さようなら、星野ゆず! 『息子の花嫁 いんらん恋の詩』&『スナック桃子 同衾の宿』



星野ゆず。愛称“ゆずぽん”を初めて観たのは同じく荒木太郎監督の快作 『乱交白衣 暴淫くわえ責め』 だけど、
正直どうした経緯かは知らないがいつからか上野オークラ劇場のマスコットガールを務め(しかも栄えある初代)、
タマに舞台挨拶に行くと決まって支配人から総突っ込まれまくりの迷アシストぶりで愉しませてくれるもんだから、
いつしかファンに…。オマケにこんなオッサンのツイッターまでフォローしてくれるんだからもう応援するしかない。
普段の好みとはちょっと違うしハッキリ言ってオッパイも小っちゃいんだけどこれがホントの情愛というヤツかな?
元々エロを濃厚に感じさせる女優でもないから最近はもう彼女がピンク映画に出ても「脱がなくていい」というか、
むしろ「大事なところは全部隠しなさい」というオマエは親戚のオッサンか?ってな気持で彼女のことを観ていた。
そんなゆずぽんが何やら家の事情でこのたび女優を引退するんだという…寂しいような…少しホッとするような。

というワケで、荒木太郎監督の最新作 『息子の花嫁 いんらん恋の詩』 は、星野ゆず念願の初主演作品にして、
完全引退作。これまた正直言って今まで彼女の映画を観て芝居が上手などと思ったことは一度もないんだけど、
しかし今回の作品はさすが主演作だけありこれまでとは比較にならぬほど彼女が本気で芝居と向き合っていて、
そんな“全身ピンク映画女優・星野ゆず”が観られるだけでも一見の価値大有りの渾身的1本に仕上がっている。
むしろ、息子の嫁に淡い恋心と欲望を抱く、男の妄想と現実をシュールに描いた物語の方があんまり面白くなく、
もう少しシリアスとコミカルの配置やバランスがなんとかならなかったのかと思うとソッチの方が残念で仕方ない。
時に見せるゆずぽんの思い詰めた表情がかなり絵になっていたのでいっそシリアス一色のドラマが観たかった。
普段のキャラからすればコメディの方が似合いそうだが、ボクは彼女はシリアスな役柄の方が合っていると思う。

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ピンク映画14本目にして初主演。

そしてそれを図らずも証明していると思うのが併映の1本、鬼才・山内大輔監督の 『スナック桃子 同衾の宿』 で、
本作でゆずぽんはヒロインが関係する男の1人のカノジョを熱演しているんだけど、出演時間は少ないながらに、
そのいわゆる“重い”タイプの女の役が彼女にすごくマッチしていてヒロインを刺す件なんてかなりサイコ・チック。
『息子の花嫁~』 でも刃物を持つシーンがあるがゆずぽんは刃物を持たすと光るのかもしれない。(刃物だけに)
映画としても、男と寝たら腕にアレルギーが出てしまうというなかなか男運に恵まれない女のやるせない哀歓を、
いつものグロをほぼ排したかなり正攻法の演出で描いていて観応え充分!(消毒屋の妻が自殺を図る件ぐらい)
最後が尻切れトンボみたくなっちゃうのが少々残念だけど山内監督はこんなドラマも撮れるのかと目からウロコ。
もう1本、せめてもう1本、引退が嘘となってもいいから山内監督で星野ゆず主演作が観たい!と思ってしまった。

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7本しか観ていない。残り7本全部観なきゃな!

しかしそれはもう叶わぬ夢…。初日は最後の舞台挨拶という呼び水もありいつにもまして盛況だったようだけど、
以前の舞台挨拶の際「何もない日にもピンク映画を観に来てください!」と言っていたゆずぽんの言葉に倣って、
ボクは今回もオークラ劇場が普段通りの佇まいの日曜晩に観に行き、映画を観に来ているのとは明らかに違う、
ひと夜の相手を求めているのだろうオッサンたちの品定めの目に時に緊張しながら、上の2本を鑑賞したしだい。
ありがとう、そしてさようなら星野ゆず。オークラ劇場へ通う、我ら哀しいオッサンたちの分まで、幸せになってネ。

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こんなピンク・ファンに愛された女優いない。

『息子の花嫁 いんらん恋の詩』(2015年・日本/カラー/70分)
【監督】荒木太郎
【出演】星野ゆず、加山なつこ、杏堂怜、牧村耕次、ダーリン石川、天才ナカムラスペシャル、縄文人、稲葉良子
【配給】OP映画
【5段階評価】★★★☆☆

『スナック桃子 同衾の宿』(2013年・日本/カラー/60分)
【監督】山内大輔( 『色恋沙汰貞子の冒険 私の愛した性具たちよ…』 『欲望に狂った愛獣たち』 『犯(や)る男』 )
【出演】山吹瞳、星野ゆず、佐々木基子、竹本泰志、久保田泰也、津田篤、森羅万象
【配給】エクセス
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】上野オークラ劇場
【鑑賞料金】1,600円(3本勃)

【弊ブログ内荒木太郎監督作品記事一覧】
『さみしい未亡人 なぐさめの悶え』(2012年)
『乱交白衣 暴淫くわえ責め』(2012年)
『異父姉妹 だらしない下半身』(2013年)
『巨乳未亡人 お願い!許して・・・』
(2014年)
『未亡人女将 じゅっぽり咥えて』(2015年)