映画祭だって超低予算で開ける!? 『コリン LOVE OF THE DEAD』



とはいってもさすがに6,000円で開くのはムリだけど、ボクが関わった「トーキョーノーザンライツフェスティバル」は、
いわゆるスポンサーの付いていない完全な自主映画祭なので、会場費や各映画会社さんから素材を借りるお金、
そしてトークショーのギャラなどはすべて入場料でまかなうというカタチをとった。オカゲ様でなんとかなりそうです!
(詳しい映画祭の開き方については、現在発売中の雑誌、「TRASH-UP!! Vol.8」の「DIY映画祭のススメ」をゼヒ!)
WEBサイトもチラシもポスターもそれなりに体の良いものを作ったけどあれらはぜ~んぶ紙と印刷代以外は“タダ”。
お金はないがどーせやるんならチャチな映画祭にはしたくないと、それぞれに何かの技術を持っているメンバーが、
知恵を出し合い、骨身を惜しまず動いた結果があの映画祭だったのだ(手前ミソだがホントに大した映画祭だった)。
要するに、いいものを作るのに必要なのは、予算とか設備よりも“情熱”だってことかな。そしてそれは映画も同じ!

一部で話題沸騰、今週末からいよいよ公開される最新ゾンビ映画、『コリン LOVE OF THE DEAD』 は、製作費が、
なんとわずか45ポンド(現在だと約6,000円くらい)という超低予算映画。で、こういう映画を語る際にはどうしたって、
“低予算のワリに”と前置きが付いてしまうもので、もちろんこれにしてもそれは避けられないとこじゃあるんだけど、
しかし観ればそんな前置きがあってもなくてもこれは本当によくできたゾンビ映画で、ボクは大変感動してしまった。
いつ頃からかゾンビ映画なんてコメディの一種かよくてもアクション物の変型くらいにしか一般には思われておらず、
ゾンビ映画を至ってマジメに観ている身にとってはそれが不満で不満で仕方がなかったんだけど、本作はなにより、
ヘタなコケ脅しや笑いに逃げることなく、巨匠ジョージ・A・ロメロが生んだ一大ジャンルを通して、殺伐とした社会と、
その中での人間の切ない狂騒を描こうとしているのが素晴らしく、デキ以上にその姿勢に好感を持ったワケなのだ。

そりゃ見た目が安っぽいと言われれば安っぽいかもだし(ボクはそう思わないが)、展開に不親切な部分もあるけど、
冒頭でゾンビ化してしまう青年コリンが、ヨロヨロ歩くその後ろで惨劇が展開されるという抑制の利いた見せ方には、
どこかイーライ・ロスに通じるものをボクは感じたし、家の中に立てこもった人間たちがゾンビに襲われてゆく場面や、
やはり出てくるゾンビいじめの自警団の中で、ゾンビに噛まれてしまった仲間を粛正する場面の残酷度と陰惨度は、
近年のゾンビ映画の中でもトップレベルの衝撃度。殺伐として残酷で切ない。これこそがゾンビ映画の基本なのだ!
音楽を含めて、感傷的な部分も目立ち、ロメロほど成熟しているワケではないからさすがに 『ゾンビ』 と並べたりや、
ましてやそれを超えるなんていくらなんでも言えないけど、低予算云々を抜きにしてもこれはホントによくできている。
金をかけたらいいってモンじゃない! この低予算映画は人類の終末を描きながら映画の未来を提示しているのだ!

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『コリン LOVE OF THE DEAD』(2008年・イギリス/カラー/97分)
【監督】マーク・プライス
【出演】アラステア・カートン、デイジー・エイトケンズ、リアンヌ・ペイメン、ケイト・エルダーマン
【配給】エデン
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】ヒューマントラストシネマ渋谷
【鑑賞料金】1,300円(特典付・劇場前売券)