前2作のDVD特典的メイキング!? 『ソウ3』

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サンダンス映画祭で絶賛され(確か)、
(まぁ“サンダンスで絶賛”というのも最近じゃ、
 過分に“ブランド”っぽくなっている気がするけど…)
DVDを含め日本でも大ヒットを記録したサスペンス・ショッカー 『ソウ』。
キャッチコピーである“ソリッド・シチュエーション・スリラー”の、
“ソリッド”がどんな意味なのかいまだに知らない、
そして知る気もないボクはこの映画にまったく乗れなかったタイプ。
確かに面白くなかったとは言わないしラストまで飽きたりもしなかったけど、
いかにも新人らしく旺盛なケレン味に充ちたとくに映像と音楽は、
物語の効果というより個人的に単に目に耳に煩わしいだけで、
ラストのドンデン返しにもいくらなんでも「そんなアホな!?」と呆れるばかり。
なにより“ジグソウ”という冷酷無比なキャラクターに対して、
キミのその目的のためにそこまで仕掛けに凝る必要はあるのかね?と、
その心境を見透かされてかやたら「ゲームゲーム」と連呼するのが癪に障って仕方なかった。
けっきょく 『セブン』 に 『ゲーム』 を足して 『CUBE』 で割り、それを押せ押せに見せるだけで、
ここ近年、とにかくアンチ“ドンデン返し”を掲げる身としては素直に楽しめる映画じゃなかった。

ところが近頃の“スプラッター・ブーム”に乗じこのシリーズもいつしか残酷ホラーと定義され、
しかもこの第3弾では、そのあまりのスプラッター描写ゆえに配給側を泣かせたなんて聞く。
それならば多少は作品の方向性も変わったのかと思ってこの 『ソウ3』 を観ることに決め、
じゃあ予習も必要だろうということで未見のままだった前作 『ソウ2』 を観たんだけれど、
確かに1作目より残酷度は増し観応えはあるものの、
このタイプの続篇の常で残酷描写とともに設定もやたらと大ゲサになり、
作品の本筋からどんどん離れていっている印象がするばかりで、
1作目と同じく、ラストのドンデン返しにも何ひとつ驚かなかった・・・。

そんなワケでこの 『ソウ3』。
とは言えせっかく2まで観たんだし完結篇まで見届けようと思ったんだけど、
あるぇー? 完結篇というのは単なるボクの思い込みで、これは完結篇でもなんでもなかった。
ますます、「ここまでする必要があるのかね?」との思いが強まる結果なのであった。

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 殺人現場に呼び出された女刑事ケリー(ディナ・メイヤー)は、
 鎖に繋がれ、時限装置付爆弾により飛び散った死体を目撃する。
 死体が行方不明の同僚ではなかったことに彼女は一旦は安堵するが、
 ジグソウはもう動けないはずだった経緯から、誰の仕業なのかに疑問を抱く。
 その夜、ケリーは何者かに拉致され、気がつけば地下室に監禁されていた……。

そもそもホラー映画なんていうものは、
どんなにオリジナルを目指してガンバったところで、
既存の同ジャンル映画からの影響やパクリは避けられないし、
ましてやこのジャンルに説得力や辻褄合わせを要求すること自体、
観方として間違っていることなど重々承知の上なんだけど、
それにしたって世の中、ものには限度がある。
かつてジグソウに“ゲーム”を仕掛けられ、そして生き延びたことで彼に洗脳されて、
やがてそのアシスタント兼後継者になるアマンダ(ショウニー・スミス)だけど、
いくらなんでもあんな短絡的なジャンキー女に、あのように精巧な機械工作できるワケない。
材料を集めて廻っている途中に捜査に引っ掛かるハズである。
そうしてジグソウに洗脳されたことで彼とアマンダの間に“教祖と信者”という関係性が生じ、
さらにそこに男と女という要素も加味されるというのは確かに新鮮な発想だけど、
その展開はこの場合、単に狂った物語を整然とさせるだけで、
残酷描写のクレスの仕方と完全に反比例していったいなんの映画なのか戸惑うばかり。
そもそもジグソウとアマンダの関係が、
“レクター博士とクラリス”の二番煎じ的発想とまでは言わないけれど。

要はこのシリーズは、“生”に絶望した男が狂気へと走り、
“生”に感謝しない愚か者たちに罰を与えて廻るという、
言ってみれば、寓話のような発想がベースだと思うんだけど、
そのホラーという非現実的なジャンルだからこそ成立する寓話に対して、
ヘンに現実に即した(要は観客の納得しやすい)解釈をアレコレ加えようとするから、
無理が無理を追いかけてムダに大ゲサなだけの話になってゆくのである。
『セブン』 や 『悪魔のいけにえ』 に見る底なしの狂気は説明不能のシンプルさゆえなのだ。
まるでDVD特典のような、前2作のメイキングじみた種明かし篇的な構成は、
単にドラマを平面的で退屈なものにしているだけ。1作目を観返せば(テレ東で放送してた)、
どうしたってアマンダの存在が“後付け”なことぐらい火を見るより明らかなんだから。
確かに本作ウリの残酷描写はR-15指定も納得の気合いが入ったものだけど、
この無理だらけの散漫な物語のなかじゃ、
いかにも「見せまっせぇー!」という作者の“明るい”商人根性が丸見えで正直、興醒め。
前作に引き続きメガホンをとったダーレン・リン・バウズマンより、
やはり 『ホステル』 を撮ったイーライ・ロスの方が遥かにホラーというジャンルを熟知している。

ホラーという魅惑の、そして究極の虚構的映画ジャンルが劇場でヒットするのはうれしいけど、
しかしホラー映画が好きだからと言って残酷ならばなんでも好きと思われるのは極めて心外。

そんなワケで、なんだかまだまだつづきソウなこのシリーズ。
同じくボクのアンチ 『ソウ』 もしばらくつづきソウなのだった?

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