洒脱な会話、粋な遊び心、女優の官能、巨匠の鮮やかな遺作! 『刑事ベラミー』



いつものようにメトロで渋谷まで行き、劇場のある方面へ出ようとしたら、景色がガラっと変わっていたのでびっくり。
そういえばヒカリエだかなんだか知らないけどオープンするって言ってたな…と思いつつまったく興味なかったので、
そのまま足を止めることもなく、ソソクサと地上に急いだ。そう、ボクにとって大事なのは、ヒカリエよりもシャブロル!
というワケで、一昨年に他界した犯罪映画の名匠クロード・シャブロルの遺作 『刑事ベラミー』 を観てきたんだけど、
ま~面白かった! 刑事物といったって、犯罪アクションや推理力を要するストレートなミステリーというワケじゃなく、
シャレた会話(気どってはいない)と粋な遊び心と、そしてやっぱり女優の官能で魅せる刑事が主人公の人間ドラマ。
つかみどころがないといえば確かにないので、何がどう面白いのかと訊かれても正直ウマく説明できないんだけど、
それはもう映画的な“話芸”が巧みだからとしか言いようがない。話し方が巧いから、つい聴き入っちゃうという感じ。

物語は、ベラミーが、ある男との出逢いを発端に乗り出す保険金詐欺事件の捜査の過程と、彼の元に突然現れる、
父親違いの弟との確執を並行して描いてゆくという二重構造になっているんだが、その二件は最後までリンクせず、
またしても「な!?」と思わず絶句するような何かを含みまくりの結末で幕を閉じる。「オマエ、ホントにわかってるの?」
と訊かれれば正直わかってないんだけど、それでもこれを胸を張って「面白い」と言えるのは、なにより映画自体が、
いつもの通りそういった安易な謎解きには重きを置いていないことと、その二重構造の軸であるベラミーと奥さんの、
“おしどり夫婦物語”がとにかく魅力的だから。奥さん役のマリー・ビュネルの“エロ優しい”雰囲気がなにしろよくて、
どこのお店に行けば逢えるんですか!ってほど。ボクがシャブロルを大好きな理由は何も映画通的な理由ではなく、
ただ女優の描き方が絶妙にエロいからだ。女優をエロく描ける監督は語りも上手。これボクの持論。至福の110分!

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しかも“若い娘から熟女”までオールマイティ井上。

『刑事ベラミー』(2009年・フランス/カラー/110分)
【監督】クロード・シャブロル( 『石の微笑』 『引き裂かれた女』 『最後の賭け』 『甘い罠』 『悪の華』 )
【出演】ジェラール・ドパルデュー、クロヴィス・コルニアック、ジャック・ガンブラン、マリー・ビュネル、ヴァイナ・ジョカンテ
【配給】紀伊國屋書店マーメイドフィルム
【5段階評価】★★★★★
【鑑賞劇場】シアター・イメージフォーラム2(渋谷)
【鑑賞料金】招待券