六本木からアジア映画の灯が消える… 『SARAH サラ』&『クリミナル・アフェア 魔警』



去年はなにしろ吉祥寺バウスシアターに新橋文化&ロマン劇場に新宿ミラノと映画館の閉館ラッシュだったので、
今年はどうかそんなことがないようにと願っていたらその矢先に閉館が発表されてしまったシネマート六本木…。
去年閉館話が一瞬流れしかしそれはデマだったということでホッとしたんだけど…火のないところに煙は立たん。
2006年にオープンしてからしばらくは受付の態度がホントに悪くそんなに好きじゃないミニシアターだったものの、
ここ数年は、それも改善されアジア映画を軸にした通好みで二束三文たたき売りみたいなラインナップも面白く、
また六本木の繁華な一隅という立地にも味わいがありすっかりとお気に入りの劇場だったのに…本当に悔しい。
ボクの初めてのシネマート六本木は「日本空手映画祭」で観た野田幸男監督の 『激殺!邪道拳』。(2006年4月)
客が確か男ばっか10人ぐらいで思えばそんなオープン当初からすでに先が見えているような劇場だったなぁ…。

でもまぁ悲嘆に暮れていても始まらないので閉館まで今まで通り(←これ大事)ここでアジア映画を観まくるのみ!
というワケで今年初のシネマート六本木はインドネシア&香港映画の2連発で最初に観たのはインドネシア映画、
『SARAH サラ』! 武術インストラクターをしているシングルマザーが実は実子とは違うワケありの娘を守るため、
銃撃戦やカー・チェイスを潜り抜け“シラット”を駆使しながら次々と襲い来る強敵に立ち向かう女流アクションだ。
正直、人気モデルから女優に転身したという主演のドミニク・ディヨセは頑張っちゃいるし美しき&カッコいい反面、
やはりジージャーや武田梨奈にはほど遠く映画自体も 『ザ・レイド』 級を期待するとかなり期待外れなんだけど、
しかし全体にはインドネシアの熱が感じられ今後も量産されるであろうこのテの映画を期待するには充分な1本。
なによりこんな映画までかけてくれるのは東京広しといえどここぐらいだとあらためて劇場の存在意義を再確認。

画像
ただ、残念ながら客は7、8人くらいでしたけど…。

画像
ホッソリした方かと思ったら凄いんです!



一方、ほとんど新宿で観ているという印象だから(こないだは立川)意外や意外六本木で観るのは初めてなのが、
『激戦 ハート・オブ・ファイト』 の大感動もまだまだ記憶に新しいダンテ・ラム監督の 『クリミナル・アフェア 魔警』
『激戦』 がとにかく最高だったので実はそんなに期待値を上げずに観たんだけどいやいやこれまた傑作だった!
実際に起こった事件をモチーフに心に拭えないトラウマを抱く病院警備の警察官がある日病院に担ぎ込まれた、
重傷の強盗犯の輸血にそうとは知らず協力したことを引鉄についに精神の均衡を崩してゆくというストーリーは、
これまた意外や意外見た目から覚えるストレートな警察ものの印象とかなり趣が違うサイコ・スリラーのテイスト。
強引に喩えるならばレスリー・チャンの 『ダブルタップ』 と 『コンシェンス/裏切りの炎』 を足したようなイメージで、
正直一度観ただけではわかりにくい構成なんだけどそれをものともせずいつも通りグイグイ見せていってくれる。

生粋の“役者バカ”ニック・チョンが 『激戦』 とは正反対の悪役に嬉々として扮しているのが観どころなんだけど、
本作ではまたダニエル・ウーが大傑作 『プロテージ/偽りの絆』 をも凌駕せんほどの大熱演を見せてくれており、
そんな香港映画が誇る2人の役者バカの火花が見えるようなガチンコ演技バトルを観るだけでも腹がいっぱい!
わかりにくい、というより不親切でゴツゴツした語り口も極めて昔ながらの香港映画という感じで味わいがあるし、
とはいえその先には納得の結末がちゃんと用意されていて得も言えぬカタルシスをガッツリと味わわせてくれる。
ホントに、ダンテ・ラムが凄まじい熱で描く人間の“業”には観る者の心のヒダに喰い込む何かがあって堪らない。
個人的には冷たいタイプかと思ったらめっちゃ優しいリズ警部役のクリスティ・チェンにキュンキュンしてしまった。
あーこんなアジアの熱い映画を立て続けに見せてくれるのなんてホントにシネマートだけだよ閉館しないでくれ!

画像
題材は決して新しくないのにまったく古さがない。

画像
俺もこんな婦警さんにカウンセリングしてほしい!

『SARAH サラ』(2014年・インドネシア/カラー/シネスコ/ステレオ/94分)
【監督】ヘルフィ・カルディット
【出演】ドミニク・ディヨセ、サラ・サンガン・カーター、ティオ・パクサデウォ、ベリンダ・カメシ、ニノ・フェルナンデス
【配給】チャンス イン
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞劇場】シネマート六本木1
【鑑賞料金】ポイント鑑賞

『クリミナル・アフェア 魔警』(2014年・中国=香港/カラー/スコープサイズ/ステレオ/111分)
【監督】ダンテ・ラム
【出演】ダニエル・ウー、ニック・チョン、アンディ・オン、リウ・カイチー、クリスティ・チェン、ドミニク・ラム
【配給】フリーマン・オフィス
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】同上
【鑑賞料金】1,800円(当日一般)

【弊ブログ内ダンテ・ラム監督作品記事一覧】
『ビースト・ストーカー/証人』(2008年)
『スナイパー:』(2009年)
『密告・者』(2010年)
『コンシェンス/裏切りの炎』(2010年)
『ブラッド・ウェポン』(2012年)
『激戦 ハート・オブ・ファイト』(2013年)