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先日、テレビ朝日で放送された「M-1グランプリ2005」。 「エンタの神様」とは違って本格派だけがその出場を許されるテレ朝屈指の好番組だけど、 おそらく、ボクを含めた関西圏以外に住んでいる人たちのなかで、 「ブラックマヨネーズ」の優勝を予測していたという人はほとんどいないんじゃないだろうか? ボクが彼らの漫才を見たのはまだ名古屋に住んでいる頃の話だし、 今年はこれまでの流れから言って「笑い飯」か「麒麟」のどちらかだろうと踏んでいたので、 当日外から帰ってきて、ビデオでまず彼らの優勝を知ったときには本当に驚いてしまった。 でも、面白かった。それこそ震えるほどに面白かった。 練り込まれたネタに、安定したテンポとテンション。心地好く痛快な言葉廻しに声の高低のバランス。 審査員の大竹まことが彼らを評して言った、“オーソドックスの凄さ”。 ふたりの漫才の面白さはまさにこのひと言に尽きるとボクも思う。 いまだに“あるある”ネタや(「レギュラー」は好きだから除外)、 飛び道具みたいなキワモノ芸人がアイドル扱いされるなかで(それはそれで面白い芸人もいるけど)、 ブラックマヨネーズの、言葉の面白さを煮詰めたオーソドックスな笑いが“笑いのプロ”たちによって 最大級の評価を受けたというのは、昨今のお笑いブームに鉄槌を喰らわすぐらい意義のあることだ と思うし、何よりそれは、お笑いばかりではなく、映画にだって言えることなんじゃないだろうか……? 凝りに凝ったMTV調の映像や、センスをひけらかそうとヒネりまくった挙句空廻りを起こす脚本とか、 もうそんな映画が“新しい才能の誕生!”だのなんだのともてはやされるような時代はとっくの昔に 終わっている! 映像はあくまで物語を豊かにするために機能するべきであり、 シンプルにこだわった脚本こそが映画に工夫とリズムを生む。 そういう意味で、今月同日に公開された傑作2本、『愛より強い旅』 と 『キング・コング』 は、 ジャンルとしては天と地ぐらい違えども、目指す映画的な志はまったくと言っていいほど同質である。 とまぁ、自分で書いてて相変わらず無理に感じる展開だけど、 今回の映画には二人組の人気コメディアンというのが出てくるもんだからちょっと「M-1」の感想も。 でも、“オーソドックスを極める”という意味では、この映画にも同じことが言えるんじゃないだろうか。 1972年、新進気鋭の若きジャーナリストのカレン(アリソン・ローマン)が、 15年前にTVで活躍していた人気デュオ、 “ラニー(ケヴィン・ベーコン)&ヴィンス(コリン・ファース)”が解散した真の理由について探り始める。 ふたりに接触したカレンは、調査を進めるうちに彼らの意外な素顔を知り、 そのきっかけとなった、ある変死事件の真相にしだいに肉薄してゆく……。 ハッキリ言って、物語のあらすじそのものは、今秋ついにその長い歴史に幕を閉じた2時間ドラマ、 「火曜サスペンス劇場」、もしくは“スナック火曜サスペンス劇場”(わかったアナタは“ビバリスト”!) 程度のお話で、そんな大昔のアメリカのTVの舞台裏になんて興味もなければ、 ましてや堕ちぶれてゆく芸能人の凋落ぶりなんてこっちは知ったこっちゃない。 だけど、これを撮った監督は、 ストリップ劇場の人間模様から、雪に閉ざされた田舎町の哀しいドラマに、壮大で重厚な歴史大作、 果ては世界的チェリスト、ヨー・ヨー・マのドキュメンタリーに至るまで、 まるでカメレオンの如く変幻自在にノージャンルな題材を手掛けるカナダの鬼才、アトム・エゴヤン。 だから、一見陳腐ともとれるこんな物語も、 エゴヤン流の傑出したセンスの映像と観る者を妖しい気分にさせるまるで催眠術のような語り口で、 人間の心の暗部という“はらわた”を否が応にも引きずり出す格調高いドラマに仕上げられている。 テイスト的には、本作は監督の名を世界に知らしめた傑作 『エキゾチカ』 に最も近いと思うけれど、 いずれにせよ、どんなにノージャンルで映画を撮ったとしても、 向けられる監督の、ヘビのような視線の矛先はいつも同じ…。 そんな独特の臭気を放つエゴヤン演出に、 ベーコンとファースのネチっこい演技が相まって、なんとも言えない暗さと重さが全篇に漂っている。 だからもちろん、一方の女優からは潜在的なエロスが引き出されて、 それに応えるべくローマンが渾身の体当たり演技で見せてくれている“濡れ場”も本作の観どころだ。 とにかくローマンが可愛い! そしてエロい! 彼女の、 どちらかと言えば“ロリ顔”が不必要に醸し出すギリギリのエロさがほぼ確信犯的にこちらの欲情を 絶え間なく煽ってくるから、めくるめくうちに観客はドラマの陰部に引きずり込まれ自我を失う快楽を 登場人物たちと共有することになる…。やはりエゴヤン、おそるべし! そしてラストに感じる消化し切れないダークな後味は、 クダラナイと言いながらも芸能人の離婚会見なんかを興味津々で見てさらには酒の肴にしてしまう、 ボクたちTVやスクリーンの前の観客の渇いた欲望…。 この、ハリウッドにもヨーロッパにも類を見ない、例えばうなじをペロッと舐められてゾワッとくるような 皮膚感覚のエゴヤン・テイスト。だけど、一度味わったらやみつきだ。 [ 日比谷 シャンテ・シネ にて公開中 ] |
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秘密のかけら@シャンテ・シネ
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April april 2006/02/05 00:06 |
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おお!あるあるネタに辟易しつつもレギュラー好き…まったく一緒であります。本作の、サスペンスに関しては後半の謎解きあたりから「なんかその辺はどうでもいいな」とか思ってしまいましたw エゴヤンの類い稀なセンスが光って、それでも面白かったなぁと感じます。この監督すげぇといいながら、鑑賞したのはまだこれが2作目でした(あとは「アララトの聖母」です) 「エキゾチカ」「スイート・ヒア・アフター」あたりは早く見なきゃと思いつつ、頭の良さについていくのが軽くだるいと尻込みしたり…w |
現象 2005/12/30 13:33 |
こんばんわ。 |
April 2006/02/05 00:26 |
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