桜の森の満開の下で韓国映画二本立! 『永遠の恋』&『黒い家』

週末、久しぶりに映画を観に行って楽しかった―。
映画ばっかり観てるクセして何をバカなと思われそうだし、
実際、久しぶりとは言えそれは10日ぶりぐらいのことなんだけど、
しかし日々こうしてメシを食うのやウ○コするのと似たような感覚で、
映画を観ている人間にしたら10日と言えばケッコウなブランクであり、
それぐらい空くともはや映画館に行くこと自体を新鮮に感じたりもする。
まぁ映画を“受け止める”感覚が鈍らないためにも時には必要なことなのだ。
それは男と女の関係にもなぞらえられる話で、言わば“冷却期間”というヤツ。
いかに好きでも、しょっちゅう観てればやっぱり“慣れ合い”になるモノなんです。

そして慣れ合いと言ったら仕事も同じ。それは当然慣れた職場がイチバン楽だし、
慣れた仕事で定期収入のあるというのが精神的にはベストなんだけど、とは言え、
金だけを理由にいつまでも“実のない関係”をつづけても詮ないし、そんなこんなで、
仕事をひとつ辞めてしまった―。と思ったら辞める間際に風邪をひいて久々に寝込み、
辞めたら辞めたで心にポッカリ穴が開いたように気が抜けて若干無気力となってしまい、
正直、あまり映画を観る気にならず気がついたら新年度も過ぎていた……と。春なんだな。

で、久しぶりだし2本ぐらいは観たいと思って出かけたのが渋谷のイメージフォーラム。
渋谷の映画館はどこもあまり好きじゃないけど、ここは宮益坂を上がり切ったあたりの、
あの駅前や道玄坂、センター街方面のド喧騒からは離れたチョット静かめな場所にあり、
映画も商業系とは一線を画した質重視のラインナップになっているのでワリに通っている。
(同様の条件・理由でアップリンクも好きなんだけど、如何せんあそこは単純に“観にくい”)
周知の通り、週末はポカポカ陽気でこれ以上ないというくらいの絶好のお花見日和だった。
とか言って個人的には花見とか好きじゃないんだけど、しかしいくら映画が室内娯楽でも、
観る時だって日和がよいに越したことはないワケで、週末は絶好の映画日和でもあった。

ま、先に書いてしまえば今回の1本目の韓国映画は質はともかくそれほど面白くなく、
しかも映写トラブルが起きるオマケ付きで、久しぶりなのに!とチョットだけムッとしたし、
公開初日のボチボチの入りで会場には「なんだよモ~!」 という空気も充満したんだけど、
しかしまぁそんなトラブルも映画館という生だからこその醍醐味と言えば醍醐味で(優しい)、
上映後には等しく全員に劇場招待券をくれていたのでなんか逆に得したような気分だった。
仕事ひとつ辞めたから助かるし、これで、コスタの 『コロッサル・ユース』 はただ観ができる。

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『永遠の恋』

「韓国アートフィルム・ショーケース2008」。その3番手として現在公開中の 『永遠の恋』 は、
一見、いかにも韓流ドラマっぽいタイトルだけどしかしその実、多くの韓流物とは一線を画し、
かなりオリジナリティに溢れ新進作家の意気込みを感じさせる意欲的なファンタジー・ロマン。
パク・チョンヒ独裁政権下の抑圧された韓国社会を背景に、現在と未来、現実と幻想、そして、
生と死の境界線を登場人物が飛び越えて描かれる韓国版“世にも奇妙な物語”的恋愛譚だ。
正直発想は面白いんだけど物語が整理し切れていないのかテンポが悪く間延びも目立つし、
軍事政権時代の描き方も何か紋切り型でいかにも青臭いという感じで時代的緊迫感がなく、
結果、作者の意欲ばかりが空廻りしてどこが核なのかわかりにくいといった印象なんだけど、
しかし、ラストのオチに頼らずそこへと至る過程を大切にしながらドラマを紡いでゆく真摯さや、
ある程度の解釈を観客に委ねて、映画らしくあらゆる境界線を飛び越える自由な表現法など、
作家性と娯楽性の両立を極めて誠実に図ろうとするその生マジメな作家的姿勢は素晴らしく、
そう考えれば、材料が揃っているだけに非常にモッタイナイと思える1本ではあった。監督は、
『雨月物語』 を好きらしいけど、それよりボクはベロッキオの 『夜よ、こんにちは』 を連想した。
先にも書いた通り決して必見とは言えないけど、“韓流≠韓国映画”ということだけは事実だ。

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『黒い家』

一方、これをつづけて観たワケじゃないんだけれど、同じ韓国映画という括りでつづいては、
10年ほど前にホラー小説大賞を受賞した貴志祐介の代表作、『黒い家』 の韓国リメイク版、
タイトルそのまま 『黒い家』。さほど期待していなかったからか、コチラはかなり面白かった。
森田芳光がフザケて撮った、日本版より断然面白い(あれはあれで嫌いとは言わないけど)。
ケッコウ原作に忠実に(確か。昔読んだキリなので)、しかし自由に翻案するところはしながら、
保険業界の内幕を通して見る、人間の心の暗い闇や、人が好いゆえに災難に巻き込まれる、
主人公の内面描写といった核の部分を大切にしつつ創ってあるのが森田版との大きな違い。
それでいてクライマックスの畳み掛けは韓国映画らしくチョットやりすぎというくらい徹底的で、
皮膚にベッタリと張り付くような恐怖演出と旺盛な残酷描写でお腹イッパイ楽しませてくれる。
ヘタな幽霊云々とかじゃない人間の本質的怖さという題材が逆に韓国映画には合うのだろう。
ホラー魂をガッツリ見せて、しかし最後の最後をエモーショナルにもってゆくところも韓国的だ。
それにユソン( 『4人の食卓』 『鬘』 )みたいな美人女優があそこまで役に徹するあたりも感服。
『悪魔のいけにえ』 や 『ソウ』 というよりボクは池田敏春の 『ちぎれた愛の殺人』 を連想した。
地味だし劇場ヒットは無理とは思うけど、DVDが出ればぜひ観てほしい韓国ホラーの快作だ!



折からの激しい雨で、今年の桜も、そしてにっくき花粉の季節もソロソロ終わりだ―。
新緑が青々とするが如く春は観たい映画も増えるので、今月は頑張って観ようかな。
とは言いつつ来年も俺は一人で桜を見ているのかしら…と、春ゆえにため息もひとつ。

『永遠の恋』
シアター・イメージフォーラム(渋谷) にて4月18日(金) まで公開 ]
『黒い家』
シネマート六本木 ほかにて公開中 ]

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