ウルマーの原点はチェコにアリ!? 「エドガー・G・ウルマーとゆかいな仲間たち」

正直、名前すら知らなかったのでエドガー・G・ウルマー(1904-1972)については何一つ語れることがないんだけど、
その代わり、彼が生まれたという(それも今調べて初めて知った)チェコのオロモウツへは、かつて旅したことがある。
チェコの東側にある人口11万人ほどの小さな町なんだが、妙に味わい深い町で、ニワトリの鳴き声が時を知らせる、
広場の仕掛け時計や、なぜかタロット占いコーナーやスマトラ島コーナーがある博物館など1日いても飽きなかった。
そうかぁ、ウルマーってオロモウツの出身だったのかぁ。今までまるで知らなかったけど映画も抜群に面白かったし、
なんか俄然親近感が湧いてきた。コチラのコラムによれば、現地じゃウルマーに関する学術会議さえ開かれるとか。
それじゃコッチも負けてられない!(何が?) というワケで先週末から始まった“B級カルト映画の帝王”(なんだって)、
エドガー・G・ウルマーの特集で2作品を観てきたんだけど、両方とも最後に胸がキュンとするような渋い傑作だった。

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『グレイト・フラマリオン』 は、神経質で堅物、でも胸にはかつて亡くした恋人(or妻)の面影をずっと宿しているという、
やや歳のいった拳銃曲撃ち芸人が、助手に雇った亭主アリ女がとんだビッチだったばかりにまんまとたぶらかされ、
堅実だった人生をムチャクチャに壊されてしまうといういわゆるファム・ファタル物。女恋しと事故を装って亭主を殺し、
なのに女は案の定、別の若い男と逃げ、嫉妬に狂った彼は最後には女を見つけて復讐し自分も怪我を負って死ぬ。
初めはあんな気難しい男だったのに、ダマされたことに気づかずあまつさえ女のために高級ホテルの部屋を取って、
ルンルン小躍りしながら待ち侘びるフラマリオンの憐れな姿に男なら絶対泣けるハズ!(泣けないだと?あっそう!)
エリッヒ・フォン・シュトロハイムの重厚な存在感によって映画は全篇格調高く、女がよく見るとブスなのも説得力大。
誰から見ても美人じゃないのがファム・ファタルの本質なんだ(なんの力説?)。B級? 立派な純愛映画だよこれは!

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『青ひげ』 の舞台は、19世紀のパリ。人々に“青ひげ”とアダ名される連続女性殺人鬼が世間を震撼させていたが、
その正体は、人形遣いのモレールだった。やがて青ひげの犠牲者が肖像画を描かれていることに気づいた警察は、
画商を通じモレールに囮捜査を仕掛けるが―。怪しい雰囲気や陰影の濃い映像などいかにも怪奇映画なんだけど、
ラストの告白で、モレールが画中の女の聖性を保つためにモデルの女を殺していたという性癖が明かされるに至り、
本作もまた、ある意味運命の女に狂わされた男の話であることがわかる。初めて描いた美しくまだあどけない娘が、
実はど~しようもないくそビッチだったと知った時のモレールの絶望、男なら絶対…やめた。警察に追い詰められて、
セーヌ川に身を投ず、禍々しくも哀しい男の末路。ジャンルは違えど、2本とも根は似たような話でホント面白かった。
ウルマー、いいワ。全然詳しくなくて映画好き的には悔しいけどその出身地に往っていたなんてチョッピリ自慢だネ。

「エドガー・G・ウルマーとゆかいな仲間たち」[10月12日(土)-11月8日(金)]@シネマヴェーラ渋谷
『グレイト・フラマリオン』(1945年・アメリカ/白黒/78分)
【監督】アンソニー・マン
【出演】エリッヒ・フォン・シュトロハイム、メアリー・ベス・ヒューズ、ダン・デュリエ
【5段階評価】★★★★☆

『青ひげ』(1944年・アメリカ/白黒/70分)
【監督】エドガー・G・ウルマー( 『恐怖のまわり道』 )
【出演】ジョン・キャラダイン、ジーン・パーカー、ニルス・アスター
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞料金】1,000円(会員・二本立)