画面が揺れすぎるのが問題なんじゃない! 『クローバーフィールド/HAKAISHA』

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少なくてもチ○コに毛が生えて以降、乗り物に酔った記憶はない。
確か小さい頃はよくバス酔いとかしていたような気がするんだけど、
いつぐらいからか、いっさい乗り物酔いというヤツをしなくなった……。
それこそ、どれだけウネウネの山道をバスで走ったって今じゃ全然平気だし、
いつか台湾へ行く時に4泊5日フェリーに揺られたけどチットモ酔わなかったし、
パキスタンの山々をジープで半日走り続けた時もひたすら気持好いだけだった。
(山の寒さに震えるボクにマントを貸してくれたパキ人はすぐに酔って吐いていた)
なにせインドから北欧まで約1万㌔をバスに乗り続けたけどまったく平気だったし、
ゾウに乗ってもラクダに乗っても、股関節は破壊されたけど酔いなんかしなかった。

それは当然、大時化の日に船に乗ったりすればアッと言う間に酔うのだろうけど、
まずそんな機会は一生ないし、基本的にボクは、乗り物酔いには強い方だと思う。
今は己の敗残の人生に酔い痴れるのと、そしてたまに自分の文章に酔うぐらいだ。
“映画に酔う”時もある。そりゃもう面白すぎて本当に頭がクラクラとする時もあれば、
あまりに心を揺り動かされて我を忘れるみたくメロメロに酔ってしまうなんて時もある。
映画に酔うなんて、わかる人にしかわからない宝石の如くキラキラと素晴らしい時間だし、
そんな極上の快感を欲すればこそ日々こうして映画を観続けているというのもまた事実。
だけどその場合、映画に酔うとはあくまでもウットリした心の状態のことを指すんだけど、
まさか映画を観て本当に乗り物酔いしたかみたいに気分が悪くなるとは思わなかった。

だいたいボクは以前から、ことアクション映画等における昨今主流の“揺れる”映像―、
いわゆるドキュメンタリー風を標榜してワザとグラグラさせるような映像って好きじゃなく、
今後そのテの映像がスタンダードと化してくことに若干危惧を抱いているクチなんだけど、
ここまで徹底的に揺れると本当に気持悪くなり、それはある意味凄いことかもしれないが、
とにかく一刻も早く、目的地(エンドロール)にたどり着いてほしいとそれを願うばかりだった。
まぁモトモト仕事柄生活が不規則ゆえ慢性的に頭がズーンとしているせいもあるんだけど、
とにかくこの、決して観客動員を図るためのギミックとかじゃなしに、本国アメリカをはじめ、
あまりの画面の揺れように気分を悪くする人が続出しているということである意味話題の、
今やハリウッドを代表する映像仕掛人J・J・エイブラムス製作 『クローバーフィールド』 は、
人によっては本当に気分を害する怖れがあるので観るなら重々気をつけた方がいい。ただ、
ボクが気分を悪くしたのは、画面が激しく揺れる以上に映画が激しくツマラなかったからだが。

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 ニューヨーク、マンハッタンでのある夜。日本への転属が決まり、
 赴任することとなったロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)のため、
 大勢の仲間たちが集いサプライズ・パーティーを開くことに。しかし、
 パーティーの最中、突然途方もない爆音が鳴り、彼らが屋上に上がると、
 まるで爆撃を受けたかのようにニューヨークの街がパニックと化していた……。

まぁそんな感じで、内容に関し本国公開まで徹底した秘密主義が貫かれたというワリには、
いざフタを開けてみたらそれほど大した話じゃなく、主要なパニック部分を盛り立てるための、
しかしかなり出来合いな感じの恋愛群像劇っぽいパートをまずは冒頭でテキトーに見せられ、
あとはマンハッタンに突如、未知の巨大生命体が現れて街を破壊し、人を次々襲い始めて、
それを冒頭でパーティーを撮っていたカメラがそのまま映し続けてそして話の体をなすという、
要は 『宇宙戦争』 の 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』 方式か、“ドグマ95”風味か、みたいな。
で、冒頭のパーティー部分から誰と誰がヤッただなんだとこれまたクダラない内容でしかなく、
そんな話はいいからトットと始めろよと思っていたら派手な爆音を合図にパニックが始まって、
遠くで爆発が起きるのを撮ったシーンや自由の女神の頭がもげて地上に転がるシーンなど、
最初のウチは、「オォ!すげぇ」と身を乗り出していたんだけど、そんなワクワクは最初だけ。

どれほどパニック状態の街をニュースに出てくる“視聴者撮影”みたいな感覚で撮っても、
けっきょく戦場カメラマンでもないような素人があの状態でもカメラを廻し続けているという、
ドダイ不可能な設定がコトの緊張感を根こそぎ削いで、ハラハラドキドキなどいっさいせず。
単に揺れる画面がリアルっぽいだけで、肝心の話にリアルを持たせようという努力がなく、
こんなの甘っチョロい映像遊び。要はどんなに画面が揺れても話さえ面白けりゃ集中でき、
そんなに気にならないと思うんだけどツマラないから集中できず、よって画面に酔うワケだ。
そのカメラ、どこまで頑丈なんだよ! どこ製のなんて機種だとそっちの方が気になるぐらい。
それに地下で軍に助けられるけど、その時点でカメラなんて没収されるだろうが! などなど。

なによりこの映画には、“怪獣映画”の基本というか、カタルシスというものがいっさいない。
怪獣映画とはダイナミックな俯瞰の映像で見せたればこそ、破壊のカタルシスが生まれて、
同時に小さき人間との対比も生まれてはじめてドラマというものが芽生えてくるハズなのに、
それを半端なチラ見せの、さらにそこだけCG丸出しなモンだからコチラはストレスしか感じず、
そしてそれが解消されるかと言えばそんなこともなく、ただブレア・ウィッチのままの終わり方。
まぁそんな既存の怪獣映画の定型を覆したところに本作のキモがあるのかもしれないけれど、
しかしというよりはこの手法のためだけに怪獣映画というモチーフを安易に利用したみたいな、
そういうジャンルに対する軽視の姿勢がボクにしたら納得できなかったという不満も大きい―。

“映像作品”とすれば凄いのかもしれない。しかし本当に表面的な映像だけで中身は皆無、
けっきょくはそこが“映画作家”とは根本的にまったく違う“映像クリエイター”の弱点で……、
なんてチョット偉そーに言ってみたりして。だけど本気でツマラなかったし、酔った……。オェ。
こんなの所詮映画紛いの単なる駄作でしかなく、こんなシロモノが未来の映画の先駆として、
チヤホヤされるような世の中なら、ボクはもう、映画など観ない。観る意味などない。オェ……。
J・J・エイブラムスはいわゆる製作であって監督したのはマット・リーヴスという人なんだけど、
ボクはこの監督がずいぶん前に撮った 『ハッピィブルー』 という恋愛映画がケッコウ好きだし、
監督は別で脚本だけ手掛けた 『裏切り者』 にしても 『暴走特急』 にしても大好きなんだけど、
なんでまたこんな時流に日和った映画を撮ったのか、理解に苦しむし、チョッピリ悲しくもある。

まぁ正直、ここまでケナすことはないと思うんだけど、しかしいかに微力でも訴えとかないと、
“画面が揺れる=リアリズム”と勘違いする映像屋が、雨後のタケノコみたく出てくるからね、
“長廻し病”みたいにサ。金払ってるのはコッチなんだから言わせてもらうよ! あ~気持悪っ。
で、けっきょく“クローバーフィールド”って何よ?

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