三大と言わず次は十大映画祭で! 『この庭に死す』@「三大映画祭週間2014」



せっかく2年ぶりの三大映画祭(カンヌ・ヴェネチア・ベルリン)週間だというのに新作がたった5本とはチと寂しい。
(まぁ“たった”というのはあくまで観客主観の物言いでその5本を探すのがどれだけ大変かはわかっています)
だから、三大などと限定しないでもっと世界中の名だたる映画祭で話題になった未知なる作品が観てみたい!
たとえば、ボクが唯一行ったことのあるボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで開催の「サラエボ映画祭」なんて、
行った当時(2000年)は規模も小さかったけど今やバルカン半島最大の映画祭にまで成長したっていうんだから、
いったいどんな系統の作品が集められどんな作品が受賞しているのか三大映画祭と較べる上でも興味あるし、
ロカルノ(スイス)やロッテルダム(オランダ)やナント(フランス)映画祭の受賞作なんて実は三大より秀逸だったり。
まぁ映画祭で受賞したからといって良作とは限らないけどしかし映画が知られるキッカケの一つには違いない。

というワケで、2年ぶりに期間も3週間と長くなって帰ってきた「三大映画祭週間」で映画を1本観てきたんだけど、
しかしたった5本じゃ寂しいとか散々言っておきながら観たのはレトロスペクティヴのルイス・ブニュエル監督作。
果たしてこれ、過去に三大映画祭のどれかで何か受賞してる作品なんでしょうか?(いかにも取ってそうだけど)
実は、大変お恥ずかしい話ながらあんまり観たことがないルイス・ブニュエルの映画をしかも劇場で観るなんて、
ずいぶん前に、池袋にあった名画座ACTで 『忘れられた人々』(カンヌ映画祭グランプリだって!)を観て以来。
今回鑑賞した 『この庭に死す』 も 『忘れられた人々』 と同じくルイス・ブニュエルがメキシコ時代に撮った作品。
ダイヤを狙っていろんな怪しい人間が集まる南米某国のある村で政府軍が鉱山を独占したために暴動が発生。
そんな中、山師の主人公と娼婦と彼女に入れ揚げる老人とその娘と神父の5人がジャングルへ追われるハメに。

一攫千金をめぐる怪しい群像劇の前半から後半は突如境遇が全然異なる5人の人間のサバイバル劇に展開。
正直、前半は刺身のツマみたいなもんであまり面白くないんだけど後半は急に(ホント急に)画面が色めき立ち、
この時代のブニュエルは娯楽に徹していたというだけあって実に観応え抜群のサバイバル劇が繰り広げられる。
そりゃ最近の、たとえば似た設定のホラーとかの方がよほど過激とはいえ本作の人間ドラマもけっこう残酷だし、
一旦、5人に希望が見えたと思ったらそこからホントの地獄が始まるというのもなかなかエグい。(つーか意地悪)
ヘビや蟻の大群(出た!)にもゾクゾクなら後の 『ゾンビ』 にもつながる無常感漂うラストですんごい面白かった!
HDリマスターによる映像もめちゃくちゃキレイでびっくり。(画面の左端が斜めになっているのが気になったけど)
新作もよいが、なかなか渋いセレクトなのでこのレトロスペクティヴ・シリーズも今後もつづけてくれるとうれしい。

画像
ホウ・シャオシェンの 『恋恋風塵』 も観たいなぁ!

「三大映画祭週間2014」[8月16日(土)‐9月5日(金)]@ヒューマントラストシネマ渋谷
『この庭に死す』(1956年・フランス=メキシコ/カラー/104分)
【監督】ルイス・ブニュエル( 『アンダルシアの犬』 『忘れられた人々』 『昼顔』 )
【出演】シモーヌ・シニョレ、シャルル・ヴァネル、ミシェル・ピコリ
【配給】熱帯美術館
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞料金】1,300円(TCG会員)