シネマート六本木が劇終してもアジア映画は終わらない! 『群盗』&「台湾シネマ・コレクション2015」



基本的に、成り上がり志向の人間が放つ欲望でギラギラしてるだけの六本木なんて街は好きじゃないんだけど、
それでも、夜通し街を舞っていたそんなギラギラが地面に落ちて沈殿したような午前中の憂い空気は嫌じゃなく、
夜勤明けにそのままシネマートに向かいそういう空気の中を歩く時だけはちょっと悪くないなぁ~と思ったりする。
というワケでこの空気を味わうのも残り数回か…と思いながら今回は韓国&台湾の映画を観るべくシネマートへ。
閉館フィーバー的雰囲気はまだ薄く平日午前の劇場はいかにも韓流好きそうな女性たちがチラホラいるだけ…。
いぃ~感じ。韓国映画は 『群盗』 でおそらく彼女らのお目当ては兵役が終了し久々俳優復帰のカン・ドンウォン。
本作は、1862年の朝鮮王朝末期を舞台にドンウォンがなんと庶民を圧政で苦しめまくる冷徹な悪徳武官に扮し、
彼によって家族を惨殺され義賊となった名優ハ・ジョンウ演じる屠畜人の主人公の報復を受けるアクション活劇。

…なんて書き方をすると悪役のドンウォンの方が何か主人公みたく感じられるんだが実は感じられるだけでなく、
映画を観ると実際に彼の方がよほどジョンウよりもメインみたいな扱いで描かれ方がとにかくカッコよくて美しい。
だから、貧しく非力なジョンウが義賊仲間の協力を得てだんだん強くなってゆき最後はついにドンウォンを討つ!
というこのテの復讐活劇のストレートなカタルシスを期待すると少々物足りなさを覚える怖れもなきにしもあらず。
彼が悪に染まった理由も主人公の内面よりよほど丁寧に描かれるし憎み切れない悪役というのはちっと困るな。
ただし! イタリア製西部劇いわゆるマカロニ・ウエスタンと王朝時代劇を融合させたアクションは凄いのひと言!
コチラについちゃドンウォンの剣術とジョンウの肉切包丁二刀流は完全に拮抗でこれだけでも観る価値は充分!
キャラ紹介や音楽がマカロニそのままどころか挙句の果てはガトリング銃まで出てきて大いに愉しませてくれる。

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2人のほかにも韓国映画安定の名脇役博覧会!



一方、台湾映画はシネマート閉館企画の一つ「台湾シネマ・コレクション2015」の1本 『EXIT-エグジット-』(新作)。
時間の都合と、昨年向こうの映画賞で高く評価された作品ということで選んだんだけどなるほどよい映画だった。
夫や娘とうまくいっておらず仕事まで失くした上に突然襲ってきた更年期障害に戸惑う45歳の女性がヒロインで、
となるといくら歳が近くたってボクみたいな男にとってはなかなか共感ポイントが得にくいそんな作品なんだけど、
それが緩い緊張感のつづく巧みな語り口と人物の内面を語る映像と役者の高品質な芝居で少しも退屈じゃなく、
台北とはまたちょっと違う南部の街・高雄の雰囲気ともよく合って女の孤独のドラマをじっくりと堪能させてくれる。
ラストがもう少し明るいとよかったけどここんところ台湾映画も相当クオリティが高いしその勢いには本当に驚き。
さァ、いよいよここの“劇終”も迫ってきた…。個人的LAST SHOWも、できれば平日の昼間にしたいと思っている。

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チェン・シアンチーは本作で主演女優賞を獲得!

『群盗』(2014年・韓国/カラー/スコープサイズ/5.1ch/137分)
【監督】ユン・ジョンビン( 『悪いやつら』 )
【出演】ハ・ジョンウ、カン・ドンウォン、イ・ギョンヨン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、マ・ドンソク、ユン・ジヘ
【配給】ツイン
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞劇場】シネマート六本木1
【鑑賞料金】1,100円(会員デイ)

「台湾シネマ・コレクション2015」[4月18日(土)-5月8日(金)]
『EXIT-エグジット-』(2014年・台湾/カラー/94分)
【監督】チェン・シアン
【出演】チェン・シアンチー、イーストン・ドン
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】シネマート六本木4
【鑑賞料金】1,500円(均一)