残念な邦題に騙されてはいけない“オトナの女”のための映画 『クロワッサンで朝食を』



案の定、銀座シネパトスが閉館して以来銀座には一度も行っていなかったんだけど(新橋には違う目的で時々♪)、
前売券をチケットに交換した後でシネパトス跡に寄ったら…まだ閉館した時のままだった。あらためて、寂しいねぇ。
それはともかく、シネスイッチも早2年ぶりくらいだったので少々新鮮な気持で行ったらま~ド平日なのに大っ盛況!
サイトで混んでいるらしいという情報を得て早めに行ったにもかかわらず、立見だった。立見で映画を観るなど久々。
しかも観客の年齢層が異様に高く、まるで氷川きよしのコンサートか綾小路きみまろの舞台でも観に来たかのよう。
主演が御年85歳(!)のジャンヌ・モローであるということより、監督がエストニア人であるという部分に引っ掛かって、
それでこんな題名の映画を観に行ったんだけど、始まる前はやっぱ自分が観る映画とは違うかぁ~って感じだった。
でも、観てよかった。すごくとまでは言わないけどいい映画だった。高齢化社会がネタかと思ったらオトナの女の話。

主人公は2人の女。バルト三国はエストニアの女性が、母親の死をキッカケにパリで家政婦の仕事に就くんだけど、
彼女を待っていたのは(待ってなかったけど)、モロー演じる気難しいエストニア人老女だった。で、映画は最終的に、
まるでタイプの違う2人が反発を経て打ち解け合う姿を描くんだが、しかし、それは老いて頑なになった老女の心が、
かつての自分を思わせもする同郷の女性の孤独に共鳴してほぐれた、というありがちな感じよりも、ある1人の男を、
“共有”したからこそ何かが芽生えたって感じで、ボクはそこに、大人の女にしかわからぬ世界を見た気がしたのだ。
これは古い価値観に自らを縛って生きてきた女性がワガママな先輩の導きにより自身を“女”として解放してゆく話。
監督のお母さんの実話らしいけど、いわゆる、パリジェンヌみたく奔放じゃなさそうな(?)エストニア人女性に向けた、
エール的な映画なのかもしれない。ヨーロッパの小国的視線で捉えたパリの街並みも少し物憂げで独特の風情だ。

画像
男の股間をさすりながら「思い出よ」と囁くモロー!

『クロワッサンで朝食を』(2012年・フランス=エストニア=ベルギー/カラー/ヴィスタ/95分)
【監督】イルマル・ラーグ( 『Klass』 )
【出演】ジャンヌ・モロー、ライネ・マギ、パトリック・ピノー
【配給】セテラ・インターナショナル
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】シネスイッチ銀座1
【鑑賞料金】1,500円(劇場鑑賞券)