コリンにトルコにアサイヤスにカンボジアのホラー! 「第25回東京国際映画祭」

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たったの5本だけど今年のTIFFは愉しかった! やはり映画は自分が観たいものをじっくり選んで観るのがいいね!
マズは 『ミスター・ロンリー』 以来久々の劇場用長篇になるハーモニー・コリン監督の 『スプリング・ブレイカーズ』
ただ、ボクがこれを観たのは何もコリンのファンだからじゃなく、4人の水着美女が並ぶ写真に下心が反応したから。
で、観れば予想通り冒頭からエっロい映画で、本作はプルっプルのオッパイした4人の女のコが(内1人コリンの嫁)、
束の間の春休み(Spring Break)を利用して出かけたリゾート地で薄汚いギャングの諍いに巻き込まれるというお話。
途中、マジメなコが抜けたりして、となると映画はこの作家らしいホロ苦青春物語なのかなぁ…と思って観ていると、
後半は残った2人がまるで“東映の池玲子と杉本美樹”のようになってびっくり。映像も音楽も相変わらず挑発的な、
東映ピンキー・バイオレンスのシャレオツ版という趣きで実に面白かった! 小汚いジェームズ・フランコも笑えます!

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左から2人目がコリンの奥方。才能とエロい嫁…羨ましス。



2本目は、毎年いちばん愉しみなアジアの風部門からトルコ映画、『沈黙の夜』。小品ながらこれもなかなかの1本。
ベルリン映画祭には子供の審査員による児童映画部門なんてのがあるらしく、これはそこで最高賞を取ったという。
でも、その内容は児童映画と括ってよいものか…というヘビーな題材で、ドラマは地方の村で盛大に執り行われる、
結婚式のシーンから始まるんだけど、結婚するのはなんとムショを出たばっかりの60男と14歳の可愛らしい女のコ。
となるとこれも予想されるのはどこかの世界の悪因習に縛られる女性の悲劇…といったものなんだが、実はそこが、
本作の場合少々違い、どうにか結婚初夜を滞りなくすませようとする男を少女があの手この手でかわし続ける内に、
いつしか男の方だって悪因習に苦しみながら長らく生きてきたことがわかるという。予想外の展開で本当にびっくり。
意外に笑かすし、悲劇を匂わせてそうとも言い切らない結末も憎い。いかにも、映画祭ならではな感じの1本だった。

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2人の歳の差46歳。カトちゃんトコと同じぐらいね。

そして映画祭ならではといえばまさしくこんな映画を観ることこそ映画祭の醍醐味だ!ということで、今年のTIFF中、
最も観たかった、絶対観たかったのが、同じくアジアの風の目玉、なんとポル・ポト政権前のカンボジアで創られた、
ホラー&ファンタジー映画の2本立! 休みを取ってよかった! 早起きしてよかった! 映画好きで、本当によかった!
マズ1本目の 『天女伝説プー・チュク・ソー』 は、無償の愛を描いた御伽噺とチープな特撮が懐かしくて味わい深い、
牧歌的な雰囲気に癒されまくりの、悲恋ファンタジー。下界に遊びに来た、天女4姉妹の末っ子プー・チュク・ソーが、
フとしたことでそのまま地上で7年間過ごさなくてはいけなくなり、彼女はある貧しい純朴な青年の家に住みついて、
いつの間にやら彼と夫婦になるものの…というお話。ホント他愛ない話なんだけど、マジメな仏教観に根づいてるし、
なによりこの全篇に漂う温かな雰囲気こそボクがその昔体感したカンボジア! そしてボクもケガした兎を助けたい!

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主演のディ・サヴェット(左端)。今もご健在らしい(ホっ)。

監督のティーチ・インと休憩を挟んで午後から観たのが、その名も 『怪奇ヘビ男』。面白すぎる…ベスト10入り確定。
“ヘビ映画”にハズレなし! ボクは好きだ、カンボジアが大好きだぁ! 『天女伝説~』 は監督の完全創作らしいが、
コチラは冒頭の20分だけ“ケンコン蛇”というカンボジアの民話を基にしている。けど、その20分が死ぬほど面白い!
夫のDVに怯えながら暮らしているある奥さんが娘とタケノコ採りに行くんだけど、竹藪で大蛇に鍬を取られてしまい、
返してほしかったら「抱かせろ」と迫られる(んなアホな!?)。奥さんは渋々約束を守ってヘビに抱かれるものの(……)、
そのDV夫よりずっと優しいタッチにすっかりメロメロになりその日から毎晩ヘビとヤるようになる(いい加減にせい!)。
でも、彼女はヘビの子を身ごもった上、嫉妬でトチ狂った夫に腹を切り裂かれてしまい、お腹から出た無数のヘビも、
夫がみんな殺してしまう…どう、凄いでしょ? “間男”ならぬ“間ヘビ”に奥さんが「裏から逃げて!」とか、もう最高!

そこからの展開もまた熱くて、実は1匹だけ生き残ったヘビが成長し今度は美青年に変身すると、人間社会に潜入。
あるお金持ちの家で、しかし不幸な生活を送っている娘と恋に落ちるんだけど、意地悪な継母や、彼女の刺客たる、
洞窟の魔女によって仲を引き裂かれてしまうという。青年は、自分がヘビであることを娘に知られた挙句、石にされ、
案の定、娘は彼の子を身ごもっていた…という展開で、話はそこから8年後に急に飛ぶんだが、彼女の子供がまた、
髪の毛がヘビという、しかもガチで無数の子ヘビを集めて作ったカツラを頭部に乗せられているという凄まじい恰好!
最後はその子がインコの助言を受けて魔女を倒し(なぜインコ!?)、ハッピーエンドになるんだけど、モ~お腹イッパイ。
意外とエログロだし笑えるし大団円はホント凄いしで、新東宝の怪談映画も裸足で逃げ出す、マジで大傑作だった!!
まさか監督のお話が聞けるなんて思ってもいなかったから、それも僥倖! いつか、監督の映画を全部観たいです!

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ポル・ポト派の粛清を逃れてフィルムを国外に持ち出したんだという…。監督は今はご家族とともにカナダ在住です。



というワケで、朝から怒涛のカンボジア・ホラーを2本も観てしまったゆえ気力も体力も全然残ってなかったんだけど、
しかしラストにもう1本、有終の美とばかりこないだ観た超大作 『カルロス』 のオリヴィエ・アサイヤス監督の最新作、
『5月の後』 を観て、ボクは今年のTIFFをしめやかに終えたのである。全然眠くならなかったし、これも観てよかった。
内容は70年代初めに政治運動に傾倒した若者たちの情熱や挫折を抜群のセンスで活写した淡く繊細な青春群像。
アサイヤスなのでドラマに怒涛の起伏はないものの、しかしそこもまたアサイヤスだからなぜかフシギと飽きないし、
なにより、ヒロインの1人を演じるローラ・クレトンがメチャクチャ可愛い上にHな体していて、彼女を観ているだけでも、
2時間退屈することはなかった(いや、退屈もまた心地好かったと言うべきか)。“ヘビ男”から間が空いたモンだから、
駅のバーガーキングで我らが“オーケン”こと大槻ケンヂ「サブカルで食う」を読みつつ時間を潰していたんだけど、
そうしたら、オーケンに憧れ、そしてオーケンに少しでも追いつきたくて彼がススメる本や映画を片っ端から貪っちゃ、
カノジョとセックスばかりしていた自分の主人公たちくらいの頃を想い出し、少しセンチな気分になってしまった……。
あ~今年のTIFFは本当に充実していた。やっぱ映画はよく選んで観ないとな。さ、今週は新作を追いかけなくちゃ!

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「第25回東京国際映画祭」[10月20日(土)-28日(日)]@TOHOシネマズ六本木ヒルズほか
『スプリング・ブレイカーズ』(2012・アメリカ/カラー/93分)
【監督】ハーモニー・コリン( 『ガンモ』 『ミスター・ロンリー』 )
【出演】ジェームズ・フランコ、セレーナ・ゴメス、ヴァネッサ・ハジェンズ、アシュリー・ベンソン、レイチェル・コリン
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞料金】1,300円(前売)

『沈黙の夜』(2012年・トルコ/カラー/92分)
【監督】レイス・チェリッキ
【出演】イルヤス・サルマン、ディラン・アクスット、サブリ・トゥタル、マイシェケル・ユジェル
【5段階評価】★★★1/2☆
【鑑賞料金】1,300円(前売)

『天女伝説プー・チュク・ソー』(1967年・カンボジア/カラー/110分)
【監督】ティ・リム・クゥン
【出演】チア・ユットゥン、ディ・サヴェット、モンドリン
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞料金】1,300円(前売)

『怪奇ヘビ男』(1970年・カンボジア/カラー/164分)
【監督】ティ・リム・クゥン
【出演】モンドリン、ディ・サヴェット、サッシ・スボン、チア・ユットゥン
【5段階評価】★★★★★
【鑑賞料金】1,300円(前売)

『5月の後』(2012年・フランス/カラー/117分)
【監督】オリヴィエ・アサイヤス( 『イルマ・ヴェップ』 『クリーン』 『レディ アサシン』 『夏時間の庭』 『カルロス』 )
【出演】ローラ・クレトン、クレモン・メタイェル、フェリックス・アルマン、キャロル・コームス、インディア・サルボア・メネズ
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞料金】1,300円(前売)

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