今年も『幸せのありか』のようなお宝があるか? 「ポーランド映画祭2014」



映画好きの悪いクセで(って自分だけかもしれないが)こういう通好みな映画祭に通うとなるとどうしても新作より、
レアものな旧作ばかりに目が行ってしまって過去2回における本映画祭においても新作にはいっさい目もくれず、
やれハスだ、カヴァレロヴィッチだワイダの未公開作だとホント旧作しか観ないというそんな感じだったんだけど、
しかし去年の映画祭で先日観た 『幸せのありか』 なんて物凄い傑作が上映され好評を博していたのかと思うと、
自分の嗅覚の悪さというか…やはり旧作もいいが映画のためにも新作も積極的に観なければなぁと反省しきり。
…とはいえ! まぁ評判がよけりゃいずれ配給がついて一般公開されるだろうし映画祭の混雑の中で観るよりも、
場合によっちゃソッチの方がいいということも経験上多々あるのでけっきょく今年も旧作ばかりを選んでしまった。
というワケで前2回ほどじゃなかったものの今年も大盛況のポーランド映画祭でボクが観てきたのは以下の2本。

まず初めに観たのはこんな監督初めて知ったけどヴァレリアン・ボロフチク監督の 『罪物語』。(“海物語”みたい)
19世紀末頃のワルシャワを舞台に元は敬虔なクリスチャンだったにもかかわらず1人の男を愛しすぎたがゆえ、
どんどん不幸になってゆく純粋なヒロインの流転を描いた要は女の狂気と情念に充ちた悲恋ラブ・ストーリーで、
パッと見はいかにもヨーロッパの文芸映画風なんだけど中身は完全に東映のポルノ路線と違わないという作品。
で、話自体は面白く(面白いといっちゃなんですが)ヒロインも地味な顔とHな体のギャップが好みだったんだけど、
如何せん話の転がし方が独特すぎて筋がわかりにくいというかヒロインの愛にコチラの焦点がなかなか合わず、
また彼女の愛する男にまるで魅力がないもんだから今一つドラマに入り込めぬまま終わってしまったという感じ。
最初の清楚なイメージと最後のガラッぱちな娼婦のイメージのギャップも鮮烈だったから実に惜しい作品だった。

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貞淑そうな女ほど根は変態って話でもあります。

つづいては、ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞作 『太陽の年』(1984)で知られるクシシュトフ・ザヌーシ監督作品、
『結晶の構造』。『太陽の年』 が戦後のポーランドを舞台にした重厚なメロドラマなのでそんなイメージで観たら、
やはり時代柄かヌーヴェル・ヴァーグの影響も顕著なトリュフォーの名作 『突然炎のごとく』…とは全然違うけど、
ギリギリ、そう見えなくもないある2人の男友だちと片方の奥さんとの束の間の日々をライトに描いた映画だった。
かつては同じように物理学者への道を歩みながら一方はド田舎の測候所で奥さんと慎ましく暮らす人生を選び、
一方は学者として大成しつつあるというそんなまるで生き方の違う2人の男の交流を映画は優しく綴ってみせる。
かれこれ40年以上昔の映画なのにまったく古びた印象がせずむしろ現代の話をモノクロで撮っているみたいで、
激しく胸に迫ってくるものは何もないんだけど終わり方もちょっぴりセンチで実に好感の持てるそんな1本だった。

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3人とも若くはなく枯れた青春映画という印象も。

というワケで、ホントはもっとあれもこれもと観たかったんだけどほかにもいろいろ観たいので今年は2本のみ…。
なにより残念なのは毎年話題を呼んでいるヴォイチェフ・イエジー・ハスの 『縛り首の縄』 が観られなかったこと。
もうタイトルからしてめちゃくちゃソソられるので本当に悔しいっす!(ぜひ来年アンコール上映をお願いします!)
『罪物語』 を観に行った帰りある映画誌の方にお逢いして聞いたらワリに近作の 『裏面』 がよかったそうだけど、
ピチピチの、『真夜中のふたり』 や 『イマジン』 はどうだったんだろう? とにかくポーランド映画は今後も愉しみ!

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「ポーランド映画祭2014」[11月22日(土)-28日(金)、12月13日(土)-26日(金)]@シアター・イメージフォーラム(渋谷)
『罪物語』(1979年・ポーランド/カラー/120分)
【監督】ヴァレリアン・ボロフチク
【出演】グラジーナ・ドゥゴウェンソカ、イエジー・ジェルニク、オルギュスト・ウカシュヴィチ
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞料金】1,200円(前売1回券)

『結晶の構造』(1969年・ポーランド/モノクロ/78分)
【監督】クシシュトフ・ザヌーシ( 『太陽の年』 )
【出演】アンジェイ・ジャルヌッキ、ヤン・ミスウォヴィッチ
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞料金】同上