ヒロインが91歳の映画にアクション映画と同じくらい感動した理由、それは… 『木洩れ日の家で』



それは…と言いつつネタバレになるからモッタイないので言わないが、とにかく騙されたと思って一度観てほしい。
そして驚いてほしい。これはマジで 『イップ・マン』『ザ・ファイター』 といった映画と並べてもオカしくないぐらい、
まるで、アクション映画を観た時と同じような映画的カタルシスを得られること間違いなしの今年必見の1本である。
昨年秋同じ劇場で公開された 『冬の小鳥』 に熱く感動した向きであればなおのこと気に入ってくれるのは確実だ。
ボクも、もしこれがこのビジュアルで、アメリカとかイタリアとかフランスの映画であれば観てなかった気がするけど、
製作国がポーランドというそこだけで観てみたら大正解。まぁ国は関係ないがやはりポーランド映画は侮れないな。
記事タイトルの通りこの映画のヒロインは91歳のおばあちゃん―。『木洩れ日の家で』 は、ワルシャワ郊外の森で、
生まれ育った古い屋敷を愛犬とともに守りながら気高く生きる老女の、静かながらも熱い生き様を綴った映像詩だ。

フライヤーの印象からテッキリカラーかと思っていると本作はモノクロで、その美しい映像にマズは驚きなんだけど、
愛犬と戯れたり(このワンちゃんがまた最高!)、お隣さんをピーピングトムしたり、音楽クラブのガキと知り合ったり、
家や土地を狙っている連中と丁々発止したりする、それなりに忙しい日々の中で、過ぎ去りし日々を追想する内に、
ヒロインの物語はしだいに世知辛い方へ傾いてゆく。しかしそこからいかにも侘しい結末が待っているのかと思うと、
映画はそれをアッサリと裏切り、彼女は自分の人生にケジメをつけるべくある大きな決断をする―。そのカッコよさ!
老人の生きづらい社会や親子の断絶といったテーマを扱いながら、しかしそれを暗には描かず、ユーモアも満点に、
生や死を前向きに捉えるその姿勢がアッパレ。ダヌタ・シャフラフスカの瑞々しい演技はそれだけで映画的衝撃だ!
よもや91歳のばあちゃんが主演の映画にこんな熱くなれるとは思わなかった! 観なきゃ損! 彼女に孤高を学べ!

画像
お若い頃の美貌が想像されます…。足腰が強い!

『木洩れ日の家で』(2007年・ポーランド/35mm/モノクロ/ドルビーSRD/ビスタ/104分)
【監督】ドロタ・ケンジェジャフスカ( 『僕がいない場所』 )
【出演】ダヌタ・シャフラルスカ、クシュシュトフ・グロビシュ、バトルィツィヤ・シェフチク、カミル・ビタウ
【配給】パイオニア映画シネマデスク
【5段階評価】★★★★★
【鑑賞劇場】岩波ホール(神保町)
【鑑賞料金】1,500円(前売券)