キミは、「犬神サーカス団」を知っているか!? 『犬神家の一族』

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今、『鉄コン筋クリート』 の主題歌を歌っている、
「ASIAN KUNG-FU GENERATION」に、
西川くんが新しく始めたナントカドンナントカスクールなど、
最近は、横文字でチョイ長めでカッコいい響きのバンド名がやたらと多く、
いわゆる80年代バンド・ブームや“イカ天”ブームの時代によく見られたような、
強烈なインパクトを残す妙な名前のバンドというのはめっきり少なくなってしまった。

で、案の定ボクは耳にするだに強烈なインパクトを残す妙な名前のバンドが昔から好きで、
当時その代表格だった筋肉少女帯人間椅子などはいまだに好きでよく聴いているし、
(10代の頃にハマっていた音楽を上廻るほどのものにその後の人生で出会うことはマズない)
“筋少”のオーケンこと大槻ケンヂが2000年より始めたバンドの名も「特撮」なら、
今や“エレカシ”と呼ばれてカッコいい“男気”バンドの代表的存在になっているけれど、
「エレファントカシマシ」なんてよくよく聞けばかなりケッタイな名前で、
彼らの音楽も10代の頃は“筋少”や人間椅子並みに何度も何度も聴いていた。

だけど、最近じゃめっきり少数になったとは言え、
そうした筋少や人間椅子などの影響をモロに受けて(もしくは多分受けて)、
そのテイストを継承しているバンドというのも知られていないだけでけっこうおり、
そのいくつかを挙げてみると、
多分、今日本で最もガンバってメタルをつづけている陰陽座(おんみょうざ)や、
タイトルにも挙げ、ひと頃「うたばん」でオーケンのソロのバックを演ったことから、
貴さんと中居くんにいじられ少しだけ名前が知られた犬神サーカス団がある。
ほかにもグルグル映畫館天照(あまてらす)」「メトロノーム」という名前のバンドもあり、
ちなみにボクの友人や知り合いが演っているバンドも殺し屋ベイビーとか「宙ブラリ」
またはBO-PEEP(ボーピープ)など、「ん?」と思うような名前のバンドばかりだったりする。

(ここで宣伝で、最後に挙げた「BO-PEEP」は、福岡から上京してきた女のコ3人組による、
 かなりストレートでパワフルなロックを聴かせてくれるガールズ・バンドなんだけど、
 なぜか日本を飛び出しロンドンでライヴを演ったりと精力的に活動していて、
 このほど、ついにレコ発にあてた初の東京ワンマン・ライヴが決まってよろこんでいるところ。
 2月18日(日)に下北の老舗ライヴハウスシェルターでの公演なので興味があればぜひ!)

で、冒頭からずっと映画とは関係のない話ばかり書いているけれど実はそうでもなく、
ボクがよく音楽を聴いていた頃に好きだったバンドは、
日本の大正、昭和頃の文学のテイストを楽曲に融合させているというパターンが多く、
「人間椅子」はそのまま江戸川乱歩の傑作中篇のタイトルを冠したバンドで、
乱歩や横溝正史や夢野久作、谷崎や泉鏡花からインスパイアされた楽曲がかなり目立つし、
“筋少”の曲にも、乱歩小説のタイトルや中原中也の詩をモチーフにしたものが数多く、
当然後の「犬神サーカス団」なんて言わずもがなだ。
オーケンはまた、「アンダー・グラウンド・サーチライ」名義で、
「スケキヨ」と「アオヌマシズマ」という2枚のアルバムを出している。

というワケで、江戸川乱歩と並んで推理小説の大家・横溝正史の代表作ミステリーであり、
角川映画の第1回作品として’76年に大ヒットした、
市川崑監督・石坂浩二主演の 『犬神家の一族』。
なにゆえ角川映画30周年を記念して市川崑が再びメガホンをとるのはともかく、
主演まで30年前と同じへーちゃん(石坂浩二のあだ名。本名:武藤兵吉)なのかという、
多くの疑問に目をつむるカタチでけっきょく完成してしまったこのリメイク版

まぁ冒頭から関係のない話をダラダラ進めてきたのも、
要はなんのためにリメイクしたのか観てもサッパリわからず書くことが何もなかったからで、
’76年版は当時としてはオドロオドロしい土着的な物語を、
モダンな演出で描いていて大作感も加わりヒットしたのは頷けるんだけれど、
今観直せばそんなオリジナル版もテンポを含めて牧歌的なことこの上なく、
けっきょくこのリメイク版にしてもその牧歌的な雰囲気まで踏襲して至極ユル~い仕上がりに。

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 信州・犬神財閥の創始者である犬神佐兵衛(仲代達矢)は、
 腹違いの3人の娘と、それぞれの息子たち、
 佐兵衛の大恩人の孫娘、野々宮珠世(松嶋菜々子)らを残して往生する。
 巨額の遺産が一族の諍いの元凶となることを予期し、
 法律事務所の若林は私立探偵・金田一耕助(石坂)を呼び寄せるが、
 ほどなくして、一族間で次々と殺人事件が発生し始めて……。

とにかく何から何までオリジナル版とまったく同じ。
そりゃセリフにしてもアングルやカットにしてもところどころは違うのかもしれないけど、
これならまったく同じと言ってもなんら語弊はないと思うくらいに同じ。
確実に違うのは、佐智(スケトモ)に廃墟に拉致され犯られそうになる珠世役の松嶋奈々子が、
オリジナルの島田陽子とは違ってやっぱり乳を見せないところ。ハッ! 大女優気どりか!

この時代にオリジナルの旨味を活かして新たによみがえらせようという意志は微塵もなく、
本当にただキャストの大方を新しくしただけで現代の映画として観るべき価値はまったくない。
しかし本来ならば金田一耕助役を、それこそ木村拓哉や稲垣吾郎などのジャニーズ系、
もしくは金田一の薄汚れた雰囲気を考えてオダギリジョーあたりに演じさせれば、
それだけで新鮮味も違ったと思うし集客だって見込めたに違いない企画を、
この時代によもやへーちゃんを主演にしかもへーちゃんのアップで映画が終わるという、
さらにはそれがここまで大々的に公開されるというのはもはやある種の映画的奇蹟、
というよりこれは角川映画だからこそなしえた興行的暴挙。そう考えると、
この先かつてのキャストで名作をリメイクするというパターンが増えることも考えられ、
個人的には 『仁義なき戦い』 なんてどうかと思うんだけど深作Jr.じゃなぁ・・・。

と、現代の映画として観る価値はないなんてサクッと書いてしまったけれど、
しかしせっかく観に行ったのならばここは市川崑という、
長らく日本映画の屋台骨を支えてきた巨匠のリハビリ映画として温かく観てあげるのが正解。
本作がくれぐれも巨匠の遺作とならないことを、観客としてはただただひたすら祈るばかりだ!

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