難民映画祭からの難民・移民がキーワードのドイツ映画2本立!/ドイツ映画祭2016 HORIZONTE

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「ドイツ映画祭2016 「HORIZONTE」」
[2016年10月15日(土)-19日(水)]@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
【鑑賞料金】1,000円

『閉ざされた部屋の嵐/Das Wetter in geschlossenen Räumen』


実は初めてドイツ映画祭に参加したんだけど面白かった。…けど難民映画祭の後に観るには少し皮肉な1本目。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)職員としてアラブの紛争地域(国は特定せず)で開発援助に携わりながら、
プライベートではそんな仕事と相反するように高級ホテルで酒と麻薬と男に溺れる1人の女性の頽廃的なドラマ。
ある難民の少女をロンドンの大学に進学させるという計画が、少女が失踪してしまいしだいに歯車が狂ってゆく。
中東と欧州の因果関係やけっきょくは先進国都合の開発援助の偽善や矛盾を炙りながらも社会派には行かず、
美人だけど内面がいろいろ澱んでいそうな女性の孤独と虚無を描いてまるでファスビンダーの女性映画みたい。
映画は彼女の背景までは根掘り葉掘り描かないからモヤモヤしそうなものだけど、本作の場合それがよかった。
それもヒロインを演じる名女優マリア・フルトヴェングラーの知的でエロい熟女感が素晴らしかったからだと思う!

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現地で調達した男がハーフという設定も面白い。

『閉ざされた部屋の嵐』(2015年・ドイツ/カラー/100分)
【監督】イザベル・シュテーヴァー
【出演】マリア・フルトヴェングラー、メフメト・ゼーゼル
【5段階評価】★★★★☆

『メテオール通り/Meteorstraße』


そしてこれもまた素晴らしかった。元々欧州の移民社会を描いた映画に興味があるから本作を選んだんだけど、
よもや、こんなケン・ローチみたく観終わった後で胸にザラザラした“何か”が残る青春映画が観られるなんて…。
悪人ではないが粗暴な兄と内向的な弟、戦火を逃れレバノンからドイツへやって来たパレスチナ人兄弟の物語。
きっと欧州のとくに若い移民が感じているに違いない“疎外感”が普遍的な青春の孤独と重なってやり切れない。
ベルリンに居場所もないけどレバノンへも帰れない弟の孤独が、田舎者の自分にもなんとなく理解できてもう…。
粗暴なままに移民ライフを愉しんでいる(ように見える)兄貴とも合わなくなって彼はますます内向的になってゆく。
弱い誰かが自分より弱い他者を虐げ、そして負の連鎖が深まってゆくという差別の本質をしっかり捉えているし、
さらにはフランスの外人部隊に入らんと思い立った主人公に、女性が話しかけるバス停のシーンでは思わず涙。
ああいうフとしたフレアイが悲劇を喰い止めるきっかけになると信じたいと祈るような場面にボクには感じられた。
移民というテーマを考えると雑な部分も多いけど青春映画としては好きなタイプ。ドイツ映画祭、来年も通おっと。

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左の兄役は漫画「ワンピース」が好きだそうです。

『メテオール通り』(2016年・ドイツ/カラー/84分)
【監督】アリーヌ・フィシャー
【出演】フセイン・エリラキ、オクタイ・イナンシュ・エズデミール
【5段階評価】★★★★☆