今にもヤバいイタリアの暗部を抉ったヤバいほどの傑作! 『ゴモラ』



もうこういう映画を観ているとこの世界に人間が平穏に暮らせる場所なんてどこにもないんじゃないかと思えてくる。
評判通りのスゴい傑作だった。現在公開中のイタリア映画 『ゴモラ』 は、もちろん、そんな組織は初めて知ったが、
“カモッラ”という、かつてのマフィアを凌駕するほどの力を持つ巨大犯罪組織の、社会の隅々にまで支配を及ぼし、
そして邪魔者は蚤でも容赦なく潰すというその怖るべき実態を究極のリアルで描き切った超ハードな社会派ドラマ。
要は“21世紀版 『ゴッドファーザー』”もしくは“イタリア版 『仁義なき戦い』”といった1本なんだけども、しかしここに、
今までのマフィア及びヤクザ映画みたいな魅力的なキャラは出てこない。本作の主人公は金と力こそすべてという、
人間性など完全に二の次の今の“社会”そのものだ。映画は5つのドラマが並行して描かれる群像劇のスタイルで、
初めは人物相関図が掴みにくいと思うんだけど、とにかく画面にパワーがあるため、グイグイと惹き込まれてしまう。

『スカーフェイス』 を気どって組織をカキ廻したために、地獄へと堕ちるチンピラ2人組。組織を裏切る給料の分配屋。
望んでカモッラへ入ったものの殺しの手引をするハメとなる少年。長年、搾取されているオートクチュールの仕立屋。
そして、不法な産業廃棄物処理を請け負う冷酷な男と、彼の元で働きながらも自身の倫理観との板挟みで悩む男。
大人も子供も関係なく使える者は利用され、どんな正義も道徳も通用しないただ“弱肉強食”あるのみの世界……。
単純に殺ったら殺り返す的な、このテの定型が描かれるワケじゃないため、そのリアルさが生々しく身に迫ってくる。
今ギリシャの次はイタリアが危ないと言われているけど、こういう混乱期にこそカモッラみたいな組織は跳梁跋扈し、
利益を膨れ上がらせているんだろう。東北の被災地でもダメになった土地をヤクザが買い占めているという話を聞く。
『ゴモラ』 が描くのは単なる犯罪組織の実態ではなく、そこから炙り出されるこの世界の裏構造なのだ。ホント怖ぇ。

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エンディングの曲もヤバい。ぜひ爆音で聴きたい!

『ゴモラ』(2008年・イタリア/35mm/ヴィスタ/DORBY DIGITAL/135分)
【監督】マッテオ・ガッローネ
【出演】トニ・セルヴィッロ、サルヴァトーレ・アブルツェーゼ、ジャンフェリーチェ・インパラート、サルヴァトーレ・カンタ、
【配給】紀伊國屋書店マーメイドフィルム
【5段階評価】★★★★★
【鑑賞劇場】シアター・イメージフォーラム1(渋谷)
【鑑賞料金】1,000円(会員料金)