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この映画を新宿で観てきたのは3日前の天皇誕生日なんだけど、今からちょうど11年前の1997年、 その年の同じく12月23日にも、奇しくもボクはレオナルド・ディカプリオ主演の映画を観ている。そう、 『タイタニック』 だ。そんなどーでもいい話を憶えてるのもひとえにこのムダな記憶力ゆえなんだけど、 しかし憶えている理由が実はもう一つあって、当時ボクは名古屋でサラリーマンをやっていたんだが、 その約ひと月ぐらい前に映画館で声をかけて仲良くなった女の子と、一緒に映画を観に行ったからだ。 当時25歳。仕事にも身が入らなきゃ恋もうまくいかず、まぁ要は寂しさ紛れにある晩、映画を観た帰り、 同様に独りだったその子にエレベーターの中で「映画、好き?」と話しかけたんだけど、「うん、大好き」 と答えた彼女は先に書けばとうの昔に結婚して大好物の人妻なんだけど今はもう連絡もとっていない。 声をかけて以降、幾度か逢い、そして公開前から話題騒然だった 『タイタニック』 を観に行ったんだが、 けっきょく彼女にはフラれた。ディカプリオは映画のラストでドラマチックに海の底へと沈んでいったけど、 ボクはチャポンといった最後の実に呆気ない沈み方であれから11年、ボクはいまだに“恋愛深海魚”だ。 だけどまぁフラれたんだし、もうどーでもいいやと思っていたらボクは会社を辞めて旅へと出ることになり、 そしたら映画くらいしか趣味のないボクをやや見下していた感もあった彼女の態度がチョッピリ変わって、 なんならチョットたくましい人ぐらいな感じで、ボクに対する評価も上がったみたいだったんだけど、しかし、 だからってその後付き合ったワケでもなく、彼女とは至極いい友だちになりそれがしばらくの間つづいた。 ’98と’00年いずれの旅先からも何度も手紙を出したし、帰ってからも定期的に逢うなどいい関係だった。 2回目の1年間に及ぶ旅行の際には姪っ子と撮った写真とともに彼女と並んで写した写真も持っていき、 旅先で誰かと仲良くなるたびその写真を取り出しちゃ、「日本でボクの帰りを待っているフィアンセだ」と、 自慢して「いいなぁ〜」という相手方の反応を楽しむなどとくにインド人にはしょっちゅうウソをついていた。 世界に出てウソをつく。そう、ボクはまさしくワールドにオフしてライズしていたワケだ(間違ってるし強引)。 名古屋にいたウチはチョイチョイ逢っていたものの、やっぱりボクが上京するとともにしだいに疎遠になり、 今頃どーしてるのか知らないが母子家庭で育った子だったからきっといいお母さんになっているのかな? 黒木瞳を薄くした感じと言えば言えなくもない、お酒が弱くて酔った顔のカワイイ子だった。B型だったし。 ふぅ(回想)。ディカプリオを見ていたら急に思い出しこんな時期におセンチになってしまった。では、映画。 『タイタニック』 から早11年。相変わらず芝居巧者なディカプリオと、これまた巧いラッセル・クロウという、 二大名優、もしくは二世代“夜の帝王”の共演による話題作、そして今年初頭に公開されて面白かった、 『アメリカン・ギャングスター』 の映像派の鬼才リドリー・スコット監督最新作 『ワールド・オブ・ライズ』 は、 まぁ最近のハリウッド映画といえば“リメイク”“アメコミ”“テロとの戦い”の順繰りといった感じなんだけど、 その3つ目の“テロとの戦い”に該当するであろう衝撃的な内容のポリティカル・サスペンス・アクションだ。 タイトルからはイマイチ内容の掴みにくい映画だったんだけど、観たら実にテンポのいいストーリー展開と、 手に汗握るようなスリルのたたみかけに、そして男クサいだけに留まらない適度なロマンスを織り込んで、 ディカプリオとクロウの対照的な存在感を主軸に2時間オーバーの長尺を一気に見せてくれる作品だった。 ただし、ワシントン・ポスト紙の元記者がイラク戦争の裏真実を織り交ぜて描いたらしい小説が元の本作。 確かにその裏真実にあたる部分はセンセーショナルではあり、それは焦らさずにサッサと書いてしまうと、 CIAが中東で対テロ作戦を展開していたその最中イスラム過激派組織の大物ボスをおびき寄せるために、 現地捜査官(本作じゃディカプリオ)が偽の組織をデッチ上げ偽装テロを起こしていたというものなんだけど、 しかし、元はと言えばイラク戦争自体、生物化学兵器の存在をデッチ上げて始めたものだったということを、 当のアメリカが認めイラク戦争は失敗だったと素直に言いそれを受けて国民も過去を忘れたがっている今、 そのヘンを映画の中で大上段に持ってきても言わずもがなで、まったくと言っていいくらいインパクトはなく、 案の定アメリカじゃコケようでそれで日本でも師走のドサクサ紛れに公開したような感じになっているとか? まぁだからと言ってインパクトはないとサラリと流されてしまうこのご時世自体いかがなものかとは思われ、 3年前の 『シリアナ』 なんかはワリとそのあたりを生マジメに扱っていた映画だったと憶えているんだけど、 おそらく、賢明なリドリー・スコット自身、ここで政治色を強めても致し方なしと判断してか本作じゃ腹を括り、 潔く騙し騙され系の娯楽サスペンスに徹して結果それでよかったと思うんだけどやっぱり印象は中途半端。 ご都合主義も目立ちソモソモ、ディカプリオが演じた主人公など本来なら指を100本潰されても当然なくらい、 無実の人間を殺しまくってるのにけっきょく映画だからといい感じに描かれハッピーエンドっていったい……。 あくまで個人的印象だけど、スコット、ディカプリオ、クロウ、10割力を出さずとも仕事のデキる男たちである。 本当はヤッツケで撮った映画じゃないのかな? クロウなんて役作りじゃなくただ単に太っただけだと思うし。 原題は「Body of Lies」。訳すなら“嘘のカタマリ”みたいな意味で、まぁ要するにハリウッド映画のことだね。 もしかするとリドリー・スコットは、題材に託してハリウッド映画のウソを皮肉りたかったのかもしれない……。 それにしても、『タイタニック』 からもう11年かぁ〜。よもや11年後も独りで映画観てるとは思わなかったなァ。 いったいこの11年の間にボクは何人の女の子に好き好きと言ってきたんだろう……。今思えば7割ウソだし、 『タイタニック』 から 『ワールド・オブ・ライズ』―。まさしく“嘘のカタマリ”みたいな11年でした…というオチで。 [ 新宿ジョイシネマ ほかにて公開中 ] |
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