんだけど、
やっぱり全体の印象としてはどこか時代の同窓会的な雰囲気も濃厚で、
ボクを含め、よっぽどみんな今の世間に居場所がないと見え、
世の中に恨み辛みでもあるのかと言わんばかりに凄まじい盛り上がり方で驚いた。

ところが、そのライヴからしばらく経って、
今度は新しく始まったHNKの夜の音楽番組に筋少が出るというので見てたんだけど、
ほかの出演ミュージシャンが大塚愛だなんだといかにも今どきななかで、
まさしく現代の一般リスナー代表と言わんばかりの客席は、
筋少の独特のステージングに「???」というリアクションもあからさま。
番組を仕事しながらボンヤリ見ていたボクはなぜか、
まるで自分の存在が珍しがられているようななんとも複雑な気分に陥って、
やや居たたまれない思いで曲が終わると同時にTVのスイッチを切ってしまった。

最近、やたらとTVに80年代に活躍していたタレントが「どーもー」みたいな感じで出ていて、
そんな様子を往時を懐かしみつつ見ているとしかしこれはあくまで印象として思うんだけど、
どこか“80年代”というのは今“珍獣”扱いされる傾向にあるような気がどーしても否めない。
今やオーケンはチョットした売れっ子作家だけど、
ミュージシャンとしてはやはり80年代の人なのかなぁ。
そしてボクらも……。あぁ!80年代が懐かしいぃ!



そんななか、まるで珍獣みたいだった80年代を懐かしみつつ上出来のロマンチック・コメディ、
そしてドリュー・バリモアがヒロインの傑作と言えば思い出すのは当然、
アダム・サンドラーと共演した 『ウェディング・シンガー』 しかないとは思うんだけど、
そんなドリューの最新作、この 『ラブソングができるまで』 は、
80年代がひとつのキーワードでありながらも、
昨年の埋もれた大傑作 『2番目のキス』 につづく彼女の魅力満載の1本だ!

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 すっかり人気のなくなった80年代の元ポップスター、アレックス(ヒュー・グラント)。
 今や往年の“ギャル”たちを相手にショボくれたイベントを賑わせる程度の日々だった。
 そんな彼のもとに、人気絶頂の歌姫からデュエット曲の作曲と収録のオファーが舞い込む。
 絶好のカムバックチャンスを得るアレックスだったが、彼は作詞が大の苦手。
 そこで、彼は花の水やりのバイトで訪れたソフィー(ドリュー)を巻き込むことにするが、
 彼女は小説家との失恋をキッカケに書くことをやめてしまった作家志望の女性だった……。

80年代がキーワードとは言っても舞台は現代。
要は今回のドリューのお相手であるグラント演じるアレックスが、
かつて80年代に活躍していたミュージシャンでいわゆる“過去の人”というだけ。
開巻いきなり流れる、アレックスのバンド“PoP!”の当時のミュージックビデオは、
まさに80年代としか言えないようなダサ懐かしいテイストでクツクツ笑いが止まらず、
このオープニングでマズはドラマの世界のなかに一気に引き込まれて、
あとは過不足なくアレックスとソフィーの恋のサヤ当てが楽しく展開されてゆく。

とくに不満もなく、現状をそこそこ維持しながら過去に生きていた男が、
新しい恋と出逢って“今”に同化してゆく様子と、
不貞腐れることなくある意味自然体な彼が相手だからこそ、
頑なに閉ざしていた心を少しずつ解きほぐしてゆくヒロインの心情は、
まぁベタと言えば相当にベタなんだけどしかしさりげなさに充ちていて、
グッと応援したくなるし「あぁ~こんな恋がしたいなぁ」と素直に思わせてくれる。

2人の恋の展開を、そのまま曲作りの過程に重ねた構成がとにかくバツグンだし、
なによりひとつひとつが比喩の利いた歌詞みたいになっているセリフの数々が絶妙。
要するに1本の映画が、1曲の歌のような感じに構成されているのだ。ココが巧い!

なんだか、顔がしだいにクリストファー・ウォーケン化してゆくグラントは、
やっぱりこういう役を演じさせればスッポリとハマって絶妙に笑わせてくれるし、
そこそこいい歳なのに全然違和感なく可愛いドリューもやっぱり超が付くほど魅力的。
クライマックスのライヴのシーンでは、こんな映画なのにまたしてもポロポロと泣いてしまった。

主役の2人から細かい脇に至るまでキャストはカンペキ。
誤った仏教のイメージに感化されている歌姫コーラのキャラにも、
今の音楽に対する諷刺が含ませてある気がするれどそこに嫌みはなく、
ラストでのアレックスとのデュエットにはドラマも併せて本当に聴き入ってしまう。

とにかく! この先GWに向けていろんな映画があると思うけど、
期間中、デートで1本だけ観るとすればボクがススメるのは完全にコレ!
または別にデートじゃなくとも男が1人で観ても女が1人で観ても全然苦しくない、
今どきよくできた大人のロマンチック・コメディのこれは新たなる傑作だ!

新宿ジョイシネマ ほかにて公開中 ]

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