ラップにのった少女、あるいは“アフガンノラッパー”が世界を変える! 『ソニータ』@第11回難民映画祭



ホント今年の音楽ものは傑作だらけだな。本作もまた 『ソング・オブ・ラホール』『歌声にのった少年』 と並び、
音楽で世界は変えられないかもしれないけど、揺さぶることなら確実にできると心の底から思わせてくる大傑作。
ラッパーを夢見るイランに暮らすアフガニスタンの難民の少女が、女性が音楽を創ることに厳しい慣習を越えて、
自作の曲を世界に発信、ついにはアメリカへ渡るまでを追ったヘビーな話だけど希望に充ちたドキュメンタリー!
もはや生まれながらのラッパー顔に見えるその少女ソニータがスプーンをマイク代わりに自作のラップを披露し、
それに合わせてヒジャーブ姿の幼い女のコたちが愉しそうに踊るオープニングからもう心をつかまれること必定。
実はこの映画は8月の頭にNHKのBSで50分の短縮版が放送されているんだけど、そのカットされていた40分に、
世界の理不尽さや彼女がどれだけの困難と幸運を得て向こうにたどり着いたかが描かれ、何度も胸が熱くなる。

なにより本作がいいのはソニータのラップが純粋かつ抜群にカッコいいこと!(プロのアレンジを受けたとはいえ)
こんな世界の理不尽に対する怒りと祈りに充ちたラップを聴くのは初めて。(まぁ普段はラップに興味ないけど…)
ソニータの親兄弟や、イラン人の女性監督ほか彼女を支える周りの人たちとのドラマにもいろいろ考えさせられ、
排外主義が再び世界を覆いつつある今、いかにわかり合える者同士で手を取り合うことが大切かを教えられる。
ソニータの歌自体も泣けるけど、彼女の妹が姉の渡米期間が思いのほか長いと知って泣く件なんてもうムリだ!
ただ逆に彼女の存在がアフガニスタンにも知れ渡って家族が嫌がらせされないかとそれが少し心配にもなるが。
とにかく短縮版を観た時もめちゃくちゃ感動したけど全長版はもちろんそれ以上の感動! すごく勇気をもらえる。
ソニータが里帰りする件で映るアフガニスタンの風情も廃れているとはいえ旅情を煽られた。いつか旅がしたい。



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来年秋にユナイテッドピープル配給で劇場公開!

「第11回UNHCR難民映画祭」
[2016年10月8日(土)‐10日(月・祝)]@イタリア文化会館(九段下)
[2016年10月15日(土)・16日(日)]@スパイラルホール(表参道)
『ソニータ』(2015年・イラン=ドイツ=スイス/カラー/91分)
【監督】ロクサレ・ガエム・マガミ
【出演】Sonita(ソニータ) Alizadeh、ロクサレ・ガエム・マガミ
【5段階評価】★★★★★

【弊ブログ内UNHCR難民映画祭記事一覧】
第4回UNHCR難民映画祭(2009年)
第5回UNHCR難民映画祭(2010年)
第6回UNHCR難民映画祭(2011年)
第7回UNHCR難民映画祭(2012年)
第9回UNHCR難民映画祭(2014年)
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