男だったら独りで観ろ! 震えて、泣け!! 『SPL 狼よ静かに死ね』

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凄い…物凄すぎる…!!!
抑えても抑えても体の芯から溢れ出てくる感動を伝えたくても伝えられないこのもどかしさを、
いったいボクはどんな言葉で表現したらいいのだろう……。

今や、
男が“男である”ことさえ難しいとされる現代にあえて挑む、
男の哀愁と悲哀に充ち充ちた薫り高きハードボイルドと、
格闘アクションの本場、香港の威信をかけた凄絶マーシャル・アーツとの奇蹟的な融合!
100万弗の夜景が作り出す大都会の“影”に浮かび上がる欲望と暴力のアラベスク!
善も悪も超越して今日をギリギリ生きる熱い男たちの墓場なき生き様!
そして、魂と魂、肉と肉がぶつかり合い血飛沫の如く舞い上がる怒涛の映画的カタルシス!
まさに、『男たちの挽歌』 と 『ドラゴン危機一発’97』 と 『ザ・ミッション/非情の掟』、
そして 『インファナル・アフェア』 がスクラムを組んでアタックをかけてきたかのような、
人知を超えたにわかには信じられない映画的昂奮と衝撃!
それが! 『SPL 狼よ静かに死ね』!!!
すべてが映画! これこそが“男の映画”だ!

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 香港の闇にあまた蠢く組織犯罪を陰で牛耳る黒社会のドン、
 ポー(サモ・ハン!)の逮捕に執念を燃やし続ける特別重犯罪捜査班のリーダー、
 チャン(サイモン・ヤム!)は長年多くの犠牲者を出しながらポーを追い続けてきたが、
 いつもあと一歩のところでポーに法の網をかいくぐられていた。
 やがて、チャンといずれも荒々しい3人の捜査班刑事たちは、
 ある違法な手段によってポーの逮捕にこぎつける。 
 不治の病に冒され近く現役を引退するチャンに代わって、
 捜査班の新リーダーに着任したマー(ドニー・イェン!)は、
 彼らのあまりに常軌を逸した違法捜査をすぐに見抜くが、
 ただ自分たちの“正義”だけを信じてひたすら突っ走る彼らにいつしか共感を覚え、
 その犯罪的捜査手段を静かに黙認する。
 しかし、チャンたちの違法逮捕はすぐさま露見し、またしてもポーは無罪放免。
 そしてポーの逆襲が始まり、彼の送り込んだ殺し屋ジェット(ウー・ジン!)は、
 恐るべき冷酷非情さで1人1人、捜査班のメンバーたちを血祭りに上げてゆく…!!!

やはり、今作最大の観どころは、
主演に加えてアクション監督も務めたドニー・イェンが、
近年、隆盛目覚ましい 『マッハ!』 に代表されるタイ製アクションを真っ向からライバル視し、
それを上廻るべくまさにK点超えを目指して挑んだ、
度肝を抜くなんて生易しい言葉では表現し切れないほど凄まじい、
観ているコチラの方が酸欠状態に陥りそうなほどの超絶マーシャル・アーツ・バトルの数々。
かつて 『ドラゴン危機一発’97』 で、
昔のブルース・リー映画が牧歌的に思えてくるほどハードなアクションを見せたドニーだが、
今作のそれは、ハッキリいってその比ではない。
しかも、現在の世界的な総合格闘技ブームの傾向を瞬く間に取り入れて、
“腕十字”や“跳び付き式三角締め”などのメジャーな(?)関節技の数々も華麗に披露。
しかもドニーの繰り出すサブミッションは、
どちらかといえば“プライド・ファイター”たちの重たい見た目のそれよりも、
たとえば中邑真輔やケンドー・カシンのそれに近いまさしく“魅せるサブミッション”。
その鮮やかさは、どんなにコアな格闘技ファンの溜飲をも下げて余りある。
ドニーとラストで息詰まるような死闘を繰り広げる、
大陸出身の若手ウー・ジン、そして言わずと知れた香港の“伝説”サモ・ハンとの、
その世代差をまるで感じさせない三者三様のファイトぶりからは、
「本当に凄ぇのは、香港なんだよ!」(by中邑)
という意気込みが溢れんばかりで本当にうれしい限り!
今後のアジア圏アクション映画における、
“香港型温故知新的老舗の味アクション”と、
“タイ式新興型人命軽視アクション”との切磋琢磨に期待感はもうマックス・ボルテージだ!

しかし、
何もこの映画はアクションでコチラを楽しませるだけの単なる見世物とはワケが違う。
単にそれだけだったらここまで大騒ぎしたりはしないだろう。
今作には、そういった数々のハード・バトルをガッチリと底で支え、
観る者の心を震わせる熱いエモーションに充ちた“ドラマ”がある。
そしてそのエモーションの核とは、
巨大な悪に対する熱い男の“怒り”と、人として生きてゆくことの深い“悲しみ”だ。
悪が悪として罰せられることなく善良な者たちばかりが涙を呑む不条理な人の世……。
チャンたち捜査班の刑事たちがそれこそヤクザ紛いの暴走捜査に走るのは、
何も好き好んでというのではなく、そんな理不尽極まりないこの世の闇に、
長く身を浸しすぎたことで彼らもまた心を傷めてしまった結果なのだ。
だが、善を信じ、正義を胸に秘めたところで、神や仏が必ずしも微笑んでくれるとは限らない。
それぞれの人生に永劫癒えることない傷を背負っている彼らの悲しみはどこまでも深く、
彼らの日々に安穏が訪れることはずっとない。
そしてその代わり彼らの元をやがて訪れる、
まさに“宿業”としか言いようのない凄絶な末路と人生の終焉……。

男は、“愛”に泣くんじゃない。男は、“業”に涙するんだ。

確かに、
凝りに凝りまくったこの映画の色彩設計は必ずしも個人的には好みじゃないし、
もちろんアクション自体はノーCGなものの、
できればそれ以外のところでも今作にはCGをいっさい使ってほしくはなかった。
しかし、その一つ一つにこだわりまくった主要キャラのカッコよすぎる各登場シーンといい、
繊細ではないがその分直球で男泣かせの演出の妙といい、
とにかく映画の芯であり土台であるべきものがしっかりとしているので、
上記の個人的要求が映画を妨げるということだけはゼッタイにない。
随所随所で挿し込まれる俯瞰で捉えた香港の美しい夜景は、
まるでこの映画に登場するすべての人間の矮小な存在を、
優しく包み込むかのようでそれだけでも涙が出る。
ドニーの今までにない人間味豊かな男の魅力、
サモ・ハンの恰幅が醸し出すこれが本格的初悪役とは思えない圧倒的恐怖感、
サイモン・ヤムの失った多くのものを引きずる中年男のLEONいらずの“チョイ悪”の味わい、
そして、クールで一見童顔な面立ちが逆に功を奏して背筋が凍るウー・ジンの狂気と艶……。
もう書いても書いてもキリがない!

最初は、
「どうしてこんな大傑作が歌舞伎町たった1館だけの公開なんだ!」
と地団駄を踏みたいような心境だったが、
しかし逆にいえば、これはそこらのシネコンでバカみたいに座席を決められ、
アホ面でポップコーンを頬張りながら観るような映画なんかではないこともまた事実。
これは、男が独り、“眠らない街”の片隅で身を委ねるようにして観てこそ相応しい、
そんな映画だ。
できれば週末のオールナイトで観るならもう完璧だろう。
間違っても女連れなんかで行くな!
この世には、“男が独りで観なければならない映画”というのが間違いなく存在するんだ。
コレがまさにそう!

独り、観て、震えて、そして、漆黒の闇に包まれながら、思う存分泣くがいい。



新宿オスカー劇場 にて公開中 ]

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