好感は持てるけど物足りない、様式的すぎるゴジラ?【※ネタバレ注意】 『GODZILLA ゴジラ』



とりあえず今回のハリウッド版 『GODZILLA ゴジラ』 を観るならいわゆる通常の2D版で観るのがベストだと思う。
ヘタに気張って2,300円もするIMAX3Dなんかで観たりすると(なんでただでさえ高い料金値上げしてんだよ!)、
脂っこい肉料理をしかし精進料理みたくチョビっとずつ喰わされたようなそんな物足りなさを逆に感じかねない。
というワケで、徹底した秘密主義による話題戦略で盛り上げに盛り上げついに封切られたこの 『ゴジラ』!
うん。確かにこれは“ゴジラ”だし(メジャーリーグに行って体がひと廻りデカくなりましたみたいなゴジラだけど)、
平成 『ガメラ』 版のギャオスっぽい“ムートー”の造形も 『パシフィック・リム』 の怪獣よりずっと日本人好みで、
なにより、ゴジラを“傲慢な人間に対する自然の脅威の具現化”と解釈した原点回帰の方向性も極めて正しい、
要は日本人にとって大変好ましいゴジラ像だとは思うんだけど…やっぱりそれでもボクには少し物足りなかった。

まず第一に、ゴジラにしてもムートーにしてもいくらなんでも怪獣をいちいち“出し惜しみ”しすぎ!
2時間ちょっとの尺にもかかわらずゴジラが出てくる時間は正味体感的に20分ぐらいなんじゃないだろうか?
監督が、個人的にはほとんど面白くなかった 『モンスターズ/地球外生命体』 のギャレス・エドワーズなので、
ある程度、観る前から心の準備はしていたものの( 『モンスターズ』 の出し惜しみ感も半端じゃなかった!)、
スコープ越しとかTVのニュース画面越しとかそんな見せ方ばっかりで何をそこまでモッタイつけるのか?と。
いわゆる、“怪獣映画”の醍醐味はなんといっても怪獣に感情移入した上での“破壊の快感”なんだから、
もっと早い段階からガンガン出てきてガンガン戦ってガンガン街をブッ壊してくれないとストレスは溜まる一方!
『パシフィック・リム』 がロボット&怪獣映画として素晴らしかったのは通好みな「わかってる」感よりもそこなのだ。

つまり、この 『ゴジラ』 にはテーマや細部にこだわりすぎるあまり生じる(もちろんそれはいいことなんだけど)、
たとえば能や歌舞伎といった日本の伝統芸能を気遣いまくりながら扱うような“堅さ”が感じられるということ。
だから、ようやく怪獣同士が戦う場面になっても迫力はありながらもどこか“演武”でも観ているような雰囲気で、
せっかくの熱線発射場面や決まり手の場面でももう一つ胸にグッとくるものがない(熱線キレイだけど!)。
ボクはこのエドワーズ監督は臨場感を盛り上げる演出は上手だけどアクション演出は存外にヘタだと思う。
そしてボクが、もう一つ決定的に物足りないと思ったのが渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士(安易な名前)の描き方。
本作における人間側の主人公はアーロン・テイラー=ジョンソン演じる米軍爆発物処理班の隊員とその家族で、
そりゃ基本的には向こうの映画だから仕方ないんだけどしかしそれが結果的にドラマを弱めているのも確か。

おそらく、このドラマにおける芹沢博士という人物は自然を無視して暴走する人間にホトホト嫌気が差していて、
ゴジラに感情移入しまくりのもしかしたら人類なんて滅んでしまえ!と思っている狂人に近い人だと思うんだが、
しかしそういう彼の内面的演出が極めて曖昧なためここではただの無能な傍観者のようになってしまっている。
彼のゴジラへの想いがあっての観客のゴジラに対する感情移入なのだからそこはもう少し強調してほしかった。
というより、博士が最後に海へ帰りゆくゴジラの背中に向けて見せる微笑みはきっとそういうことなんだろうから、
創り手もそのつもりで芹沢博士というキャラクターを創造していたような気はするんだけど…果たしてどうだろう。
しかしまぁ、ここまでの話題作なんだからゴジラor怪獣ファンであってもなくてもまずは必見の1本に違いはない!
ボクもムリをせず最初っから格安の2D料金で観ていればもっと愉しめたんじゃないかと思うとちょっと悔しいよ!

画像
確かに“着ぐるみ感”も上手に表現できています。

『GODZILLA ゴジラ』(2014年・アメリカ/カラー/124分)
【監督】ギャレス・エドワーズ( 『モンスターズ/地球外生命体』 )
【出演】アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス
【配給】東宝
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞劇場】ユナイテッド・シネマとしまえん(豊島園)
【鑑賞料金】2,300円(IMAX3D)