一生に一度はインドで映画を“体感”したい! 『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』



毎週金曜日の最終回だけは、映画を観ながら歌ったり踊ったりしてもOKという“マサラ上映”が話題の本作だけど、
だからってインドへ往くとどこの映画館でもインド人全員が歌ったり踊ったりしながら映画を観てるってワケじゃない。
静かに映画を観てるインド人だってたくさんいた(ハズ)。でも、“インド映画初の3D映画”を観た時だけはスゴかった。
1998年の話で、元々は1984年に南インドで創られた3D映画のヒンディー語版っていうことだったみたいなんだけど、
モ~映画館の前は長~蛇の列! 赤緑の昔の安っぽい3Dメガネながら映像が飛び出すたびにマジで場内大騒ぎ!
美女が客席に向かい一輪のバラを差し出すや全員が我先にぐらいの勢いでスクリーンに手を伸ばすなど(ホント!)、
映画より客席を観ている方がずっと愉しかった。あんな映画体験、二度とない。マサラ上映かぁ~愉しそうだなぁ~。
何はともあれ、インド映画をただ上映するだけじゃなくインド風に、というのは面白い話だと思う。やるネ!浅井さん!

というワケで金曜の夜は仕事なので日曜の夜にこの映画を観てきたんだけど、誰も踊らずとも愉しい雰囲気だった。
シネスコの画面イッパイに繰り広げられるのは壮大な輪廻、つまり“生まれ変わり”の物語。1970年代の映画界で、
あるスター女優に恋をする脇役の青年がプロデューサーの子供を宿したために殺された彼女とともに死ぬんだけど、
同時に生まれ変わって、今度は彼が映画スターとなり、そのプロデューサーに映画的な仕掛けでもって復讐をする。
愉しい話かと思ったらワリにヘビーな復讐物で、とはいえその件も笑いが多くちょっと印象は散漫な気もするものの、
なにしろインド映画にしかできない凄まじい話におそらく“通”は狂喜するほど膨大なインド映画ネタが散りばめられ、
ダンス、ヒロイン、シャー・ルク・カーンに豪華スター陣の大挙ゲスト出演と確実に満腹必至の1本に仕上がっている。
最後に出てくるエロエロ巨乳のプロデューサーがカーンの奥さんだって…いいなぁ! 俺も生まれ変わって…(割愛)。

で、インド映画ネタといえばボクでも1ヵ所わかったのが、劇中でカーンが映画賞にノミネートされる時にかかる曲で、
あれは’98年にやはりカーンが主演した、『クチュクチュホタヘイ』 という映画のテーマ。旅した時に偶然やっていて、
もちろん観に行き、インド人と大いに話が合ったモンだった。すごくいい映画でサントラまで買った(カセットテープ!)。
でも、現地で知り合った、今も仲良しの日本人男子と面白半分で精力剤屋、つまり“インドのあかひげ薬局”に行き、
白髪の店主にさっそく映画の話をフったら、「あんなもの、商業映画だ!」なんて言ってくるのでびっくりしてしまった。
しかも「もっとサタジット・レイとかを観なくちゃダメだ。日本には大島渚がいるじゃろ? 昔、『新宿泥棒日記』 を観た」
とも…凄ぇ。商業映画を唾棄し、大島渚をリスペクトするインドのあかひげ薬局のオヤジ。ね? 歌って踊るばかりが、
インド人じゃないって言ったでしょ? しかしまぁなんにせよインドで映画を観るのは格別に愉しい。それだけは真実!

画像
この画像じゃアレだけどヒロインは多岐川裕美似!

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007年・インド/カラー/シネスコ/169分)
【監督】ファラー・カーン
【出演】シャー・ルク・カーン、ディーピカー・パードゥコーン、アルジュン・ラームパール、シュレーヤス・タラプデー
【配給】アップリンク
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】シネマライズ(渋谷)
【鑑賞料金】1,000円(日曜最終回割引)