フィンランドへ往ったらそろそろノーザンライツもよろしく! 「フィンランド映画祭2014」

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しかし東京フィルメックスも終わらぬ内にやれポーランド映画祭だフィンランド映画祭だとコチトラ本当に大忙し!
しかも来年2月にはトーキョーノーザンライツフェスティバルもあって水面下ではその準備も進めているんだから、
体がいくつあっても足りないし早く人生全般を映画方面にシフトさせたい。(まぁボクは大したことやってないけど)
というワケで、同じ北欧だしいいものがあれば自分たちの映画祭でもかけたいというそんな目論見などもあって、
この、フィンランド映画祭にも毎年足を運んでいるんだけどおそらく来年もコチラからいただいた作品をやります。
ラインナップ5本の内今年観たのは2作品でまず最初に観たのはピルヨ・ホンカサロ監督の 『コンクリートナイト』。
今から13年前の 『白夜の時を越えて』 の監督作でちょうどフィンランドを旅行した翌年に観た作品なものだから、
懐かしい想い出もありけっこう期待していたんだけど…う~ん。( まぁ、『白夜~』 自体も今一つな映画なんだが)



映画は何をやらかしたのか24時間後に服役を控えた兄と兄貴をもはや崇拝している歳の離れた弟との物語で、
残された1日を濃密に過ごそうとする2人の姿を陰影の深いモノクロの映像で綴ったいわば青春ものなんだけど、
オープニングの弟が見る悪夢のシーンから映像にはものすごい吸引力があって初めこそ「オォ!」って感じだし、
兄弟間やその母親との間にも漂う不穏な空気がドラマの緊張感を高めてもいるもののイカンせん小難しすぎる。
平たくいえばアートっぽいというやつで抽象的なセリフがヤタラと多くなかなか2人の感情にまで入っていけない。
解説の「兄弟は運命的な光景を目撃」というその“運命的な光景”がいったいどれだったのか全然わからないし、
後半の弟とゲイの写真家とのエピソードもあまりに唐突すぎてなぜあんな血生臭い展開になるのかサッパリ…。
なにせ 『西遊記』 を観て感動するタイプだからこの暗喩的すぎる物語には最後までついていけずじまいだった。

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でも本国のアカデミー賞では作品賞だそうで…。



だけど、なんとなく気が進まない感じで観た次の 『水面を見つめて』 はこれも賛否ありそうだけどボク的には◎。
少なくとも 『コンクリートナイト』 よりは話もわかりやすいし子供を主人公にしたドラマとしてなかなかいいと思う。
そういえばどの役かはわからなかったんだが本作は映画にも出演している俳優が書いた同名小説の映画化で、
1970年代のラップランドの小さな町を舞台にした酒乱の義父と母親と妹の4人で暮らすある少年の成長の物語。
要は、大人になり切れないダメな大人たちに振り廻される子供の話でウンザリするような内容じゃあるんだけど、
主人公が、ただの“被虐的な存在”ではなくきっちり自分で物を考える1人の人間として描かれているもんだから、
内容ほどヘビーな感じはせずラストには明るい希望もあざとさなしに込められていてすごく前向きになれるんだ。
主人公は小学校に入学直前ということだから本作は言ってみれば“6才のボクが、大人を見ていて”みたいな話。

で、6才のボクから見た親たちはいずれもダラシなく義父は酒乱な上今で言ったらストーカーみたいなタイプだし、
母親も母親で、男と別れたくても自活できないからけっきょくダラダラと関係をつづけ子供2人を巻き込み続ける。
だけどボク(主人公)はそれなら自分が家庭を守らなくちゃと2人の雰囲気がよい時は一生懸命明るく振る舞って、
世界を平穏に保とうと努力するんだ。(ボクも父親の酒癖では苦労したクチなので彼の想いが少なからずわかる)
でも、一方で映画は彼の幼いなりの“性への萌芽”もそれとなく描いておりとくに友だちの家で金を盗んでしまい、
泣きながら詫びに行ってだけど友だちのお母さんの巨乳の谷間を凝視しちゃうなんてあたりの描写は実に秀逸。
つまり、この映画は 『6才のボクが、大人になるまで。』 が都合よぅくスルーした部分を逃げずに描いているワケ。
義父が酒乱と化した際に家庭内にピーンと張り詰める緊張感の醸し方もうまいし(クライマックスなんてヒヤヒヤ)、
ぜひ、ノーザンライツでもやりたい!とまで思ったワケではないけど一映画好きとしてこれは本当にアリだと思う。
ラインナップを見ると 『予想外の8月』 というのがまたすごくよさそうなんだが…それは他のメンバーにお任せで。

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ノーザンライツのラインナップも近く発表します!

「フィンランド映画祭2014」[11月29日(土)-12月3日(水)]@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
『コンクリートナイト』(2013年・フィンランド/白黒/96分)
【監督】ピルヨ・ホンカサロ( 『白夜の時を越えて』 )
【出演】ヨハネス・ブロテルス、ヤリ・バーマン、アンネリ・カルピネン、ヨハン・アルフサク
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞料金】1,500円(均一)

『水面を見つめて』(2013年・フィンランド/カラー/106分)
【監督】ピーター・フランゼン
【出演】サムリ・エデルマン、オラヴィ・アンゲルヴォ、マトゥレーナ・クースニエミ、イスモ・カリオ、マルヤ・パカレン
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞料金】同上