ザ・ハリウッドな二本立! 『トラブル・イン・ハリウッド』&『コップ・アウト~刑事〈デカ〉した奴ら~』

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バリー・レヴィンソン監督(1942年~)といえば、多分一般的にはアカデミー賞やベルリン国際映画祭で受賞した、
『レインマン』(’88)や 『グッドモーニング,ベトナム』(’87)の監督として知られているんじゃないかと思うんだけど、
しかしボクにとってこの人といえばやっぱり今も好きなのは、ミッキー・ロークが出ている 『ダイナー』(’82)だとか、
ロバート・レッドフォード主演の 『ナチュラル』(’84)といったあたり。ロビン・ウィリアムスの 『トイズ』(’92)もいいよ。
『ダイナー』 なんか、大人になり切れない若者たちの日々を郷愁いっぱいに描く“青春の終わりかけ”映画として、
今観てもきっと誰もが共感できる佳作じゃないかと思うし、『ナチュラル』 の、あの花火がど~ん!のラストだって、
メチャクチャにベタなんだけど絶対泣いてしまうハズ(因みに野球の映画です)。『トイズ』 は、一見すると他愛ない、
オモチャ工場が舞台のファンタジーなんだけど実は反戦映画にもなっていて観ながらアレコレと考えさせてくれる。

とにかく、バリー・レヴィンソンといえば、80、90年代頃にはよく聞く名前だったんだけど、いつぐらいからだろうか?
というより、洋画の勢いが衰えたゼロ年代には、日本じゃとんと名を聞くこともなくなって、最後に観た監督作って、
デ・ニーロと、ダスティン・ホフマン共演の 『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(’97)か 『スフィア』(’98)だったっケ?
と思って調べればそうでもなく最後に観たのはブルース・ウィリス主演の 『バンディッツ』(’01)だった。そーだった。
というワケで、そんな忘れ去られし名匠バリー・レヴィンソンの近作が青天の霹靂っぽく公開、しかも監督とともに、
製作に名を連ねながら主演しているのが名優ロバート・デ・ニーロ、そして内容がハリウッドの内幕物ということで、
面白そう、というよりはなんか妙に懐かしい気がして観に行ったこの、『トラブル・イン・ハリウッド』 だったんだけど、
ウん、まーまーだったとはいえここまでキャストが豪華でなけりゃやっぱり未公開だったかも、という1本じゃあった。



ご存知、映画の都ハリウッド。敏腕映画プロデューサーのベンは、自分が製作したカンヌ出品作の試写に臨むが、
ジャンキー監督がラストに“犬を射殺する”という描写を入れたためモニターは不評の嵐。映画会社の女社長には、
再編集を迫られるワ、しかし監督は自棄を起こすワで四苦八苦。オマケにブルース・ウィリスが新作の撮影を前に、
勝手にヒゲを生やしてイメージ・チェンジするなどもうテンテコ舞いで、その悪影響はついに私生活にまで波及する。
という具合に、本作は、1人の映画プロデューサーが、映画会社と映画監督、映画会社と映画俳優、そして監督と、
俳優などイロイロなケースの板挟みに右往左往とする様子を通して映画業界の裏側を皮肉ったシニカルなコメディ。
ショーン・ペンが映画内映画の主役として、また、ブルース・ウィリスも本人役として登場するなど、なにしろ豪華で、
デ・ニーロが主役ということもあり見映えだけはズッシリしたいかにもハリウッド!って趣きの1本に仕上がっている。

ただ、内幕物としては今一つというか、世界の映画事情を見渡してもとかく商業主義が徹底しているハリウッドで、
“映画は監督のものにあらず”というのはボクらぺーぺーの映画好きでもたいがい知っている事実だから、劇中の、
ジャンキー監督の件はそれほど面白い部分でもないし、あとは俳優のワガママに振り廻されているというぐらいで、
デ・ニーロ演じる主人公を観ていても「映画プロデューサーは辛いよ…」というのが伝わる程度なため、それを超え、
近年弱体化が顕著でアメコミとアニメ、リメイクと3D頼みになってるハリウッドへの真の皮肉とはなっていないのが、
正直、観ていて物足りなかった。本当にこれは業界内の一個人を描いただけの“映画びんびん物語”(喩えも古っ)。
それよりショーン・ペンとロビン・ライト(旧:ロビン・ライト・ペン)が揃って出ているという方が感慨深かったりしたよね!
でもやっぱ、映画プロデューサーには成り上がりが目的のイイ女がいくらでも寄ってきていいなぁ~とは凄く思った。


一方、少しイマイチだった 『トラブル~』 の代わりに、といってはアレだけど、上にも出ているブルース・ウィリスが、
久々に刑事役、それも孤軍奮闘型じゃなく、“バディ(2人組)物”に挑んでいてすっごく面白かったという、それこそ、
ザ・ハリウッド!って趣きの映画が、現在、銀座シネパトスで上映中の 『コップ・アウト ~刑事〈デカ〉した奴ら~』
時に俳優、プロデューサーとしても活躍し、『チェイシング・エイミー』 や 『ドグマ』 などの傑作で根強い人気を誇る、
カルト監督ケヴィン・スミスが初めて他人の脚本を手掛けたということでどれどれと思いながら観に行ったんだけど、
いやぁ~ほんと~に面白かった! こういうのを“気の利いた”娯楽作っていうんだよ。なぜみんな観ないのかなぁ?
話は、愛娘の挙式費用を捻出すべく、レア物のベースボールカードを売ろうとした、ウィリス扮するベテラン刑事が、
カードを盗まれた挙句、その行方を追うウチに長年の相棒と一緒にギャングの陰謀へ巻き込まれてゆくというもの。



なにしろ、ウィリスと、人気黒人コメディアン、トレイシー・モーガンの刑事コンビが意外なほど秀逸で、冒頭始まる、
『ヒート』 や 『トレーニング デイ』 や 『スカーフェイス』 といった犯罪映画の名セリフを引用しながら繰り広げられる、
取り調べのシーンからもう爆笑必至(まぁ、セリフまでは憶えてないんだけど)。いつもなら暴走刑事役のウィリスを、
離婚はしたけど娘想いのマトモな男という設定にし対するモーガンを落ち着きない暴走キャラとしたのが大正解で、
奥さんの浮気を疑い余計なことをしては、そのたびにウィリスに怒られるというカケアイが劇中、何度も爆笑を呼ぶ。
映画は随所でヒネリが利いていながらも、あぁ~こういう映画って、昔よく日曜洋画劇場で観ていたよなぁ~という、
そんな懐かしさと安定感があり、とにかく笑えるし、痛快だし、女性キャストも美女揃いと隅の隅までサービス満点。
ケヴィン・スミスはホント頭がいい!とそう思わずにはいられない、全米大ヒットも当然の娯楽作に仕上がっている!

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それに、デ・ニーロもそうだけど、やっぱりウィリス級ぐらいになると役者の“顔”だけで映画観たって気分になるよ!
今ドキの映画にはそれがないから、けっきょく話を捻るしかなくなって、なんか小粒な印象になったりするんだよな。
タイプはまるで違うけど、上記2本ともどこか80年代のハリウッド映画という感じがして、それで括ることにしたワケ。
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さて、最後に映画とはまったく関係ないんだけど、ボクが 『トラブル~』 を観に行ったのは先の水曜日の午後の回。
そう、あの台風9号から変わった熱帯低気圧によるちょーど大雨の最中。地下鉄で渋谷に着くとす~ごい降り方で、
シネマ・アンジェリカに行ったことある人ならわかるだろうがあの坂がまるで流しそうめんやる時の樋みたいな状態。
チョット歩いただけで服が、それはもう5年ぶりにセックスして久々に“女”に戻った奥さんぐらいビッチョビチョだった。
しかし、映画を観ている途中、「あ、マークシティの中を通りゃよかったべ!」と突然気づいて、マイペースというより、
アドリブが利かない自分のO型気質を呪ったっていう。バカだな俺……。でもまぁ、映画が可もなく不可もなしという、
至極“ドライ”な印象だったから観ている間にジーンズも靴もすっかり乾いたんだけど? ハイ、お後がヨロしいようで。

『トラブル・イン・ハリウッド』
シネマ・アンジェリカ(渋谷) にて公開中 ]
『コップ・アウト ~刑事〈デカ〉した奴ら~』
銀座シネパトス にて公開中 ]