ALWAYS 歌舞伎町でエロ 『鬼の花宴』


七色の黄昏降りてきて
風はなんだか 涼しげ
土曜日の夜はにぎやか

街角はいつでもひといきれ
それでも陽気な この街
いつでもおめかししてるよ

暗い気持さえ
すぐに晴れて
みんな ウキウキ

DOWN TOWNへ くり出そう
DOWN TOWNへ くり出そう
DOWN TOWNへ くり出そう

上記はEPOの代表曲、「DOWN TOWN」。
どーしてそんな歌をボクが知っているかと言えば、
言わずもがな「俺たちひょうきん族」の主題歌だったから。
(「土曜の夜はパラダイス」でもいいんだけどメロディ浮かばない)

確かに、子供の頃は土曜の夜が楽しかった。
特別に何かイベントごととか記念日などじゃなくたって、
土曜の夜自体が何か小さなイベントのようで毎週が楽しかった。
いつからなんだろう? 土曜の夜など別に楽しいとも思わなくなったのは?

そりゃま大学生の頃は毎日が土日と同じみたいなモンだったし、その後社会人を経て、
脱サラして以降はほとんど土日もヘッタクレもないような生活ばかり繰り返してきたので、
ある種の多くの人と同じように、いつしか土曜日の価値なんて忘れてしまったワケだけど、
しかしなんだか最近は、多くの世間様に合わせて土日ぐらいはしっかり休むモンだと、
土曜日の夜ぐらいはオメカシして出かけるモンだと、そんな風に思うようになった。

言うまでもなく、土曜日の夜は1人で映画を観に出かけることがほとんどで、それはまぁ、
自分の余暇の最良の過ごし方だし、ある種の人にしたら優雅に思えるのかもしれないが、
だけど映画って、チョットでも体調が悪かったりすると意外にノれなかったりする場合も多く、
そんな時は、自分が時間の使い方を間違えている気がして、ヘタすりゃ気が塞ぐこともある。
それは観た映画がツマラないとはまた別の、「映画を観る」という行為に孤独を感じる瞬間だ。

こないだの土曜日は、歌舞伎町で映画を観ていた。いつ行っても同じに思えるが、
ことのほか週末の歌舞伎町というのはなんだかとても楽しげな雰囲気に溢れていて、
それこそ、子供の頃、毎週毎週感じていた“あの”楽しさに誰もが興じているように見え、
そんな瞬間、ほんの束の間、街のただ中で、ボクは独り取り残された気分に陥ってしまう。
だけど陥ってしまう反面、そんな、自分が“何者でもなくなる”感じを心地好く思うボクがおり、
長い長い人生の中で、それもそれなりにいろんな目に遭ってきた上での今のこの年齢で(35)、
そんな夜があるというのは、決して、「悪くない」んじゃないかって……。
そう、何もいいことはないのかもしれないがしかしその「悪くない」という価値は、
ひょっとしたら、ごく一部に限られた人にしか得られない宝物なんじゃないかって……。



最近、脳ミソが全体的にウニみたいになっているので、
何が言いたいのか自分自身でサッパリわからないんだけど、
とにかく言いたいのは、「映画を観る」のは時に孤独で寂しいけど、
しかし「映画を観る」という行為が与えてくれる孤独は、実は見方を変えれば、
ごく一部の人にしかわからない、途轍もなく都会的な贅沢の一つなんじゃないかって話。
というワケで、新宿アカデミーで 『バイオハザードⅢ』 を観た後、
その裏にある新宿一、小汚い小屋で観たのが団鬼六原作の 『鬼の花宴』
公開初日、週末のオールナイト興行で観たんだが、客は10人ぐらいしかいなかった―。

画像

別にいい映画が観たかったワケじゃなく、何か勃起できる映画が観たかった。
それに適して本作は演出・演技・映像と何ひとつとして褒めるべき点がない分、
ただひたすらエロが際立ってそのテの映画としての機能を存分に果たしていた。
俺でも書けそうな脚本、俺でもできそうな演出、映画に対しそんな風に感じながらも、
だがしかし、泣ける映画なんかより、勃起できる映画の方が心を癒してくれる夜もある。
三丁目の夕日も映画なら、こんな箸にも棒にもかからないエロ映画とてれっきとした映画。
未来を見て楽しげに生きる人も、過去に囚われ打ちひしがれて生きる人も同じ人間なら、
上を向いて歩く人にも、伏目がちに歩く人にも、ひとしく土曜日の夜はやって来る……。
きっとこんなツマラない映画でもみんな“何か”のためにと一生懸命作っているんだろう。
そんな風に考えたらじ~んと・・・したなんていうのはウソ。ツマラない映画はツマラない。

なんか取って付けたような緊迫感皆無の緊縛&金箔ショーで、
映画は唐突に終わり、しかし場内明転してため息とともにトイレへ行くと、
ほんの少し、ガマン汁が出ていた。情けないやら恥ずかしいやらで笑ってしまった。
「悪くない」。ココしばらく不憫な思いばかりさせている文字通りボクの“相棒”に、
「オマエは俺よか若ぇな…悪くない悪くない」と誰もいないトイレで話しかけた。
ガマン汁が出たついでに、久々に女抱きに行こうかと一瞬考えたが、
時刻を見れば11時半。こんな時間じゃもうロクな女は残ってないだろう。
なんならつづけてもう1回観ようかと思ったが、しかし、土曜の夜と言えば、
「やりすぎコージー」を見なくてはならないのでボクは荷物をとると外に出た。

立冬も近い11月の初旬にしては、それほど気温は低くなく、
未練がましい夏がそこまで来ている冬にブーブーと文句を言われ、
その狭間で秋が「困ったな~」という顔をしているような今年のこの季節。
終電間際、もしくは終電過ぎてだいぶ人が減った時ぐらいの歌舞伎町がボクは好きだ。
何か自分と近い“匂い”をまとった人だけが、そこには残っているような気がするから……。
人生とはなんゾや?生きるとはなんゾや? そんな考えても答えなど出ないことを考えながら、
歩くのに実は歌舞伎町ほど相応しい場所はないように思え、ボクは「悪くない悪くない」と、
心の中でつぶやきながら、自転車が置いてある西新宿の方角へ襟を立てて歩いた―。



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