食はアジアにあり、娯楽映画もアジアにあり! 『コネクテッド』&『セブンデイズ』

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娯楽映画といえばやっぱりハリウッド!というのも今やもうひと昔前の話。日本でも、そして本国アメリカでも、
ハリウッド製娯楽大作にトンと客が入らなくなり、結果、アメコミとファミリー・アニメとリメイクが流行りとなって、
ここ何年かのアカデミー賞にノミネートされる作品なんかを見ても地味だけどワリに質重視といったものが多く、
時代も変わったなァ~と思いながら、まぁそれはそれでケッコウなことなんではないかというのが正直なところ。
だけどやっぱりボク個人としては、腕組みをしてウ~んとか思いながら観るようなチョット難しい映画なんゾより、
手に汗握るアクションや銃撃戦が満載のいかにも娯楽作!といった感じの映画の方が基本的には好きだから、
時にはそういう映画も観ないと欲求不満気味となってしまうところがあるんだけど、じゃあハリウッドの代わりに、
今、そんな娯楽の王道みたいな映画を見せてくれるのがどこかといえばそれはもちろん、アジアに他ならない!

まぁアジアとザックリ括っても、日本を除く韓国とか香港とか中国とかタイとかインドの映画のことを言っていて、
個人的には若干物足りない感じだったものの 『レッドクリフ』 の大躍進などはそのなによりの証だったと思うし、
チャウ・シンチーやジョニー・トーの成熟ぶりを見ればわかる通り香港映画の昨今の充実ぶりには驚くばかりで、
“東洋のハリウッド”なんて呼ばれていた往時の勢いを質的にも量的にも上廻ったのはほぼ間違いのない事実。
そんな中! ただでさえ完全に復権した香港映画への信頼感をさらにブ厚くしてくれる最高に面白い1本がコレ!
『コネクテッド』! 香港の映画人や香港映画がハリウッドで認められるというパターンはこれまでよくあったけど、
ハリウッド映画の香港リメイクというのは本作が史上初らしく、しかしリメイクといってもそれはネタ枯れとは違い、
今回の場合はかつての“二番煎じ”“粗製乱造”も反省した上での香港映画のハリウッド超えと見るのが正しい。

前評判がえらく高い映画だったのでそれを自分の目で確かめる気持もあったんだけど、ボクが観に行った日は、
ちょーど月始めの映画サービスデー、しかも土曜日ということも重なって小規模公開ながら会場はビッチリ満席。
1時間前に行ったのに整理番号はかなり後の方で、そのワリにいい席に座れてそれはまぁよかったんだけれど、
隣の席にいかにも、ボクたちケッコウ映画観てます的な雰囲気の若者が2人いてなんとな~く話を聞いていたら、

 若者A:「あまりこういう映画は観ないんだよねぇ」
 若者B:「普段はどういう映画が好きなんですか?」
 若者A:「ん~フランス映画…かな」(出た!フランス映画!←岡田っぽく心の声)
 若者B:「あ~フランス映画って、“空気感”とかありますよね」(空気感?)
 若者A:「どういう映画が好きなの?」
 若者B:「岩井俊二とかが好きなんですよ。“空気感”がいいってゆうか…」

オマエは空気人形か! と言いたいことはわかりつつも思わずツッコミたくなるような薄ぃ会話をしていて、
そんなに背伸びして映画観てたら三十路になる前に息切れするゼ…と心の中でニヤニヤしながら(←性格悪い)、
しかし若い時分は俺も同じだったかな?と振り返りつつだけどやっぱり映画ってのは本来こういうモンでしょ!と、
Bの彼曰くの“空気感”とはまったく無縁の映画とはいえとにかく時間いっぱい楽しめる本当に面白い1本だった!



リメイク、リメイクって、じゃあいったいどんなハリウッド映画のリメイクかといえばこれが実は知る人ゾ知る1本で、
原案が、数多くのB級映画を手掛けてきた名脚本家として知られるラリー・コーエン、主演がキム・ベイシンガー、
監督がこれがまたハリウッドで最も信頼できる娯楽映画職人の1人、デイヴィッド・エリスという快作 『セルラー』
もちろんリメイクに至る経緯なんて知らんけど、この作品選びからして香港映画界の目が確かなのは間違いなく、
そんなハリウッドの職人が創った娯楽映画を今度は香港の職人が独自の味つけで料理し直すっていうんだから、
言ってしまえばコレ、面白くならないハズがないんだ。というワケで、物語のベースたる設定はオリジナルのまま。
ある日突然、見知らぬ男らに拉致されたシングル・マザーが、監禁された部屋で粉々になった電話回線を修復し、
タマタマつながった電話の向こうの男に助けを求めるところから話がどんどん広がってゆくという(しかし凄い設定)。

ヒロインをロボット工学者というバリバリ理系の才女に設定し直したことや、ヒロイン側に子供がいるだけじゃなく、
男にも子供がおり、オリジナルの気弱な設定を活かしつつ子供に嫌われる寸前のダメ父親へとキャラを膨らまし、
そう人物の背景を肉付けすることで実に香港映画らしい親子のドラマとしても厚みを持たせているのが本作の肝。
とはいえオリジナル同様、前フリをサッサとすませ観客をトットとジェットコースターに乗せるような勢いたるや潔く、
監督が 『香港国際警察/NEW POLICE STORY』 のベニー・チャンということでアクションもカーチェイスも大増量!
誰1人そんなに頼んでないのにゴハンを大盛りにされるような感じでとにかく車は何台も何台もムダに大破するし、
“洗練”なんてどこ吹く風、これが香港映画よ!という、過剰な老舗的サービス精神でコチラのド肝を抜いてくれる。
尺がケッコウ長くなってるけどクライマックスへ向けてどんどん加速し膨らんでゆくから手に汗握って飽きる暇なし!

バービー・スーがキム・ベイシンガーより説得力10割増しで強い母親を演じれば、香港映画屈指のイケメン俳優、
ルイス・クーが、気弱なダメ父親から子供や困った誰かのためにたくましくなってゆく男を魅力いっぱいに大好演。
銀髪に染めたリウ・イエの悪人ぶりも堂に入ってるしジョニー・トー映画の常連ニック・チョンもヤタラにナイスガイ!
もちろんこの父親役はルイス・クーでまったく問題ないんだけど、しかしこういう役こそジャッキーじゃないかなぁと、
でもジャッキーはやりたくないかなぁと、ないモノねだりみたいにボクはそんなことを考えつつ映画を楽しんでいた。
とにかく笑えるしハラハラするしで「映画観たァ!」という気分になれる暑気払いに最適(多分)の1本になっている!
一方、そんな風に映画が全力疾走していて“熱い”といえば、香港にまったく負けていないのがお隣・韓国映画で、
前の 『チェイサー』 なんて最高だったけど次の 『セブンデイズ』 もまた韓国映画の底力を存分に体感させてくれる。



正直、娘を誘拐された敏腕女性弁護士が犯人の要求を呑んである殺人犯を無罪にすべく奔走するという物語は、
かなり強引で粗も多く、それをヤタラとケレン味旺盛な映像と仰々しい音楽でゴマかしている感も否めないものの、
そんなこと承知で全力疾走しているような 『鬘(かつら)』 のウォン・シニョン監督のパワフルな演出は逆に清々しく、
なによりこの、観客の胸ぐらをグワッと掴み「ガタガタ言わんと黙ってついてきなっせぇー!」とでも言わんばかりの、
韓国映画の力強さってボクは大好きだし、モトモト騙されやすい質とはいえこの結末、ボクはまったく読めなかった。
しかし、そんな結末に向かい二転三転してゆく怒涛のストーリー展開がウリとは言いつつ話の軸になっているのは、
子を想う母親の狂気にも近い“執念”……。今や国際派女優キム・ユンジンの熱演もほんと~に素晴らしい力作だ!!
公開からだいぶ経って終わりそうな感じだけど、できればなんの予備知識もなしにDVDでいいから観てみてほしい。

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こういう女優さん、今の日本映画にはいないね…。

上記2本とも娘を誘拐される母親が出てきて、そういえば似た話が今公開中のどこかの国の映画にもあるけれど、
ソチラには母親の執念など微塵も感じなければ、サスペンスの緊張感もまったくなしの金だけかかった観光映画!
織○裕二くんもサ、いい加減あんな金儲けしか考えてないTV局と縁切ってイッソ香港映画に行けばいいじゃない?
じじぃになるまで役者やってそれで代表作が踊る大前立腺なんて悲しすぎるじゃん! そんな悪くない役者なのに。
手先の器用な日本人らしく(?)、洋画以上に肌理細やかな“空気感”もそりゃ日本映画のよい部分だとは思うけど、
しかしやっぱりジャッキーやマイケル・ホイを観ながら育ち「西部警察」に燃えた時代が忘れられない世代としては、
今の小ギレ~イなだけで血も汗も流れない日本映画はヌルくてかなわんのだよ!(けっきょく最後は愚痴になった)
というワケで! そんな日頃の鬱憤を発散するためにも同胞アジアの映画を観て少しでも熱くなりたいじゃないか!

『コネクテッド』
新宿武蔵野館有楽町スバル座 にて公開中 ]
『セブンデイズ』
シネマート六本木 にて公開中 ]